最後にパサージュ・デ・パノラマ (Passage des Panoramas) を見ていこうと思っていたが、何かの間違いでたどり着いたのはギャルリー・ヴィヴィエンヌ (Galerie Vivienne)。
ヴァルター ・ベンヤミンの「パサージュ論」を引くまでもなく、19世紀の華やかなパリの風景を代表する場所として都市に生み出された新たなるショッピング空間であるのが、このパサージュ。店舗が立ち並ぶ通りにガラス屋根をかけて半屋外空間とし通り抜けられるショッピング・モールが誕生した。
ことなる業種の店舗が通りと言う「線」に張り付く形である種の共同体を形成し、空間としての性格を持ち始める。ショッピングという消費の欲望を刺激する新たなる魅惑の都市空間と言うわけである。
あっという間にパリのあちこちに広がった流行のパサージュは、多くが失われつつも今でも幾つか残されている。大学で建築を学んだ者は、とにかく「パサージュ」と言っておけば日本の商店街や現代の巨大ショッピング・モールに繋がる都市の消費空間の履歴をなんとなく把握していると思われると共に、その魅惑的な響きを伴う「パサージュ」の耳ざわりに自己陶酔を得ることができる言葉でもあろう。
ちなみにロンドンでは同様の空間を「アーケード」といい、比べるとどうしても「パサージュ」の方を口にしたくなるのはその語の含む魅惑性のなす業か。
「パサージュ・デ・パノラマ」も「ギャルリー・ヴィヴィエンヌ」も19世紀初頭に作られたパサージュで当時のパリの都市空間の記憶を現代にとどめる貴重な場所であるが、「パサージュ・デ・パノラマ」が朝の6;30よりやっているというので、朝の賑わいを感じるいことを期待していたのだが、着いてしまったのは「ギャルリー・ヴィヴィエンヌ」で門が開くのは8:30ということで中を覗いて後は想像力で補うこととし、いい加減ホテルへと戻ることにする。
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