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年代 1988年
作庭 園山松雲園
形式 未詳
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寺社や城、庭園に温泉、建築と泊まりたい素晴らしい宿などを巡っていると、素晴らしい庭園を併設した百名湯の温泉地がある。旅の予定やお値段などでそこに宿泊してゆっくりと何度も温泉を堪能する・・・という事が叶わない時は、せめて立ち寄りで行程の汗を流し、宿の雰囲気を楽しみながら庭を鑑賞するというのが何よりもの贅沢であるし、スケジュール的にも大変助かるビッグボーナスのようなものである。
そんな訳で朝早くから家を出て、成田までの長旅を経て乗り込んだ飛行機で束の間の睡眠を取り、駆け足で幾つかの目的地をこなしてじっとりと服の下にかいた汗を流す目的で車を向かわせたのがこの玉造温泉(たまつくりおんせん)。
山陰随一の温泉街であり、もちろん百名湯にも名を連ねる。その後に立ち寄る他の温泉地とは趣を異にし、いかにも格式のある数寄屋造りの高級旅館が中心に流れる玉湯川沿い軒を並べる。事前のスケジュール調整の時に「宿泊したらどれくらいかな・・・」と軽い気持ちで値段を調べたが、その値段にあっさりと宿泊の可能性を消したのを思い出す。
商業的な建物は見当たらず、しっかりと地域に溶け込み裕福な観光客相手に町の経済が成り立っている感じが見て取れる。そんな街並みに少々緊張しながら敷地の中に車を入れ、案内の方に鍵を渡し受付へ。
流石は高級旅館という訳で、基本的に立ち寄りで温泉に入りに来る人がほとんどいないのだろうか、その料金も大人1,500円とかなり攻め気味。しかも毎週土・日・月の時間は11:00から15:00までのみ。そして必ず事前連絡を必要という事で、「一体どれだけ敷居が高いんだ・・・」と思いながら数日前に予約を入れておいた。
タオルを受け取り、受付の方に大浴場へと案内され中に入ると、流石にこの時間に入りにくる人もいないのか、すっかり貸しきり状態に。身体を流し、内湯に身体を沈め、今回最初の温泉を楽しむ。外の露天風呂も誰もいないのでのんびりと味わって、すっかりリフレッシュしてお風呂を出る。確かによい温泉であるのは間違いないのだろうが、しかし百名湯に選ばれるほどのものであるだろうかと疑問に思いながら身体を乾かす。
その後はロビーの先に広がる日本の庭園100選にも選ばれている庭園を散策する。高級旅館に併設された庭園ということで、その歴史は新しく、かなり現代的な庭園である。手入れが細かく行き届き、内部のロビーや茶席からの眺めを重視したつくりとなっており、夢窓疎石や重森三玲などの作庭者の強い精神世界を感じるものではない。
それでも温泉につかった後に美味しい今日料理を楽しみながら眺めるにはこれくらいアクが無い庭園が丁度いいのかもしれないなと思いながら次の目的地へと向かう事にする。
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