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2014年1月1日水曜日

Meet the world's best new skyscraper

ちょっと前のニュースだが、共同主宰している建築事務所MAD Architectsが設計をしたAbsolute TowerがアメリカのCNNのサイトにて新しい時代の超高層ビル建築の一つとして紹介されている。

Meet the world's best new skyscraper

以下が紹介作品。
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1 Absolute World Towers / MAD

2 Al Bahr Towers / Aedas Architects

3 Burj Qatar / Ateliers Jean Nouvel

4 The Bow / Foster + Partners

5 House on Mosfilmovskaya 1 / Sergey Skuratov Architects

6 Pearl River Tower / SOM

7 Varyap Meridian / RMJM

8 UniCredit Tower / Pelli Clarke Pelli

9 Dumankaya IKON / TAGO Architects

10 Renaissance Barcelona Fira Hotel / Ateliers Jean Nouvel

11 Zhengzhou Greenland Plaza / SOM
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それぞれのタワーを見てみると基準が良く分からないが、これも一つの励みにして、更に新しい建築の在り方を求めて今年も頑張らないとと気を引き締める。


2013年12月25日水曜日

「再会」 横関大 2010 ★★

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第56回(2010年)江戸川乱歩賞受賞作
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日常に戻るとなかなか読書の時間がとれないもので、なかなか消費されていかない本が本棚から恨めしくこちらを眺めているようでどうも罪悪感に苛まれながら日常を過ごすことになる。

年末だということで、中国ではカレンダーが違うから年末年始も普通に仕事だが、そこは外国人という特権を行使し、仕事への影響を最小限に抑えて数日だけ激寒の北京から暖かいタイへと向かう事にする。

寒さとストレスと疲労で、とことん緊張しきった身体中の神経を少し和らげ、「何もしない事」を目標にただただ好きに読書をする時間を過ごそうと妻に言われ、旅のお供に何を持っていこうかと本棚の前に立つのはなんともいえない至福の時間。

流石に長いこと専門書を読んでないのはまずいだろうと数冊の建築本。こういう時間に新書を持っていくのもなんともさもしい気がして、できることなら物語を読もうを文庫を漁る。

「できる事なら脳のアイドリングの為に、軽めにサラッと読めるものは・・・」と手にした一冊。「江戸川乱歩賞受賞作」とくれば、抜群の安定感に違いないとほくそ笑む。

空港にて搭乗を待つ間に読み出すのだが、なかなかペースが掴めない。どうも素人臭い展開だなと思ってしまうありがちな構成かと思わされる前半戦。それに追い討ちをかけるのが珍しく小説の登場人物として採用された建築家の設定。

国立大学の建築科を卒業し、建築事務所に入所して早速設計を任されてしまったり、30代中頃にして、大学の先輩に誘われて事務所を設立し、他にも忙しくプロジェクトを抱えながらも地元の大きな開発を受注したりと、「ないない」とツッコミを入れたくなるばかりでどうも物語りに集中できない。

一体どんな時代の建築事務所をモデルとしているのか知らないが、現代日本で建築事務所を経営していくとしたら、そんな簡単に仕事は回ってこないし、マンションを購入し、車を乗り回し、打ち合わせや現場確認に飛び回る。平日にも関わらず夜の8時には地元に車で戻ってこれるというから、恐らくそんなに忙しくないか、建築家の日常がどんなものかをよく調査せずにイメージ先行で書かれたのだろうと一人更につっこむことになる。

まぁ小説だから・・・ということだろうが、そんなにうまい事いかないもんだし、これが建築家の生活だと世の中の人は思ってしまうのかとなんだか要らぬ心配をしながらやや不満げにページをめくる。

それにしてもなかなか小説の登場人物としては選ばれない建築家というのは、なんとも退屈な日常を送る職業なのか。それとも普通に生きていれば、なかなか出合う機会もないので、登場人物として利用しようとも思いが回らないのだと更に勝手に想像する。

