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所在地 島根県出雲市大社町杵築南
設計 伊東豊雄
竣工 1999
機能 劇場、図書館
構造 鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造
規模 地上4階
敷地面積 20400㎡
建築面積 5567㎡
延床面積 5847㎡
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出雲の地には、その風景に相応しい名匠の作品が体験できるいくつもの建築がある。こちらも2013年プリツカー賞受賞者である伊東豊雄氏の作品。出雲の文化活動の中心となる、図書館と劇場を併せ持った複合施設である。
この作品の大きな特徴と言えば、図書館部分を覆うスロープ状の屋上緑化。地面の芝生がそのまま丘を形成し、「緑のカーペット」となりその下に建築が埋まっている構成で、下記のリストの様に、伊東氏の作品の中で何度も何度も繰り返し現われ、一つの建築言語として発展させてこられた要素である。
1991 八代市立博物館・未来の森ミュージアム
1999 大社文化プレイス
2005 ぐりんぐりん
2006 国営昭和記念公園・花みどり文化センター(アトリエ・ワンとの共同設計)
建築が如何に大地と一体となり、そして訪れる人が地形を楽しむように緑の丘を登り、自然を楽しむように寝転がったり駆け上がったりとする場として建築が存在し、自然の中に建築を埋もれさせることができるか。そんなビジョンを感じることが出来る作品である。
円形を切り取ったようなプランを採用し、アプローチしてくるとまず徐々にせりあがる緑の丘を目にしながら、今度は円形の平面が奥へ奥へと引き込んでいくように立ち上がってくる壁面を見せていく。
背が十分に高くなったところから中心に向かって内部に入って行くと、太陽光が燦燦と降り注ぐ背の高いロビーの中に、矩形と円形の二つのホールのコンクリート壁が現われる。右を見えるとこの建物の肝でもある屋上緑化のスロープがせり上がる断面が内部から良く見えるようになっている。
地域の文化拠点として上手く使われているのが良く分かるように、当日もホールの一部は地元の高校の吹奏楽部によって練習場として使用されているようで、ホールには練習をサボった様子の高校生のカップルが床に腰を下ろしておしゃべりを続けている。
そんな様子になんだか懐かしい思いをしながら外にでると、緩やかにせりあがっていく「緑のカーペット」の脇に設置されたベンチに、こちらも練習を終えたのか二人の女子高生がおしゃべりをしている様子。
こちらも「なんだかいい」と気分も上々に、小走りで緑の丘を駆け上がってみる。その後、なんだか高校時代に戻ったような気分で木製ルーバーの詳細などを観察し、次なる目的地に向けて車に戻ることにする。
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