2012年4月30日月曜日

グローカル

GWに開催されるアート・イベントの為に、東京より友人がやって来た。

この友人は北京に数年住んでいて、その後日本に戻ったがこちらと行ったり来たりの生活を送りながら、世界をピョンピョン軽やかに駆けていく、そんな人である。

家に着くなり、使わなくなったIphone3GSのシムロックを外してこちらの中国の携帯シムカードを指してある携帯でこちらの友人と夕飯の予定を入れながら、日本のIphoneと携帯を早速充電し、マックブックを立ち上げて明後日の中国国内の出張の為のメールを処理。

その合間に家のWifi設定をして、つなげている間に荷物をアンパックして着替えをして、早速北京に来る前にいたという京都のお土産をくれたりする。

徹底して無駄を嫌う性格なので、我々がやっとカスタマイゼーションした便利道具など当たり前のように完備しており、さっと取り出した中国財布には一卡通(中国の公共交通ICカード)も入っており、歩きやすいスニーカーに履き替え早速友人に頼まれているものを買出しに行くというのでついて行く。

ここの服は結構しゃれてるよ。
ここはミュージアム・ショップっぽく、よいデザインの雑貨がおいてるよ。
ここのシャツは色が可愛いよ。

などと、こちらがまったく疎い情報を与えてくれて妻は大喜び。

お腹すいたねと言うと、じゃああそのこ雲南料理はとつれてってもらった先は、一本路地を入ったところにあるとても雰囲気の良いレストラン。これも知らなかった。

ご飯を食べてる間にも、こちらの友人から携帯にメッセージが届き、明日の夜のディナーも一緒にとることに。そこに我々もジョインさせてもらうことにする。

そんな間も、
あそこの銀行はサービスはいいから、
あそこの銀行はクレジットカードつくれるよ、
あれはANAのポイントがつけれるからお得だよ、
などと多くのリサーチに裏打ちされたアドバイスをもらう。

「だって、みんなが損しないほうがいいじゃない」

と軽く言い放つ姿を見ると、世間で叫ばれるグローカルな人材というのはこういう人を指すのだと思う。対外の必要な情報というのは地球の歩き方といくつのブログと現地のフリーペーパーを調べれば入るけれど、それでもどうしてもアクセスできないローカルな情報にいかに辿り着くか。それにはドーンと飛び込んで、現地の友達を沢山作って、オープンな気持ちで現地に溶け込むこと。それができるかどうか。

どこに住むかでなくて、どう住まうかが重要なのだと再認識する連休の昼下がり。




2012年4月29日日曜日

労働節 ウーイー


中国では5月1日のメーデーの前後を合わせて労働節というお休みになる。今年の場合は28日の土曜日まで出勤で、29の日曜日、1の月曜日、2の火曜日と3日間の連休で3日の水曜日から通常出勤。

もともと国慶節と春節に大型連休があるので、あえてここでも有給を取って大型連休にするよりも、皆大体カレンダー通りに過ごしている。

しかし日本でも魚屋なスーパーが大型連休など関係ないように、こちらにも連休など関係なく生きている人も多いわけで、やっぱり連休前でも土曜日は少し街から人気が減っている。

連休前の土曜日には、学校関係のイベントも多いのはどこの国も同じということだろうか、朝出勤しようと自転車を走らせていると、マンションの隣にある小学校の外に人だかり。中から聞こえてくるのはマイクを通した先生の声と鉄砲の合図に威勢の良い音楽。

きっと今夜は、興奮して喋りまくる子供の相手に奮闘する若い夫婦が、至る所にいるのだろうと想像しながら実りある休暇になることを期待する。


2012年4月27日金曜日

食堂


同じ釜の飯を食う。

とは良く言ったものだが、我々のオフィスでは昼食時になると近くのレストランからいくつかの料理を持ってきてもらって、大きな炊飯器で白米を炊き、用意してあるお椀と箸を取って各自が好きによそい、各々気の合う同士でテーブルに座って食べる様にしている。

社食のようなものだが、別に各自が払ったり給料から差っ引いたりはせず、食費の安い場所だからできるある種の食堂空間。昼の時間が近づくと急に賑やかになり、皆が勝手気ままに食べて話して笑って、今日のおかずはなんだ?なんてワイワイやっている。

今日は自分の好きな菜が無いな・・・と何だが学校の給食を思い出しながら、馴染みの事務の子に、「明日は地三鲜と干扁四季豆と皮蛋豆腐のどれかでいいのでお願い」と頼み込む。

ご飯を食べ終わると、皆それぞれに20分くらいの散歩に出かけて消化を促進するので、昼食後が一番オフィスが静かになる。プロジェクトの事で誰かを捕まえたくともいなくなってしまうからしょうがない。

しばらくしたら阿姨さんが片づけをしてくれて、レストランのスタッフが道具を取りに来て、またもとの作業スペースと戻っていく。一日に一度現れる食堂空間。

食べることは一日の中でたった3度しか訪れないハレの時間で、その時間に人はもっとも自分らしく、一番素の姿を見せるものだと納得。同じものを食べて、そんな時間を共有する仲間にはいつの間にか自然と親近感が沸いてくる。

そんな空間があるのは豊かなことだろうと思いながら明日の菜に想いを馳せる。







2012年4月26日木曜日

キタヘミナミヘ


春の北京はとにかく空気が乾燥する。つまりあまり汗をかかない。

体調を整えるためにも、無理にでも汗を出し、新陳代謝を高める必要がある。到着二日目の朝より、限られた手荷物に強引に詰め込んだランニングシューズとランニングシャツを引っ張り出し、砂塵舞う朝の街に走りに出る。

村上春樹ではないが、街を把握するのには走るというのが結構適している。

Nike+GPSで距離を測りながら走るので、身体には東京でのランニングでどこからどこが何キロか大体染み付いている。こちらは大丈夫か?と心配してみるが、少々のズレはあるもののちゃんとGPSも働くようでランニング環境には問題ない。