この「登場人物に建築家がいる」という事と同じくらい、ひっかかって中々先に進めなくなった要因の一つが「女性への暴行」。物語の肝になる部分だが、地方都市のやさぐれた金持ち息子が、高校生相手に山の中でレイプをし、更にいい大人になった相手に再度身体を要求する。

「何ともチープな設定だな・・・」と思ってしまうが、テレビの報道を見ていると、どこかの都市で女性を車に拉致し、暴行をし、更にお金を獲った人間が逃げているというニュースを目にし、ひょっとしてこの設定もあながち絵空事ではなく、実はそういうことに巻き込まれ、心と身体に傷を負った女性が沢山いるのでは?と思わずにいられない。

そんな訳で、最初はなんとも退屈な展開なのだが、徐々に物語は進み、現在が23年前の事件と繋がり、徐々に4人の幼馴染が誰でも犯人になりうる展開になるとそこそこ引き込まれながら読み進める。小学校の校庭に幼馴染4人で埋めたタイムカプセル。

日本人であれば誰でも自分をその中の誰かに投影できるのではという分かりやすい登場人物の役割分担。事件をすらすらと解いてしまうやり手の警察官が23年前に流れ弾を受けた主婦の子というのはやや無茶な気がするなど、ところどころにツッコみどころ満載だが、アイドリングには丁度良かった一冊である。


2013年11月4日月曜日

インターンとフルタイム

建築家の仕事には本当に様々なものが含まれる。

日常的な「設計業務」も、一つ一つ内容をみていったら本当に多岐にわたることとなるが、設計事務所というある種の組織を率いていくとなると、必然的に経営や人事など組織を運営していく業務も同時に行わなければいけなくなる。

「上司にとって最も重要な仕事は部下を公正に評価すること」

そんなことを以前何かの本で読んだことがある。事務所のスタッフやインターンとして来ては離れていく何百という人間と接しているとその言葉の意味が徐々に分かってくることになる。

世界の様々な国からスタッフやインターンがやってくる国際性を持った建築事務所をやっていくと、常にオフィスには様々な文化的、または教育的バックグランドを持ったスタッフを抱えることになる。

その一人一人が、それぞれに何かしらの目的を持ってこの地にやってきて、この事務所を選び、自らが持っていた期待通りに何かを得よう、何かを学ぼうとして毎日を過ごしていく。

それと同時に日本ではまだまだ定着していない制度であるが、この国を始め多くの国では「新卒」という制度に囚われず、大学を卒業しても建築家として働き報酬を得るにはまだまだ経験と知識が足りないと思う人材が、興味を持っている建築事務所でインターンとして入って実務を実際の現場で見ながら学び、その中で経験を積みながら次はスタッフとしての職を探すということが良く見られる。

大学を卒業したから即スタッフ、つまりはフルタイムとして働かなければいけないとはそんなに思ってなく、それよりも自分が何を求め、今の自分がどの程度のレベルで、何が足りていないのか、それを良く考え今自分が行くべき場所を見つけているようである。

そんな訳で我々MAD Architectsにも何人ものインターンが世界中からやって来てくれており、その中には大学を卒業し終え、経験を積むためにこの街へとやってきてくれている人もいる。そんな彼らもインターンとして数ヶ月を過ごし、オフィスのプロジェクトの進め方を理解し、なおかつ配置されたプロジェクトの中で十分にその能力を発揮する子達もいる。

このような流動的な雇用関係の世界では、それこそ恋愛と同じく、お互いが何を考え、何を期待し、どうしたいのかを知ることが重要である。そんな中、何人かのインターンが、インターンを終えてフルタイムのスタッフとなって事務所に所属したいと申し出てくることがよくある。

オフィスのマネージャーと、普段から彼らが属するプロジェクトを率い、直接彼らに接している担当プロジェクト・アーキテクト、そして他のパートナーとアソシエイトと意見を交換し、彼らをどう評価するかを話し合う。

そんな中、フルタイムになることを望んでいる3人のインターンと面談をし、オフィスの意向を伝える機会を設けた。オフィスマネージャーと二人のアソシエイトと一緒になって、一人一人打ち合わせ室に呼び面談を行う。

