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前回の飛騨旅行では時間の関係で立ち寄ることが出来なかったこの下呂温泉(げろおんせん)。東海地方の温泉としては珍しく全国的に名が知れた温泉街であり、有馬温泉・草津温泉とともに、日本三名泉として知られている。
飛騨川沿いを中心に旅館やホテルが並び、飛騨山脈の中にぽっかりと開けたオアシスの様に湯気の立ち込めるよい温泉街を形成している。特徴的な下呂の名前は昭和以降に使われ始めた名称で、それ以前は「湯之島」と呼ばれていたという。ちなみに「湯之島」の地名は現在でも「下呂市湯之島」使われている。
そしてその「湯之島」の名を冠するこの下呂温泉の老舗旅館であるのが、「湯之島館」。昭和天皇・皇后両陛下がお泊りになったことでも有名な旅館である。下呂温泉で一番高い場所に位置するだけあり山沿いの道を随分曲がりながら上まであがると、斜面に沿ってへばりつくようにして経つ昔ながらの旅館の姿が目に入ってくる。
その姿を見ると、まるで「千と千尋の神隠しに出てくる湯屋の様な旅館だな」と思わずにいられない。増築された複数の棟が連なって全体を構成している、かなり大規模な旅館ということで、館内はレトロな休館からエレベーターを乗り継いでかなり上階まで上がる新館まで様々な雰囲気が味わえる。
日が暮れる前にチェックインできたので、まずは大浴場で汗を流し、折角なので温泉街を散策しにでかけることに。温泉街の一番上に位置しているので、かなり下まで降りていかなければいけないが、近道は近くに鎮座する「温泉寺」の境内を通る道だと教えられ、その通りに寺の境内を通って斜面に沿ってまっすぐに下りる参道の階段を下りていく。
下呂温泉だから「ゲロゲロ」で「かえる神社」・・・というなんともとんちの効いた観光地を巡り、川を中心に伸びるのんびりした温泉街の雰囲気を楽しみ、夕食に送れないようにと先程下りてきた急な階段を上り宿へと戻る。
夕食をいただくくらいから、今夜から明日にかけて相当な大雪に見舞われそうだということで、宿の中はかなりソワソワした雰囲気に。残念ながら下呂なら少々の雪なら大丈夫だろうということで、チェーンをもたず通常タイヤで来ていたので、受付で「雪が降ったときにタイヤのチェーンの貸し出しを行っているのか?」、「一番近くでチェーンが買える場所はどこか?」などと問い合わせるが、そのような対応はまったくしていないとのこと。
少しの雪でも積もったら、目の前の坂を下りてしたの温泉街にたどり着くのも一苦労になるのは目に見えているが、あまりに良く無い対応に諦めを感じ、もしものことを考えてお酒を飲まずに夕食をいただくことに。折角の飛騨牛も十分に味わうことが出来ず、気持ちはいつ雪が降り出すかにばかり行ってしまう。
食事を終えて天気予報を見ていても、状況は悪くなるばかり。下手すれば明日の朝を待たずに振り出しそうで、一度振り出したら恐らく車で移動することは無理そうだと様々なシュミレーションを繰り返す。電車で帰って後日車をとりに来るのも大変そうだし、雪が降っていない今のうちに下の温泉街にとりあえず車だけでも降ろしておこうかとまさかの温泉街での家族会議。
そんな議論の末に、結局残念だが今夜のうちに戻ってしまうのが一番安全なのではということで、最後にもう一度だけ温泉につかり、宿の事情を説明し深夜を待たずにチェックアウトすることに・・・
翌日には岐阜方面を廻って幾つか建築を廻る予定をしており、事前予約が必要なSANAA(妹島和世+西沢立衛)設計のマルチメディア工房には数週間前からメールでやり取りをして、4人で伺うと警備員にも連絡をしてもらっていたのだが、まずは無事に家にたどり着くことが第一と、深夜12時前に暗い温泉街を車で抜けていくことに。
1時間もしないうちにチラチラと雪が舞うようになり、本格的に振り出す前になんとか高速道路へと入ることが出来た。雪の影響はまだこちらまで到着してないようで、4時間ほどの運転で実家へと到着。ネットで調べるとその時刻には既に下呂ではかなりの積雪量となっている様子。
こうなったら少々不謹慎ではあるが、明日の朝に、「大雪で交通麻痺」というニュースを見て、判断が正しかったと思うことで中途半端に終わった温泉旅行を締めくくりたいと寝床に入ることにする。
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