最初はとにかく距離感と土地勘を身に着けるために、毎日東西南北と方向を変えてワンブロックのランニング。その帰り道に、家から各方面で最短にある朝食が買えるお店を見つける。

国際引越しというのは関税などでのチェックか何か知らないが、とにかく時間がかかるため、1ヶ月は仮住まいの様相を示す。つまり朝食もどこかで手に入れてこなければいけないということになる。できるだけ、フレッシュに、健康的なものをとなると、やはり朝一にお店で買うことが一番。

そんな訳で初めの一週間で東西南北のブロックの距離感を身につけ、それぞれの方向の最短のお店の朝食メニューを口にして、それなりにどれが好みか分かってくる。

ほとんど雨が降らない北京だから、それこと毎日走りにいけるので、一回りすると今度は東西南北のワンブロックを周回することになる。これで大体4キロ程度。そこでまた別のお店の包子に挑戦して、次第に朝食はここか、ここという標的が決定し始める。

そのラウンドが終わると、今度はまた東西南北に更に距離を伸ばして直線の折り返しを行う。これで大体6キロ。それから徐々に線分に厚みを与えて面として、次第に距離が8キロ当たりに達してくる。

そんなことをしていると、北京の大気汚染に非常に敏感になっている妻と一緒に病院に行って、医者に「ランニングするのは大丈夫か?」と聞くと、「道の横は土埃が酷いのでやめたほうが良い。できれば大きな公園などに行って、その中で走るとかにすれば大丈夫。」とのこと。

朝起きてすぐに着替えて走り出す。じっとり汗をかいて、朝食を抱えながら帰ってきて、シャワーを浴びてご飯を食べる。そんな気軽な朝の時間が結構楽しみになって来ていたので、これはかなりのショック・・・身体への影響を相当気にする妻の為にも道でのランニングはあきらめないといけないことになる。

しょうがないので、自転車で約15分の距離の朝阳公园まで行き、チケットを買って入園して、緑豊かな環境で、太極拳や卓球を楽しむ老人グループを片目にぐるりとするとやく7キロ。コースによっては距離も調整できて、確かに緑も多く身体にも良さそうなのでいいのだが、往復の自転車で30分というのがかなりのネック。

そんなときに続いた珍しい雨の数日。朝のランニングがないと、やはり身体のリセットがうまくいかないのか、なんとなく調子が悪い。これはいかんと、15分のところを10分で飛ばし、昨日勉強した中国語の課を聞きながら公園をグルリと走り、汗だくでまた10分で家まで飛ばして、家を通り越して例のお店で朝ごはんを買い込んで帰宅。どうしても1時間は越えてしまうが、これも体調管理の一環だと思うことにしてとにかく続けることにする。

ちなみに朝阳公园は一回づつ行くと入園料が5元だが、一ヶ月のチケットを買うと8元だと言う。これは買わない手は無いと買いに行くが、毎月1・2・3日のみ変えて、顔写真をもって来いとのこと。オフィスの中国人も一体どういう計算式なんだ??と首をかしげる。



2012年4月25日水曜日

MAD 早野より 「WAN's 21 Award 」受賞のお報せ

World Architecture Newsが主催する「WAN 21」を、
共同主催するMAD Architectsが受賞することになりました。

世界中から8つの設計事務所が受賞者として発表されましたが、
それぞれの受賞事務所のどの作品、
新しい建築の可能性を示すものだと思いますので、
お時間の許すときにでも見ていただければ幸いです。

21for21 Awards 2012 Winners

この賞もまた明日への励みとし、
昨日よりも更にいっそう手を動かして建築に向かって行きますので、
今後とも今まで同様の暖かいご支援をいただければ大変嬉しく思います。


国から守られなくとも、国を守る人間に

3月までお世話になった早稲田大学芸術学校の今年の卒業生による謝恩会の席で、現校長が全体の卒業式で登壇した時に、ある卒業生が卒業生に向けてのスピーチで最も印象的だった言葉として挙げていた。

「国から守られなくとも、国を守る人間になってください」。

如何にも早稲田らしい、バンカラな発言だと思う。

一歩国を出ると、その人が
どんな大学を出たか、
どんな家柄か、
どんな会社で働いていたか。

そんなことは大抵吹っ飛んで、

それよりもその人が今この場所で、
どんなことができるのか、
どんなことを話すのか、
どんな振る舞いをするのか、

それでその人の評価が決定してしまう。

オフィスにもインターンなどを含め30人からの外国人が働いているが、
彼らがそれぞれの国でどこの大学を卒業したかよりも、
10日間その人の仕事ぶりを見ていれば、どんな建築家かが見えてくる。

連休明けに、日本で外部講師としてお世話になった東京大学のゼミの学生たちが北京を訪れ、その中で我々のオフィスも見学しに来る予定になっている。その費用は大学、ひいては国が負担することになるのだろうと想像する。

国を守るべき人材を輩出すべき最高学府の学生であるからこと得られる国からの保護。それを実感しながら、しっかりと得るべきものをこの国から持ち帰っていって欲しいと切に願う。

2012年4月23日月曜日

原点回帰


妻が通いだした語学学校で、自分も通い始めようとどのクラスがいいかなと教科書を物色。事務の人と相談して買い込んだ中級の听力の教科書を使って独学してみるが、全然分からなくて思いっきり気分が萎える。

そこそこ喋れるものの下にある基礎がこんなに脆いものとはと、どうやって勉強していいのかと軽い自暴自棄。やはり打ちひしがれるのは自分のやる気かと再認識。

そんな時に横で一番基礎の発音の復習をやっている妻の姿を見て、改めて基礎構築の必要性を感じ、何もいつまでにどこまでレベルを上げろと急ぐ旅でもないのなら、ゆっくりじっくり一から確実にやり直そうと原点回帰に決定。

何度目になるのか分からないが、汉语会话301句の教科書を引っ張り出して、1日に30個の新しい単語を覚えるよりも、10個の知ってる単語をしっかり覚えなおし使えるようにと気分を変えると、すこし心の重みも軽くなる。

