2015年2月20日金曜日

はりまや橋商店街 ★★


自分の知らない土地に、見たい建築を尋ねて足を運ぶことの喜びの一つに、その街に滞在し、異邦人として夜の街に繰り出し、その街で日常を過ごす人々と肩を並べて地元の料理や酒を楽しみ、その土地の人と少しでも交流をしてこの土地に流れる今の空気を感じ取ることがある。

どこでも食べられる様な料理ではなく、この地に住まい、この地で日常を過ごす人々が、気の置けない仲間と一緒に昼間の仕事のストレスや疲れを癒すために美味しい料理とお酒を求め、リラックスしながらたわいも無い会話を楽しむ、そんな決して大きくは狭さも感じない個人経営の料理店。そんなところでカウンターにでも座り、たまたま隣に座り合わせた人たちや大将と、「どこからですか?」なんて話しながら地元情報を聞きながら、少しだけこの地の時間に入ることを共有させてもらう。そんな時間が理想である。

そんな訳で宿はもちろん素泊まりで、ネットで調べた情報と、ホテルでもらった情報を照らし合わせながら、繁華街の地勢図を頭の中で描きながら一通り徒歩で歩いてみることにする。高知駅から徒歩で10分ほどの距離にあるこのはりまや交差点が高知の今の中心地であることは間違いないようで、この周辺に並ぶ商店街の多さからもそれが見て取れる。

北西に広がる京町商店街は、そのまま高知城や市庁舎へと延びる軸線に沿って展開し、逆の北東には県産材の木材を利用した珍しい木造のアーケードをもつはりまや橋商店街。その北側には少しくらい路地にポツンポツンといかにも地元民に愛されている雰囲気をかもし出す小さな居酒屋が軒を並べる。

ネット情報にも出てきた一軒を見つけるので、入れるか覗いてみると、今日は予約でいっぱいで申し訳ないと断られる。しょうがないと、近くの別の店に入ってみても、同じ答えが返ってきて、平日の夜からこうして外食が盛んなこの地の豊かさを思ることになる。

木造のアーケードを眺めながら商店街の果物屋で威勢のいいおばさん相手にくだをまき、今度は南側に足を伸ばす。こちらの堺町は水商売や風俗店が軒を並べる所謂「夜の街」というらしいが、どうやらかつての賑わいは失われたのか、かなり寂しい街並みを見せるのみ。

再度北へと戻り、京町商店街をブラブラしてみるが、どうも郷土料理でありながら、大きくなりすぎていない店を探すことができず結局先ほどのはりまや橋商店街付近のお店に戻り、「料理出せるまで30分くらいかかっちゃいますけど、それでもよければ」ということでカウンターに座り、ビールを飲みながらメニューを眺めていると隣に座っていたカップルから、「良かったらこれどうぞ。美味しいですよ」と卵焼きをいただき、感謝しながらチビチビとやりながら、夜の高知の時間へと入っていくことにする。




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