まずはオフィスとして彼らがインターンとして過ごした数ヶ月を何を評価するかなどを伝える。そして事務所として外国人を雇い入れるということがどういうことか、オフィスがフルタイムのスタッフに期待し、求めることが何か、その責任がインターンと決定的に何が違うのか、オフィスとしてどのようなタイプのスタッフを求め、彼らがどのタイプだとオフィスが評価しているのかなどを伝えていく。

それと同時に、まだまだ若い彼らが自らの建築家としてのキャリアをどう考え、この先数年間をどのように過ごそうと思っているか、将来どこでどのように建築と携わっていこうと思っているのか、そしてこの事務所で何を期待しているのかなど相互理解を深めていく。

そうしながら、インターンとフルタイムの差を彼らに理解してもらいつつ、オフィスとして彼らをフルタイムとして迎えたいと伝えることになる。いきなり呼び出され、何人もの中年達の目の前に座らされ、あれやこれやと言い聞かされながら最後まで聞いた彼らは、それぞれがやはり誇らしげに嬉しそうな表情を見せてくれる。

外国人には英語で、中国人には英語と中国語で話し終え、横に座るアソシエイトとオフィス・マネージャーに何か付け加えることは無いか?と聞くが、それぞれに「がんばって」だとか、「おめでとう」と声をかけてあげている。

そんな姿を見ていると、遠い場所から建築家として時間を過ごしたいと思ってくれる若者がいる、そんな事務所になったんだと改めて思いながら、その期待に応える為にも彼らが望んだものをしっかりと手にして成長していけるような深みのある場所にしていかないとと気持ちを引き締めることになる。

2013年9月23日月曜日

企業文化 ARUP Beijing


今日はいつもお世話になっている世界的建築エンジニア会社であるARUP(アラップ)に中国でのプロジェクトについて少しでいいので話をして欲しいと頼まれて足を運んできた。

なんでも、世界的企業に成長したARUPの中で3年に一度行っている、次世代のリーダー養成の為のプログラムとして、世界中のどこかの支社に1週間滞在してその地で動いているプロジェクトについて学んだり、自分達でチームを組んでプレゼンをしたりするという。何と言っても40前後で分野を横断してプロジェクトを率いる段階に入ってきた人材が、こうして世界の様々な場所で働いている「同僚」と知り合い、情報交換し、互いに高めあっていくというのが大きな目的のようである。

そんなプログラムの一環として、この地で設計をする建築事務所が何を見ているか?どんなプロジェクトを進めているか?その裏に見えるこの先の中国の姿とはどのようなものか?というのを話して欲しいと言うので、30ページほどのプレゼンを纏めて、簡単なカクテルも用意してあると言うので妻も同伴の上、久々に訪れるARUPの事務所。

すっかり馴染みになったイギリス人のエンジニアは既に北京在住10年で、肩書きもダイレクターになっており、久々の再会を喜び会の流れを教えてもらう。参加者はヨーロッパ、アメリカ、アジア、中東、アフリカ等々から総勢30人で、世話人や北京での担当者などを合わせると50人弱。参加者は大体が40前後で、構造、設備、環境、シビル・エンジニア、法務など各部門から選ばれており、各専門によって性格も違っているようなのが見えて面白い。

北京事務所の担当者から現在進行中および過去に行ったプロジェクトの説明が30分ほど行われ、その後紹介を受けて我々のオフィスの作品のプレゼンを20分ほど行う。日本の事務所からの参加者もおり、妻も含め期待していなかった日本語でのリラックスした会話を楽しめた。

それにしてもこうして日常で行っている仕事が、シームレスに世界につながっており、自分の努力によっては世界最先端の技術がどれだけでも学べ、世界中のどこでも、そしてどれだけ面白く同時に困難なプロジェクトにチャレンジできる環境の中で、同じ思いを持った同僚と切磋琢磨しながら過ごせる。そして、会社が更にモチベーションと知識を高めるためのプログラムを与えてくれる。