窓から見える風景をゆっくり楽しむつもりで、原点からまた鈍行の旅を同行二人で再出発。


2012年4月21日土曜日

一本のシャーペン

オフィスで身の回りの文具系をカスタマイゼーションしていたら、家で中国語を勉強する文具が足りなくなった・・・

慣れしたしんだシャーペンじゃないとしっくりこないし、長時間書くには疲れてしまうのでできるだけ似たものがないかと近くの京客隆へ足を運ぶが、スーパーだけあって、ろくなものがおいてない。これかな?と思って買ったものは案の定シャーペンではなく普通のボールペン・・・

「確か無印が中国へ進出していたはず・・・」と思い立ち、グーグル・マップで検索するといくつか店舗がありあそうだ。しっくり来るものがあれば、そんな高いものでもないだろうから幾つか買いだめしておこうと、妻を誘い二人で砂塵舞う中、マスク装着し自転車で出発。

そろそろ慣れてきた百度地图で「MUJI」と入力し、自宅から最短距離である世贸天阶へ。敷地内に自転車で入ろうとすると、警備員が飛んできて、「とにかく中には入ってはダメ」と言い、どこか外へ止めてきてくれと。しぶしぶ近くの路肩に停車し、地図を探すが、こちらのモールではサイン計画がまだまだ不十分プラス、インフォメーションセンターもどこにあるか分からないので、どこかの店に入って店員に聞くのだが、彼らも自分たち以外の店舗を把握しておこうというホスピタリティがある訳もなく、「確かあったはずだけど、南側の建物だと思うよ」という言葉を信じて行くが、結局見つからず。

訳が分からないがまた地図で表示される次の店舗に電話してみると、その店舗は無くなったとか。しょうがないので、その次に近い場所はと聞くと、华贸购物中心の3階だというので、昨晩日本からの友達を迎えにいった新光天地へと再度自転車を飛ばす。

がその道中、妻の自転車のブレーキが千切れる。ブレーキを落とさないようにと必死につかみながら、マスクとサングラスで顔の大部分が隠されながら自転車をこぐ妻。案の定勝手な場所に自転車を駐車してはいけないと言われ、グルッと前面道路まで移動させられ、ひーひー言いながらやっとのことで無印良品到着。

馴染みのシャーペンに近い形のものを見つけ手に取ると、46元。換金レートを15円/1円と設定している我々にとってはおよそ700円という高額に二人そろって愕然・・・日本での値段を見てみると470円ほど。こりゃ何本か買いだめどころの話ではない。いくら製図用のシャープペンシルで、使い心地がよいと言っても、シャーペンであることに変わりは無く、しかも中国マーケットを睨んだ料金設定であるはず。

その値段を見ながら日本企業の想定する中国マーケットの相場観と、自分たちの適正価格の大きな乖離を感じ、それでもここまできたのだからと、たった一本のシャーペンを握り会計へ向かいながらここまでの道のりを振り返り、言葉が不自由であるからこそ、情報収集も不自由になり、それが身体への苦痛として巡って来ることを実感。

たった一本のシャーペンだけど、これで出来るだけの勉強をし、自由な言語と自由な身体を手に入れることでしか、この対価は支払われないのだろうと心に誓う。

帰りがてら、道の片隅でパラソルを広げ、その下のワゴンに「修」と書いて修理屋を展開している夫婦のところにブレーキの壊れた妻の自転車を持っていくと、「ブレーキが切れたんかい?」と言ってさっさと直しだす奥さん。

上手くいかないので夫に変わり、油で真っ黒に染まった手で、箱の中から合いそうな金物を探り出してはせっせと直すが、最後の最後でブレーキを引いた後の戻りが納得いかないらしく、どうするのかな?と見ていたら一番最初からやり直し。

「ほぅ」と感心していると、「なおった」と自転車を渡されてその夫はさっさと次の自転車へ。

「お金は?」と奥さんに聞いてやっと、「金物だけだから5元」と。

きっと太陽が落ちてきたらワゴンを片付け、パラソルを片付け家に帰り、今日また染み付いた油を落として料理を作り、ビールでも飲みながら笑って今日一日を終えていくのだろうと想像する。

誰かに嫉みなど感じる必要もなく、自分たちが生きる場所と、自分たちが幸せになれる毎日の過ごし方を知っている。きっとそういうことなんだろうと妻と話しながら家路に着く。

動かした手は裏切らない。きっとそういうことなんだろう。



2012年4月20日金曜日

カスタマイゼーション 文具


新しい環境にフィットするためには、様々なカスタマイゼーションが必要となる。

特に建築家などという職業をしていると、日々使う文具関係には各人がそれぞれのこだわりが出てくるものだが、特に一級建築士試験を受ける時期には腱鞘炎になるほど線を引くことになるので、身体を痛めないためにも自分に一番フィットする文具を探すことになる。

ペンを使う人も多いが、自分にはダントツシャーペン。その中でも今のところ一番のものは。


製図用だから少々高くつくが、上記の一級建築士試験の時に身体に染み込んでしまったからしかたがない。こればかりは身の回りから外せなく、オフィスでも誰かが間違えた持って行ってしまった日には大騒ぎすることになる。

書き留める方は、長年親しんだ手帳兼ノートだが、6穴バインダーであるのでその用紙も簡単には手に入らない。ITOYAで買い溜めでは来たものの、あっという間になくなりそうなので、オフィスのジムの子に「これと同じ紙は買えるかな?」と聞いてみるが同じのは無理だと。6つ穴は無理だけど、6つ穴パンチと白い紙なら買えるはずというので、それでお願いする。

次の日は内線で呼ばれて降りていくと、おじさんが紙束と6穴パンチを持って待っている。6穴パンチは穴の位置も、紙ストッパーの位置も調整できる優れもの。これで60元というから、安いじゃない、というと
「高すぎだ」と事務のジャンに怒られる。紙束はA5サイズでおよそ1000枚。結構極端だな・・・と思いながらも、これだけあれば一年はいけるとウキウキしながらさっそくパンチしてみる。

