北京市内およびその周辺には多くの名刹が現存する。といっても、日本の様に保存状態を保ち、古いものを慈しみながら大切に次世代に残していくという意識が低いのか、この国ではどこにいっても、創建年は非常に古く書いてある割に、建物自体はばっちりと鉄筋コンクリート造で建て替えられてしまっており、「昔と同じかどうかは別としてとにかく古い時代にここに寺院が建てられたのが重要だ」と主張するかのような雰囲気である。
なので、日本の古い古刹を訪ねる時のような、落ち着いた雰囲気の中この場で過ごされてきた長い年月に思いを馳せる、というような訪問にはなかなかならないものである。
さて、北京市内に現存する最も古い仏教寺院と呼ばれるのがこの法源寺(fǎyuánsì)。唐時代の645年に建設が始まり、696年に完成したと言われている。その後各時代において改修が重ねられその都度名称も変わり、最終的には清時代の1734年に現在の法源寺へと落ち着くことになる。
牛街から程近い場所にあり、周囲を昔ながらの胡同に囲まれ如何にも庶民の寺院という雰囲気を醸し出す。寺院の前の広場では周囲に住まう住民が集いおしゃべりに耽っている横を、お坊さんが袈裟を着て横切っていくという風景が普通に見られ、やはり日本人には仏教寺院の空間構成の方がどちらかといえばしっくり来るなと思いながら、門を後にする。
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