これが世界で戦う企業文化なのかとすっかり感心すると同時に、どうやれば自分達の事務所に適応できるか考えながら、知り合った人と再会を誓い帰路に着く。

2013年6月20日木曜日

生命体としてのオフィス


オフィスというものは、人がいて始めて成立するものである。

どんなに優秀な建築家でも、一人で「あーだこーだ」と声を上げている段階から、徐々に人が増えていき、オフィスという社会性のある組織へと変化していく。

そして、人が入ってきたり出て行ったりということが日常化してくる。

その中で、あるスタッフが辞めていくことになる。比較的長く勤めてくれたので、その分彼自身にストックされた知識や経験も多くなり、オフィスにとって辞められのは確かなる痛手であるし、その後はチームやオフィスへの負担も一人が抜けたという数学的には見えてこない負担が多くなる。

辞めていく前はいつもそう思うものだが、それでもオフィス自身が自ら負った傷をなめて癒すかの様に、徐々に今いるメンバーで毎日が回っていくようになる。そしてそれがオフィスの日常になっていく。

その推移を見ていると、オフィスもまた生命体であり、生命体である以上、負った傷は治さずにいられないのだと思いながら、徐々にその彼がいないことが日常になっていく雰囲気を感じる。

止まることは、死ぬことを意味する。

ならば少々の傷も気にならないほど、強い命になりたいものだと思わずにいられない。

2013年4月27日土曜日

こむら返り

かつてロンドンで働いている時に、同じくAAの大学院を出て、同じタイミングでザハ事務所で勤務し始めた当時10歳くらい年上のオーストラリア人がいた。

その年齢からか、もしくは彼の経験からかわ知らないが、こちらが必死にコンペで最後の仕上げをしているのに、定期的に画面を覗きに来ては「どうなってる?」「問題ない?」「ここはちょっと直した方がいいね」などと偉そうに言ってくる役割を担っていた。

「オマエは何もしてないのに、何を偉そうに・・・」

と思いつつ、顔が似ているということで、チームの周辺にやってくる度に「ミスター・ビーンがやってくる」と皆でコソコソ言っていたのを思い出す。


恐らくその時の彼の年齢に自分も達したであろうこのごろ。

大きな大きなコンペの締切りを控えたこの時期、今の自分はオフィスの中でよく歩き回っている。

チームのメンバーのパソコンの前まで行き画面を覗き込み、印刷させてはスケッチをし、イラストレーターでの着色を微調整し、インデザインのレイアウトに使う参考写真を探してわたし、レンダリングの雰囲気を描きこむなどととにかく歩いて回る。

そのおかげでかこの数日、朝方にこむら返りになる程。

指示をして、そのスタッフが正確に意図を理解し、テイストを感じ取り、クオリティを確保でき、時間通りに仕上てくれるのなら、こちらはきっと歩く必要はないのだろう。

しかし、これだけ様々なバックグランドを持った人間がいると、それぞれの仕事への姿勢も大きく差があり、ましてはインターンという学生もチームに入っていると、どうしても誰かがこまめにグルグル回って、全体を統合していかなければいけなくなり、その作業は外から見ているよりもずっと難易度が高いものである。

「やれる、やれる」といいながら、一向に仕上がらない平面図。遠くからその作業振りを見ていると、ちょっとやってはすぐに携帯をいじっているスタッフの姿・・・。思い通りに行かないと、必要のないことをやりだしてみるスタッフ。全体を見渡す役割を担わせて見ても、ついつい一つのタスクに視野を取られてしまうスタッフ。

それが人間の性だと分かりつつ、その為には時間と経験が必要だと知りつつ、「勝てるプロジェクト」に磨き上げるために、期限内で仕上るために、明日の朝もまたこむら返りだと思いながらまた歩くことにする。

2013年4月23日火曜日

コンペ

現在、コンペが進行中である。

内容といえば、500m超の超超高層ビルを含んだ複合開発のコンペ。

建築事務所にとって、コンペというは非常に大切なもので、一年に何度かコンペの時期が来るのだが、これまたいつもどおりに締切りの一ヶ月程前からチームは異常な状態になってくる。