穴の空きも問題ないので、各プロジェクトごとにインデックスをつけて手帳のカスタマイズをし、最後はしっくりくる厚さのトレーシングペーパーを探し出して、机周辺を再度オーガナイズ。これで書くまでの準備は完成だと、あとは肝心の手を動かすことにする。


 




2012年4月19日木曜日

カスタマイゼーション

住まう場所が変わると、いろんなものをカスタマイズしていかないといけない。その中でも大きな位置を占めるのが自分のパソコン環境。

久々にできたこちらのオフィスのでの自分の机。そこには大きなSamsungのモニターが鎮座し、必要十分なソフトがインストールされたWindows7のスクリーン。

自らの更新を拒みながら、頑なにWindowsXPにしがみついていたが、大きな流れには逆らうことができず、これを機会にと慣れ親しんだ20世紀的パソコン環境から四苦八苦しながらも自分をカスタマイゼーション。

日本語OSなんてぬるい環境は期待できる訳も無く、英語OSの画面表記に慣れずにあっちにいったりこっちにいったりしながら徐々にしっくりくるポジションを探す感じだ。引越し同様、このカスタマイゼーションも人生に何度も訪れるものではないので、すぐに忘れるのが人の常。というわけでここに書きどめる。

①オフィスでのWifiパスワードを入手し、日本からのアイフォンをネット世界に繋げる

②家庭でのネット設定はADSL主体ということで、そのルーター設定とWifiの接続と設定。

③なんといっても現地でのアイフォンの購入と、Gmailの同期と、会社メールの設定。これで連絡先、カレンダーも今までとおりにGmail仕様に。

iPhoneの標準カレンダーとGoogleカレンダー(複数アカウントもOK)を同期する方法

④パソコンへの無料VPNの設定と、同時に携帯への無料VPNの設定。

iPhone4怎样设置VPN

⑤新しいパソコンなので、とりあえず日本語と中国語の入力キーボードを追加し、うっとうしい半角とかなの切り替えを調整。

半角英字・かな(日本語入力)の切替に便利な方法は?

⑥タスクバーによく使用するプログラムを配置。以前までだと、タスクバーの左に展開するボタンがあって、縦線があってのショートカットだったが、それがWindows7ではなくなってしまったのが残念・・・

タスクバーに 頻繁に使用するプログラムやファイルを配置する

⑦ブラウザーにChromeをデフォルト化し、その詳細設定。
初期状態だとウェブ上からファイルをダウンロードすると、勝手にダウンロード・フォルダーに行ってしまうので、これを変更する。

Windows7でデータの保存先が指定できない


Chromeでの表示言語を日本語に設定。 

ブラウザの表示言語の設定



⑧また初期状態のChromeだと、日本語フォントがギザギザした感じで掠れて表記されることがあるので、この解消。

Chromeで汚い日本語フォントを直す方法

⑨Windows7になって、エクスプローラーのフォルダー表記で、展開するとヒョイっと下に移動しまう。これは一回一回マウスを動かさなければいけないから、解決しようとIT担当に聞くが、これは中に入っているフォルダーの数で、多ければ表示しきれず下に移動し、少なければその場所で展開するから、どうしようもないと言われあきらめる。

⑩Gmailのカレンダーに中国のカレンダーを入力。

中国の2012年休日カレンダー

⑪Googleはどうも遅いので、百度関連もセットアップ。アイフォンにも百度地图などのアプリをダウンロード。

iPhoneのスクリーンショットを撮る方法

⑫ラップトップもOSを変えてもらったので、タッチパッドの速度がしっくりこない。これを調節。

How to Adjust Laptop Touchpad for Windows 7 

⑬パソコン内部だけでなく、一番しっくりくるキーボードをマウスを探すため、朝一にオフィスにいって、それぞれのデスクを回って、押したときの深さと反発力と音が一番しっくりくるやつを見つけ出す。

ちなみにマウスは親指用にサイドにボタンがついているロジテック・G700あたりがお気に入り。

⑭各ソフトのショートカットをデスクトップ上にいつもどおり配置する。


⑮Iphoneのカレンダーアプリに複数のグーグル・カレンダーを同期させる。
グーグル・カレンダーど追加して作成したときに、なかなかIphone側に同期されないので、何度もアカウントを削除しては同期などしてもうまくいかない。その時にサファリ側でgoogle syncにアクセスして同期設定をする。

iPhoneの標準カレンダーでgoogleカレンダーが一つしか表示されない



とりあえずここらへんを一週間以内しないと、変な癖がついてしまうので疲れる。
さて次は各ソフトのカスタマイゼーションかとアドビ・フォルダに移動する。

2012年4月18日水曜日

朝食



毎朝、ランニングの後にお気に入りの蜀満天というお店に朝ごはんを買いに行く。

地元民の後ろに汗だくで湯気を顔から立ち上らせながら、肩で息をしている自分の姿を見つけると、お店の女の子が「あいつ来たっ」と言わんばかりに二度見をしてうっすら笑いを浮かべている。

数週間同じリズムで朝を過ごしていると、次第に注文するモノと量が把握でき、妻の分と合わせて、小米粥、茶叶蛋、豆浆、面条、肉包子。計16元。約240円。

汁ものもしっかりとカップにシーリングしてくれるのでこぼれる恐れもなく、家までの残りの500mを朝ごはん片手にホイホイと走りながら帰る。

これにヤクルト一本と一杯のオレンジジュースで、ランニングで失った水分を十分に補給しながら、プラス硬めでおいしい老北京のヨーグルトを食べてお腹を一杯にして一日を始めるが、これでも昼前には腹が減ってくるので、こちらの生活の消費エネルギーの多さを実感する。


2012年4月17日火曜日

春の粉雪


窓を開けていると、フワーっとモニターの前を横切りながら、楽しそうに浮遊する白い綿。仕事をしながらもついつい目で追ってしまう。自宅の中に入ってきたりしたらイライラすること間違いなしだが、今日の様に天気が良い日には、なんだか心が和まされる。

この季節の北京の空にはどこからともなくこの白い綿が飛び交う。春の風物詩であり、日本ではあまり目にすることがない光景で、春に振る粉雪の様な雰囲気を楽しめる。

まるで重力をバカにするように、ふわふわ自由に飛び回り、どこにでも入ってきて、どこからも出てってしまい、手にとろうとすると「スルり」と逃げる、とても愛らしい待ち人の様。

前から気になっていたので、この際だからと一つ捕まえてみる。悪戦苦闘しながら、やっとつかまえた一房を観察し、オフィスの中国人に「これは一体なんなんだ?」と聞いてみる。

「柳树だよ」という子もいれば、
「杨树だ」という子もいる。

不思議に思い調べてみるとなるほどと。

名前は柳絮(liǔxù)と読んで、一見柳の枝から飛び出てくるものかと想像してしまうが、実際は楊樹(yángshù)から出ているものだという。では、楊樹は何か?を調べるとポプラの木だという。楊樹は北京の街路樹で、確かに街のいたるところで見かけることができる、スクッと聳える垂直性の強い街路樹。

なるほどと納得し、来年の春の粉雪を見るころには、この説明が中国語で完璧にできているようにと願う2012の春の北京。




2012年4月16日月曜日

裏切るのは自分のやる気


「語学は裏切らない」
いつも裏切るのは自分のやる気。

「今回こそは」

と思って開始するが、いつも学習が終わるのは、
何かにつけての言い訳を自分に向かって投げかけるうなだれた自分のやる気。

「だって人間なんだもん」

と、意志の弱さを受け入れて、
今度はそれなりの対策を練ることにする。

如何にやる気を持続させる方法を見つけるか。

自分だけでは簡単に楽をしてしまうなら、
そこに求められるのは他人の存在。
外部からの強制力。

学校という毎日の強制力と、
クラスメイトという共に上達すべく仲間の存在。

最近読んでる本に出てきた言葉。

「楽しい事を追求するだけが人生じゃない。そもそも人生というのはつまらんものだ。若いうちなら勢いで突っ走れる。なんにでも夢中になれる時期がある。それがそのうちに惰性になり、世間のしがらみに絡めとられて、何が面白いのか分からなくなる。しかし、本当の勝負はそこから始まるんだ。つまらん人生に花を咲かせるのが本当の才覚で、モチベーションが希薄になったなんて愚痴を言ってるうちはまだ半端者だ。砂漠のような人生に大輪の花を咲かせることのできる人間こそ一流だ。」

そんなことを思いながら、

「一時間しか通えなくても独学ではなくてクラスメイトが欲しいんだ。
一対一のクラスでは得られないやる気の持続システムが必要なんだ。」

と学校の担当者に伝え、結局3時間ある午前のクラスの1時間目だけクラスに入れてもらうという変則的なところで着地し、浪費のない授業料にしてもらう。

今度は裏切り抑止装置の裏切り抑止が必要無いように、
しっかりと学生の身分を楽しむことにしようと白綿飛び交う春の北京空の下、
オフィスに向かって自転車を走らせる。

2012年4月15日日曜日

ニシヘヒガシヘ


北京は西と東ではとても大きな違いがある。

今日はコンペの締め切り間近という訳で、外注のCG会社にこちらの求めるイメージの具体的な指示を出すが、メールで何度やり取りをしてもいっこうに的を得ないため、一度で終わらせる為にと現地に向かい、実際に手を動かしてくれる人の横に座って、細かくスケッチしながら指示をだすしかないとチームメンバーに話をし、これをやらない限りこの提出はエンドレスになるから、とメンバーの中の中国人インターンをコミュニケーションのヘルプとして連れて行こうとすると、「私が運転していきます」と。

ポカンとしていると、今日は印刷をしなければいけないので、A1サイズのパネルを運ぶ為に、タクシーでは乗車拒否をされるだろうと思って、実家に戻って母親から車を借りてきたという。

あぁそうか。と思いながら、彼女の運転で西へ向かう。

その道中、「あれ、昨晩来たところだ」と思い当たるのは、昨晩、妻の友人がきているというので西にあるシャングリラホテルまでタクシーで往復した風景。

免許取得一年ちょっとというインターンのなかなかスリリングな運転を楽しみ、施工現場の様な場所を抜けてやっとCG会社に到着。ひとしきり変更点と段取りを伝え、そのインターンはチェックのためにここに残ってもらうのだが、ついでにと近くの地下鉄の駅まで送ってもらう。

上に走る長安街の様に真っ直ぐな地下鉄1号線をひたすら乗ってたどり着くのは国貿。今度は街の東に到着。妻と合流し訪れるのはここ国貿で開催されているCIGE(第8回中国国際ギャラリー博覧会)。日本のギャラリーに勤めている友人が彼のギャラリーも出展しているというので参加する為に北京に来ているのでその様子を見に行く。

入り口でSMSを送ると招待券を手にして迎えに来てくれる。日本などの国外のギャラリーと、中国国内の多くのギャラリーも参加しているアート・フェアなので、結構広さはあるのだが、思ったよりは人が少ない様子。軽く挨拶を終え、全体をサラッと見て回る。いくつか面白そうな作品があるくらいで、全体的には雑な印象。