朝から晩まで休みなく、とにかくまずは「強い案を作ること」。そしてその「案を仕上ること」。そして「プレゼンとして纏めること」に追われることになる。

二ヶ月近くチームが必死に過ごした時間も、コンペに「負ければ」一抹の泡となり消えることになる。しかし、毎日実務の中で必死の思いで戦っている建築事務所の仕事の中でも、コンペほど明確に「戦場」だと感じる場はない。相手があり、要望があり、限られた時間があり、勝敗がはっきりと決まる。

仕事を獲るために作るのではなく、自分達の信念を形にした案で勝負する。それが如何に素晴らしいか、クライアントが納得できるように案を深化させる。どこかで見たことのあるような、最先端の技術とそれらしい形状を合わせた案では、とてもじゃないが提出できない。

自分達がやることで生まれるオリジナルのアイデアを持った新しい高層ビルの在り方を問うプロジェクト。他の誰かが作れる案ならやる意味がないと信じて、毎日自分達の限界に挑戦する緊張感ある時間。

見返りが保障されない仕事だけに、かけられる時間と労力も限界があり、如何に最小の仕事で最大の効果を挙げることができるか?それを必死に考えながらチームを操作していくことになる。ちょっと目を離すと、スタディという名の下に、際限なく集められる参考プロジェクトとそれに色をつけたダイアグラム。同時につくられる方向性を持たない数々の「オプション」・・・。

プロジェクトを理解するための最低限の参考資料。それを見てから探る高層ビルの新たなる可能性。そこから導き出される「手」をつかったスケッチ郡。その中で輝きを放つ少ない方向性を見つめ、敷地、プログラム、日照などの諸条件に照らし合わせてプロジェクトに適応させていく。箱からこぼれそうな砂の山を、「トントン」と軽く叩きながら箱の中に収めていく作業のように、徐々にある一方向に収束していく案。

違う人間がやす作業だけに、どれだけ丁寧に説明してやってもらっても、やはりイメージ通りのモノには仕上がらない。それをまた「トントン」と叩きながら、少しずつ方向修正を施していく。

あと2週間。この時間が「生きる」様に、全力で頭と手を動かすことにする。

2013年4月22日月曜日

物凄いインターン


毎週月曜日は、HRの担当者と共に国内外から届くインターンへの応募してくる学生のCVとポートフォリオを10から20通近く見ることになる。予め担当者が選別をしているから、現在進行中のプロジェクト・チームに入ってチームの助けになるような能力を持った人材が中心となる。

思うのはそのレベルの高さ。中国人ならほとんどが海外の大学に留学しているか、国内でも良く耳にする有名大学で、英語が出来るのは当たり前。CADが使えるのは当然で、ライノも必須。Mayaがついてくればなお良く、Grasshopperも最近では標準となってくる。

ポートフォリオでAdobe関係のソフトとMaxwellなどのレンダリングスキルも問われ、設計事務所の中でどのプロジェクトでも手助けになれると判断したら返事を出す。

外国人はより各大学などの傾向が強く反映されており、コロンビア、サイアーク、コーネル、MITなど各大学が今どんな教育をしているのかが良く分かるようになっている。

学生を終えて実際に所員として働き出すまでの期間に経験を積むために来るものが多く、ほとんどの人間が既にどこかの事務所でインターンシップの経験がある。

確かにここで過ごす4ヶ月の間に、みんな英語も流暢になっていくし、Ecotect、Grasshopper、Gecoなどのソフトまで使えるようになっていく。学生としてそれだけの能力あれば、さぞや面白いプロジェクトを学校で作るのに役立つだろうと想像する。それは驚くべきことである。

結局学生時代に身につけたものがその後の建築家人生の基礎となり、その後いくら頑張っても概念を理解してないものをいきなり覚えるのは無理であることはこの10年で十分理解できた。

バージョンアップや同じ分野の新しいソフトの出現には対応できるが、スクリプトに触れてこなかったら今のアルゴリズム系のソフトへの理解はほとんどが無理であろう。

もし今の自分が学生ならインターンへの応募も断られてしまうかもと思うと改めて現代の学生の出来る事の多さに改めて凄いなと思う。

また同時に、このようなインターンシップを経験する事がない国の建築学生。そこに日本も含まれるが、どれだけ自分が同年代の海外の学生に比べ、知識や能力に差がついてしまうか?それを実感せずに、ただただ学生時代の作品をまとめたもので、毎日必死に戦い続ける建築事務所が戦力としてみてくれて、雇いとってくれると思うのか?

就職が戦線であるように、限られた数のポジションしか無いのであれば、他の人間よりも力があると証明しなくてはならず、毎日朝から遅くまですべてが吸収するべき内容に触れる数ヶ月を過ごし、それを踏まえて自分の足りてない部分を補いつつ、残りの大学生活を過ごしてきた人物とそうでない人物とを比較すれば、大学卒業時には大きな差となって現れるのは必然だと思わずにいられない。

もちろんインターンはずっとこの場にいる訳ではなく、目的があって仮の居場所として数ヶ月ここで過ごすだけである。彼らもそれを理解し、確実に自分が自分の将来のために必要なものをできるだけここから身につけ、十分にしたたかにしっかりと持って返っていく姿を見ると、どうしてもただ目の前のことに夢中になっていた純粋無垢な自分の学生時代と比べてしまうし、それ以上にのほほんとしていた日本で教えていた学生たちの姿を思い起こさずにいられない。

建築なんて息の長い世界に飛び込むのだから、決して焦ることもないのだと思う一方で、こうして緊張感のある時間を学生のうちから経験し、建築家としての日常が実際にどんなものなのかを感じて自分の将来を決定していくプロセスがあったのならば、きっと今とは違った現在が自分にも存在していたのだろうと想像し、できることなら少しでも多くの学生がこのようなインターンとしての時間を過ごしても、その将来にマイナスにならない教育制度に一刻も早く変わっていってほしいと切に願わずにいられない。

2012年12月13日木曜日

レファレンス・レター

10年以上前に、ヨーロッパで建築を学ぶためにと、大学院への応募に必要な推薦状を書いて頂けるようにと恩師にお願いをさせていただいた。

若かりし頃の自分にとっては、その大学院へ入れるかどうかはとても大きな違いをもたらす為に、書いて頂いた推薦状を大切に保管しながらヨーロッパに渡った記憶は今でもハッキリと覚えている。

一年の終わりである12月。

様々な人にとっても区切りであることは間違いなく、これまでとこれからに想いを馳せて、そして準備をする時間でもある。

そんな訳で、オフィスに在籍するスタッフやインターンからレファレンス・レターをお願いされることも多くなるのがこの師走。20代中ごろのアメリカ人スタッフは、30歳になるまでに修士号を取っておきたいので、何とか来年の9月からの大学院に入学したいと、希望校へ提出する推薦状をお願いしてくる。

MITやプリンストンといった建築でも良く名の挙がる大学に加えて、不況の時には高等教育に戻って自らの能力を高める人が増えるので、更に競争率も激しくなっているだろうということで、できるだけ彼の特徴を描き、その大学の教育方針とどういう適合性があるのかを明文化するように心がけ、書き上げたデータをそれぞれの大学院の指定サイトにアップデートする。

フォーマットや一字一句まで気を配るその彼の姿を見ていると、この入学が当時の自分と同じくどれだけ大きな意味を後になって持ってくるのか、そんなことを想像しながら、過ごした時間に想いを馳せながら、希望通りの大学院に入って、思いっきり自分の情熱を向けて学んできてほしいと思わずにはいられない。

2012年11月20日火曜日

伸びきったゴム

「I'm very stretched....」

stretch;〈神経などを〉極度に緊張させる, 張りつめる;((〜 -selfまたは受身))〈人が〉能力[限度]いっぱいに働く

頭の中に思い浮かべるのは、ダラダラに伸び切ったゴムのイメージ。これ以上どんだけ引っ張っても何も出てこない感じか。


朝一から大連市の海辺に計画している新しい文化複合コミュニティアイランドの打ち合わせを、チームとパートナーと一緒に行う。約一時間かけ大きく二つの方向性を確認し、チーム内で各メンバーがどうやって進めていくか、フルタイムのスタッフがスタディをし、インターンがリサーチをしていく。30万平米の敷地に35万平米の延床面積の巨大プロジェクトで陸地からの見え方や高さ方向の決定方法など、検討項目は山ほどになる。