5月のもう一つのアートフェアにはもっと多くの友人が東京から来るのかなと、楽しみに感じながらまたオフィスに走る。






2012年4月14日土曜日

「日経アーキテクチャー 注目の10人」掲載


「日経アーキテクチャー NEXT-K」にて、
「2012年・注目の10人」として取材していただいた内容が掲載されております。

記事を閲覧するには日経BPの無料会員登録が必要とのことですが、
お時間の許すときにでも見ていただければ幸いです。

世界に誇るアジアの建築めざす早野洋介氏、注目の10人

記事の内容と違わぬように、進むべき方向に向かって石を投げ、
その石を拾ってはまた目的の方向に向かって石を投げ続ける。

そんな時間を過ごしていければと思っておりますので、
今後とも今まで同様の暖かいご支援をいただければ大変嬉しく思います。

2012年4月13日金曜日

語学は裏切らない


久しぶりに心が震えた。

北京に来て一週間という時間の円環が閉じる前にやっておくことがあった。

自分の身体が縮小したような不自由さから解放されるには、自ら学ぶことで体内に新しい環境へのインターフェイスを取り込むことでしかないのであれば、少しでも早く学ぶことができる環境をセットアップしようと、妻が通おうとしている語学学校の見学に早朝の出勤前の時間に付き添う。

住んでいる区の運営する職員大学内部に併設された語学学校。HP上の地図を見ても、いまいちアクセスが分からないからと、前日の夜に自転車二人乗りで下見に来たにも関わらず、10分ほど遅刻して事務室で前もってメールにて見学の希望を伝えていたものだと話を通す。

とにかく妻の為に一番初級の授業を一緒に見学してみますといい、二人そろって日本人用のテキストを借りて教室へ。

黒板の前に小太りの人のよさそうな女の先生と、4人のスペイン系と思われる女の子たちが気ままに椅子に座りながらの授業風景。恐縮しながら一番後ろに陣取って、一枚一枚カードの書かれた単語をそれぞれの生徒が四苦八苦しながら発音し、黒板に質問文に対しての回答を漢字を使って回答する姿を眺める。

何処から来たか、
何をしていたか、
どんな学校を出たか、
何の職業をしているか、
いくらくらいの年収か、
どんな家庭環境か、

そんなの全部関係なく、
この国でこの国の言葉を覚えようと、
必死になってるという共通点だけで結ばれた関係。

初めてロンドンに渡った夏に二週間だけ通った語学学校。
その時の風景が二重写しになったような眩暈を感じる。

毎日新しい課が与えられ、
昨日よりも今日の方がベターになっている自分を確認し、
そしてまた明日はもっとと足を進める。

語学の学習ほど、
費やした時間を裏切らないものは無い。
生まれつきの才能に関わらず、
誰にでも公平に、
学んだだけだけ話せるようになる。
費やした努力が確実に前に進むエネルギーとなる。

学ぶことが純粋に喜びであることの再認識。
そのことを目的に毎日を過ごすこと。
そんなこれからの妻が純粋に羨ましいと思うこと。

そんなことを感じていたら、
久しぶりに心が震えた。

50分でもいい。自分も毎朝学ぼうと決めて、
帰りがてら入学手続きを済ませる。

帰ってテキストを開き、新しい単語に出会うこと。
明日授業で昨日言えなかった気持ちが言えること。

そんなささやかな楽しみを胸に、
一週間の円環を閉じることにする。

2012年4月11日水曜日

シンプル・ライフ


生きることはシンプルだ。

まっすぐと「一日の捉え方」を実践していけばいいのだと思えるくらいの不自由さ。

団塊老人ではないが、日本にいると出来ることが多すぎるからこそ余計な事をしてしまう。できることが多いからこそ暇を持て余す。

見たいのかそうでないのかも分からないテレビ番組
会って何を話したかすら記憶に残らない集まり
日々追われる様々な手続きはただ生きる為だけの事なのに、
それで一日の大部分の時間が消費されていく

生きるという行為をこなすだけで人生が過ぎていってしまう
そんな中ではどうやって何かを成し遂げればよいのだろうか

だからこそではないが、
出来ないことが多い不自由な身体との幸せな共存を甘んじて受け入れて、
一体自分にとって必要な一日とは何かをもう一度考える。

手持ちの荷物はトランク一つとリュックサック一つに入るだけ。
いつでも次の日には世界のどこへでも飛んでいける様な軽さ。

見ても分からないテレビはたれ流すことなく
知り合いではく、会う事自体が喜びである友人達との時間を大切にし
気の置けない仲間と一緒に同じ方向に向かって仕事をする

起きて
走って
食べて
読んで
出勤して
考えて
討論して
描いて
学んで
考えて
教えて
食べて
歩いて
手を動かし
話して
考えて
帰宅し
話して
食べて
話して
寝る

ちゃんと一日をぐるっと一つの円環として閉じること。
それがシンプル・ライフ。

2012年4月8日日曜日

剥き出しの喜怒哀楽


昨日、妻のドライヤーを買うために訪れた北京市内の家電量販店:苏宁电器 sūníng diàn qì


ネットでの評判は上々だったので、恐らくヤマダ電機的なポジショニングかと想像をしながら、わざわざ2キロほど歩いて行ったは良いが、ナノイーとイオンの違いなど説明できるわけもなく、展示しているくせに在庫がないからとPhilipsのごついドライヤーではどうか?と言い出す始末。

だからナノイーじゃないと駄目なの。といっても結局理解される訳は無く、誰か英語わかる人をお願いしますと登場した女性も笑顔で一体いつ入荷するかは我々は分からないと・・・

じゃあどこで見つけられるんだ!他の支店は?他の店舗は?と聞いても埒が明かない。もどかしい言葉の壁に怒りと悲しみが沸騰する。

そうかと思えば、道中に見つけた自転車屋で、マンションの大家さんが使っていいと置いてあった自転車では、二人乗りをするには後ろで妻が腰掛ける形になる荷物台がついているのだが、それだと腰が痛くなり、段差もお尻が痛いと言うので、子供のころ禁止された二人乗りの立ち乗り様のバーが無いものか聞きにいく。

子供用のやつだろ?と言って取り出してくれたのは、バーよりも安定感抜群おペダルの様な踏み台。これはいいと、妻と揃って有頂天に。ついでに夜間運転も危険なので、前と後ろに証明を設置してもらうことにし、盗難防止に両方とも取り外しが可能なものにしてもらう。ついでについでにと、ブレーキの調整、タイヤの空気補充、チェーンの油差しなど全部見てもらう。やはり三丁目の世界だね、となんだか納得。