いくらオフィスでこなすプロジェクトが増えようとも、同じメンバーでこなさなければならず、出来るのはその効率を如何に向上させれるか。オフィスにいるすべてのメンバーがやることが無い時間をなくすこと、何をやっていいか分からずに無為に過ごす時間をなくすこと、それが至上課題。多くのプロジェクトが同時に進行中なので、少ない人数で明確な進行をはかること、それがオフィスを回していく上で非常に重要になる。

一時間の打ち合わせを終えると、昨日(日曜)の夜に、こちらも二人のパートナーとチームと一緒にレビューをした南京で進行しているプロジェクト、38万平米の敷地に、こちらも38万平米の延床面積という都市計画レベルのプロジェクト。夏に行ったコンペを勝ち抜き、来年度の施工開始に向けてものすごい勢いで進んでいくプロジェクトには、フルタイムが5人とインターンが2人の計7人体制。商業、オフィス、住居、文化と機能的にもかなり複雑であり、更に空中都市を夢見るクライアントの要求に応えるべくさまざまな挑戦が求められる。明日の夜までにまとめないといけない資料に向けて、誰が何と担当して進めていくか?それを明確にして、誰もが悩まないように、どんなダイアグラムを作り、どんな図面を作成し、何を3次元で立ち上げ、どんな角度で、どんな色合いのパースをつくるのか、一人一人に指示を出していく。

それが終わるとこれもハルビンで現在建設中の文化施設周辺のランドスケープデザインのための照明を担当する照明コンサルタントに、プロジェクトの概要を説明し、どのような照明効果を期待しているかを共有していく。質疑をあげてもらって問題が無いようにしたら、求める資料をいつまでに、どのように仕上げてもらうかを協議する。

それが終わると、アモイで進行中のアパレル会社の新社屋のプロジェクトのプロジェクト・アーキテクトとマネージャーと一緒に、迫ってきているSDパッケージの提出について、どのような進行状況かを確認して、何を準備するかを指示。それと共に、プランニングと平行して進んでいるファサードのデザインの方向性がオフィスとして固まってきたので、再度パースを作り直し、ファサード、構造、環境の各コンサルタントに伝えるようにお願いする。

下階の会議室では、ハルビンで建設中のオペラハウスのクライアントが来ていて、ランドスケープ・デザイナーの進行中の案を精査しており、オペラハウス周辺を担当するオーストラリア人のデザイナーと、全体を担当している中国の会社との調整をいsている。各コンサルタント会社から担当している3-5人が来ているので総勢40人近い人数になってしまうのだが、昼食時になったので打ち合わせの状況を知る為に、オフィスの担当マネージャーを連れ出して一緒にランチに。

ランチを食べに行く間も、注文する間も、食事が運ばれてきて食べている間もずっとそのマネージャーの携帯はなりっぱなしで、「こういうコミュニケーション関係の仕事は本当にしんどい・・・」と愚痴をこぼすのを、「君しかこれはできないからさ。」と励ましながらランチをかきこむ。

つかの間のランチを終えてオフィスに戻ると、そのマネージャーはまた始まっているオペラの打ち合わせに消えていき、こちらは毎週月曜日の恒例行事となってしまっている、応募して来てくれているインターンのポートフォリトとCVをチェックし、どの国のどの学校のどの学年で、どのレベルの学生が精査し、現在進行中のプロジェクトのスケジュールと、彼らが来れる時期を考慮し、現在いるインターンとこれから来るインターンの男女比や国籍比などを考慮して、返事を送る数人をオフィスのマネージャーと一緒になってピックアップしていく。

それが終わると日本で始まった保育所兼住宅の設計のために、中国で進行するような大きなディベロッパーがやる大規模のプロジェクトではなく、数百平米で内装まですべてを手がけて、法規的な理解も必要になってくるので、元フォスター事務所で細かいところまで手の届くドイツ人のスタッフを担当にして、日本人のインターンを翻訳担当として入れて、もう一人ハンガリーからのインターンと一緒にチームを組んで、プロジェクトの概要を説明し、最初のリサーチと設計の前段階になる資料の準備をお願いする。

このくらいの時間になると、午前に打ち合わせをした各プロジェクトごとにテーブルを回って、進行を確認し、方向性に間違いが無いか確認していく。スケッチや言葉ではどうしても逸脱していってしまう方向性を画面を指差しながら修正してもらう。各チームは3-7人構成なので、それを5-7プロジェクト見ていたらそれこそ数時間後とに様々なデスクを走り回ることになる。

それが終わると、今度はオペラハウスの外装材とランドスケープデザインに関して、二人のパートナーと一緒にプロジェクト・アーキテクトとマネージャー、そしてファサードを担当している担当者を交えて議論をする。どうしても、中国の現在の施工精度を考慮して、その現場施行性の悪さすら飲み込んで、滑らかなファサードを実現するディテールを作り出そうと、何が一番いい方法かそれこそ言い争うように必死に議論する。

最後は8時からまた二人のパートナーと一緒に、昨日レビューをした南京のプロジェクトの進行状況を再度確認し、デザインの方向性をまた決めていく。明後日の上海でのプレゼンのために、どういう資料を揃えていくか議論し、再度打ち合わせを踏まえてチームメンバーと誰が具体的に何を作っていくのか話し合い、それが終わったらほぼ10時前。

こんな時間の過ごし方をした一日は、「どのプロジェクトのどのコンサルタントに連絡しようと思っていたのか?」すら分からなくなり、「どのプロジェクトのどのことを話し合って、何を変えなければいけないのか?」それすら分からなくなる。

苦しいといっても何も解決されないわけだから、ただただ出来るのは、自分の能力が足りないからだと自らに言い聞かせる。さっさっと指示して、みんなにスムースに動いてもらって、正確に無駄なく、良い設計を作っていける。そんな一個の生命体の用に事務所が動いていけるように何をできるか、考えながら完全に神経のゴムを伸びきらせて、また頭を働かせながら自転車を飛ばして家路に着く。

2012年1月27日金曜日

夜行バス

現代の日本で建築事務所をやっていると、否が応でも支出をどうやって減らしていくかを考えないと、本当にあっというまに事務所を閉める羽目になる。

大阪までの出張でも、お客さんからは一人分の経費で計上させてもらっているので、スタッフに引継ぎの為に二人で行かなければいけないといっても、

「はい、そうですか」

なんて、二人分をお願いできるわけも無く、かといって赤字を出して二人で新幹線で行くわけもいかない。それにいつか自分で事務所をやっていくことになるスタッフに設計事務所としての経済観念を分かっていてもらうためにも、二人して夜行バスで向かうことにする。

深夜に新宿西口から出発し、早朝に大阪・梅田駅に到着し、一人4000円ほど。一人で大阪に行くよりもやや安くあがるので、その分仕事終わりで少し大阪で飲みに行こうということに。

夜行バスに前に乗ったのはいつだったか?と思いながら、二人で軽く居酒屋で飲んで準備をし、乗り込むバスは、寝ている人もいますから、と携帯の液晶を光らせることも、カーテンを空けて外を見ることもできない、完全に密封状態。

たまたま大阪行きの夜行バスで、隣に乗り合わせて会話が盛り上がって・・・

なんてことは、まったく起こりうることもなく、客同士のトラブルも、会社に対するクレームも排除するために、それが起こる前の段階で、100%他者との接触を起こさないようにする規制緩和後のバス会社の戦略に見える、いかにも現代の日本。

揺れる真っ暗な車内で、身体のあちこちが痛くなりながらも、侘しい世の中になってきたもんだと眠りに落ちる。