早速立ち乗りで妻を後ろに乗せて、上空の枝に気をつけてとスピードを上げるとなんだか高校生に戻ったような気分に浸れ、楽しい日曜の昼下がりを満喫する。


言葉が不自由だと、できることが限られて身体も精神も数十パーセント縮小する様なもの。つまり世界が小さかった子供の頃に戻った様な感じで、あの頃同様に感情もまた境界が明確となる。

そんな剥き出しの感情と付き合いながら、飽和の世界とは違う、足りないからこその幸せを楽しみながら生きていくことが重要なのだろう。

2012年4月6日金曜日

生きることはそんなに難しくない


どんなに歳を重ねても変化を手なずけるのは大変なことに変わりなく、
その時々の人生の立ち位置に合わせた苦労を消化しながら、
それでもその場所で生きていくことが必要だと感じるのが引越し。

身体だけでなく身の回りの物や様々なしがらみすらも断捨離して、
かつての自分の日常の香り漂う北京で新しい日常の一歩を踏み出し、
見えてくる風景の中で浮かび上がるのはつい数日までまで見ていた日本の日常との差異。

どちらが良くて、どちらが悪いとは一点透視法的には言えないが、
確実に言えるのはこの国に居ると単純なことが実はすごく単純なんだと気がつく。

それは

「生きることはそんなに難しくない」

ということ。

家電を買いに量販店に足を運べば、ディスプレイの奥で楽しそうに話をしている3人のおばちゃん店員。その中の一人が溢れんばかりの笑顔で進めてくる商品。その横では、ふらっと寄った感じの友達と、更に話を弾めている残りの店員。

道路清掃の自転車を停車して、仲間と大きな碁盤で勝負にふけるおじさんや走り回る子供の相手ですっかり自分もはしゃいでるスーパーの店員のおばさんとそれを如何にも楽しそうに笑顔で見つめる他の店員たち。

いったいこれで仕事になっているのか・・・と心配になるけれど、それでも彼らも給料をもらって、それでしっかりと自分と家族の生活を支えているんだと思うと、決して多くは無いかもしれないけれど、それでもその額で成立する生活がここにあり、それが裕福な生活をする人と並立して成り立っているのがこの都市の魅力なんだと再確認する。

この仕事がクビになれば・・・
今月の給料が手に入らないと・・・
このままでこの先やっていけるのだろうか・・・

将来への不安に追いやられるように今の決断をしなければいけない状況の覆われた日本。
それを閉塞感と呼ぶのかもしれないけれど、孤独死とカテゴライズされて生きることに苦しみながら生を終えていく人々。

それはきっと生きることの幅が非常に限れているからに違いなく、こうでなければいけないと思っていることが、本当にそうでなければいけないかすら自問することすら許されないある種のメディアによる植え付け。

このラインを下回る生活レベルならこのエリアには住めない。そんな風に経済レベルが地図をトレースする日本に比べて、この国では同じエリアに貧富がマダラに共存しえる。それを可能にするのは他人を羨みはするだろうが、あくまでも自分の分相応な立ち居地を把握する潔さと、自分は自分というとことんの個人主義。

苦しむことを享受するのが美徳な時代はとうの昔に過ぎ去っているならば、多様性の時代に突入しているのなら、もう一度日本の都市にもマダラ模様の生活が染み出るようになっても良いのではと思わされる二度目の北京の二日目。

生きることは難しくないと思えることから、次こそは生きることは楽しいと思うこと。



2012年4月5日木曜日

欢迎光临


何年ぶりかに購入した片道キップの為になのか、選んだ中国東方航空はなぜか上海経由便になり、入国審査は上海で受けて、預け荷物は取り出さずに同じ便に乗り込み北京に向かう。そんなことをしているので、早朝に家を出てはいいものの、夕方の北京到着時にはクタクタに。

せめて少しでも早く新しい家で荷物のアンパックして落ち着きたいという淡い願いは、吐き出される荷物を取り上げた瞬間にもろくも壊される。

この1月に友人の結婚式で行ったハワイで、唯一の買い物であったリモアのトランク。どうやったらこうできるのか?と思うほどに角が凹んでいる。メーカーもさすがにこれは想定してないだろうと思えるくらいの力が加えられたのだろう。

荷物の積み込みでこんだけ一転に力がかかるということは、さてはこれだけ重い荷物を投げたな・・・?などと、怒りを通り越して少々感心しながらさっそく近くにいた航空会社職員の女性にクレーム。

「あらら・・・」

なんて、完全に人事のような体で「保険は入ってます?」などと最初から自分たちの責任には言及せず・・・とりあえずオフィスまで行って手続きをすることにするが、返ってくるのは200元の現金しか払えないと。

さすがにそれは無いだろうと、いくらで買ってどれくらい使用していたかなど、とうとうと伝えるがひたすらにオウム返し。外では車で迎えに来てくれているオフィスのスタッフも待たせているはずなので、とにかく一度その職員と一緒に外にでて、中国人であるスタッフと詳しい交渉をしてもらうことに。

ゲートからでると、遠くで手を振って待ってくれているスタッフ。

「回来了」

と迎えてくれる彼に対し、

「ありがとう。出てくるのが遅れて悪いね。実は・・・・」などと早速事情の説明。

200元はないでしょう。とさっそく交渉を引き継いでもらう。あーだこーだ言っていたら、300元ではどうでしょう?と来るので、とにかく同じ商品に代えてもらうかしっかり修理をするか、それとも購入金額の保証のどれかだろうと一歩も引かないでいると、マネージャーの様な人も出てきて、とりあえず修理が可能か確認するので後日再度連絡しますとのことに。

とにかく如何にも中国らしい出迎えを受けることになりながらも無事に北京到着。

外国人はアクセス特急


引越しに向けて家を引き払った後にしばらくマスオさん状態をさせてもらっていた妻の実家より、北京に向かう成田空港に向けて出発をするのだが、少しくらい早く出ても1000円で到着できるのはやはり魅力的ということで、ネットを駆使してナビタイム。

リムジンバスよりも2000円。
エクスプレスよりも2000円。
スカイライナーよりも1200円。

夫婦でなら更に倍率ドンな訳で、こうなるとリムジン・スカイライナー・エクスプレスの選択など論外であり、各駅から青砥でアクセス特急へ。特急のくせに特急券が必要ないという夢のような列車に乗り込む。

はち切れそうな荷物のポジションを確保しホッとして周囲に目をやると始めて気がつく外国人旅行者の多さ。

如何にも旅行慣れしてそうな若者たちにとっても、この往復で4000円の差額はきっと大きな意味を持ち、そのためにしっかりとリサーチをして、出来るだけ安く済むものは安く済ませ、その分代わりにしっかりと楽しむという意気込みがひしひしと感じられる。

そんな姿を見ながら、数時間後には自分たちもマイノリティーになっていることに改めて気持ちを引き締めるアクセス特急の車中。

2012年4月4日水曜日

アイフォン(iPhone)などの携帯電話の海外渡航に伴う設定


国際線なら今も昔も変わりなく出発の二時間前にはカウンターにてチェックインする必要がある。

荷物の機体への積み込みなどの業務的な逆算から導かれる時間には違いないが、もう少し短くならないかと思わない時は無いが、意外とあっという間に過ぎてしまう時間でもある。

海外が近くなるのは、物理的距離だけでなく、ネットワークもその一つ。遅ればせながらではあるが、日本の携帯電話も海外で使用出来るのがやっと定着したところか。

しかし恐ろしいのが海外でのデータローミングの料金設定。完全に日本の通信会社の海外への交渉ベタの尻拭いに見えてしょうがないが、気づいたら何十万円という請求書が・・・という都市伝説的な脅しも加わり、とにかく無駄に血を流さぬ様にと苦心するのが空港での携帯電話の海外への設定変更。

毎回必死になってやるのだが、日常的な事でも無いので、次の時にはまた頭を悩ませることとなる。

そこで備忘録としてここにまとめておくことにする。

----------------------------------------------------------
SoftBank (アイフォン Iphone)
海外でパケホーダイに加入してなくてローミングやインターネットに接続してしまって、膨大な額の請求が届くのを阻止する為に、基本的に電話だけつながるようにして、Wifi環境のあるところでだけ、インターネットおよびメールが使えるようにする。

①SoftBankショップにて契約を海外パケホーダイ対象と変更する

②設定 〉ネットワーク 〉モバイルデータ通信をオフにする

③海外に到着し電源を入れたら、設定 > キャリア で手動にして下記の定額対象事業者に指定する。

SoftBank 海外パケホーダイ 定額対象事業者一覧  

参照サイト
iPhoneを持って海外旅行に出かける前にチェックしておきたい13のポイント

----------------------------------------------------------
NTTドコモ
アイフォン同様、海外で使用できる機種か確認と契約内容の事前チェック。
①現地に到着後 
メニュー > セッティング > 国際ローミング設定 >ネットワークサーチ設定をマニュアルに
その後接続可能業者がリストで出てくるので、下記のリストより選択

NTTドコモ 海外パケ・ホーダイ」対象事業者

----------------------------------------------------------
どれだけ設定しても、海外にいると

「ひょっとして何かの間違いでローミングしてしまい、
とんでもない金額の請求が発生しているのでは・・・」

などと戦々恐々してしまう。

少しでも早く現地の携帯電話を手に入れることにするのだが、それでも日本からの連絡が入るのは恐らく日本の携帯だろうということで、電源を落とす分けにもいかず今日もなんだかソワソワするのはしょうがないのだろう。

2012年4月2日月曜日

「空飛ぶタイヤ 上・下」 池井戸潤 ★★★★


「下町ロケット」で第145回直木賞を受賞した池井戸潤の描く三菱自動車によるリコール隠しから三菱製トレーラーの車輪の運転中の脱輪による死亡事故を完全にトレースしながら、その背後で行われたであろう、大企業と中小零細との攻防。さらに脇を固める銀行の面々など、「鉄の骨」に負けず劣らぬ読み応えたっぷりの企業小説。 

こうして日本はダメになっていったんだなというのが分かるのと同時に、こんなに立派な人材が沢山在野にいる日本の可能性は低くないのにと理解する。

毎日毎日テレビで繰り返すように流されるニュースの一つ一つの後ろには、こうしていきなり当事者の役割を与えられ、大企業がそんなことをするはずがないという世間の偏見の為に、いきなり犯人扱いをされ、会社、家庭、地域とさまざまな場所で戦い続けなくてはいけなくなる事実。

それに対して、どんなことが起こっても、大企業というブランドに胡坐をかき続け、下々のことなど気にしてられないとマニュアル通りの処理をするなかで、それでも企業内部の政治を目的に日々を生きる人がいる事実。

生きることは綺麗ごとではないといいながらも、それでも魂を売ったかのように、生きる意味を日々の仕事の中では見失い、相対的に誰かと比べることでつかの間の安息を感じる人々を描写して、現代のひずみを描き出す。

「誰かが言わなきゃ変わらない。だが、それで変わるのは正しい組織だけだ。」

大きくなればなるほど、ちょっと動いただけでも周囲に与える圧力たるや強力で、それに振り回される周囲の景色は中から見ている分には滑稽ですらあるのだろうか。社会が良くなることよりも、いかに会社が生き残るか、ひいては自らが所属する部の利益が上がるか、そして自分の評価があがるかが重要で、全ては局所的な視線で語られる。

「今の世の中、商品を売ろうとするなら安くするか差別化するかのどちらか。差別化の最重要ポイントがブランドだ。」

昨今のブランディング理論で多く語られることだが、その中でも歴史ほど圧倒的に他を差別化するものはない。だからこその勘違い。

相対的にではなく絶対的に生きる為には、やはり毎日しっかり手を動かすことだと再認識できる一冊。