2011年9月30日金曜日

21世紀は「都市(シティ)」の時代

元デンバー市長であるウェリントン・ウェッブ氏の言葉

「19世紀は帝国、20世紀は国家、21世紀は都市(シティ)の時代」

恐らく本当にそうなるであろう。ネットの出現により時間の距離の意味を変容した現代社会においては、国家の繁栄がそのまま国内の繁栄を意味するのではなく、都市レベルでの格差、勝ち組負け組がはっきりし、人口を失う都市。衰退する都市。消滅する都市。新しい価値を生み出す都市。若者をひきつける都市。新しい都市の在り方を作り出す都市など、様々な多様性が都市の中に現われてくることだろう。

その大きな変動の中で、建築家として未来に繋がる価値のある都市づくりに少しでも寄与できればと思わずにいられない。

2011年9月28日水曜日

「背の眼 上・下」 道尾秀介 ★★★












ここ数年の文学賞を総ナメにしている勢いのある作家で、「向日葵の咲かない夏」もそこそこ楽しめたので、最近作が文庫化される前に以前の作品を読んでおこうと手にした第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。

自分自身と言える作家が主人公で、福島の田舎で遭遇した不思議な現象を心霊研究をしている大学時代の友人に相談に行き、そのアシスタントと3人で事件の謎を解いていく、という分かりやすいストーリー。

天狗のルーツは、古代中国で彗星を見た人が、それを尾だと思い、天を駆ける狐、天の狗そして天狗へと変化し、それが日本古来の山岳信仰に組み込まれ、役小角(えんのおづぬ)を開祖とする修験道に仏教が融合し、天台宗、真言宗の山岳仏教へと発展し、その山伏の姿がいつしか天狗のイメージへと定着していく。

という話はなかなか面白かった。

「在るものを見るのではなく、見えるものを在るとする」という心霊の本質をつく言葉にふむふむとし、駱駝の背中に藁を乗せ、その一本を乗せると背中がポキリと折れる最後の一本があるという「ラストストロー現象」も、ほぉーっと聞いてしまう。

そんなわけで、流石に物語を読ませる安定感は感じられ安心して読めるが、大きな期待にこたえるほどではなかったのが率直な感想か。

2011年9月19日月曜日

大山・伊勢原 ★★
















山登りをするようになって、二年近く。そろそろ関東での山登りの初心者コースと言われる丹沢付近に足を近づけることにする。

山登りをするようになって思うのは、一人で登ればいつどこで下山してもいいのだけど、

「あの角を曲がれば頂上かも・・・」

と思いながら一歩一歩足を進めることが結局は、いつかは高い山の山頂に辿り着くんだということ。

そしてもう一つは前日のリサーチがとてもとても大変だということ。

ネットにアップされている情報の多くは車で登山口近くの駐車場まで行ってからの・・・で始まるものが多いので、電車で近くの駅まで行って、そこからバスか何かしらの手段で登山口まで行って、その時刻表が・・・みたいな情報はあまり出てこない。

そんな訳で日が落ちる前に帰りのバスに乗るためにと逆算をして、登山と下山にどれくらいの時間が必要で、その為にはどの時刻のバスに乗ればいいのか、それに合わせて電車には、お昼を上で食べようとすればどれくらい時間がずれ込むか、なんてことを考えての起床時間決定。

山手線みたいに、数分おきにバスが来てくれればいいけど、山近くのバス停は下手すれば一時間に一本なんてこともある。そこでのミスはかなりの致命傷になること間違いなし。

そんな訳で前日までのリサーチでイメージを膨らませ、伊勢原駅から流行の大量の山ガール達を片目にバスに乗り込み、ケーブルカーを乗り継ぎ、阿夫利神社駅脇の登山口から始まるいきなり厳しい階段より登山開始。頂上近くはかなりモヤが出て景色はのぞめなかったが、汗もたっぷりかいて、水もたっぷり飲んで爽快な一日に。
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2011年9月19日 敬老の日
天候      晴れ
所在地      神奈川県伊勢原市
標高         1,252m
歩行距離  約8.0km
歩行時間   約4時間30分
標高差      1,050m

7:41 新宿駅
→ 小田急小田原線急行・小田原行 570円 (58分)
8:39 伊勢原駅

8:45 伊勢原駅北口
9;15 大山ケーブル

9;15 大山ケーブル
→ 徒歩 (15分)
9:30 大山ケーブル駅

9:30 大山ケーブル駅
→ ケーブルカー (16分)
9:46 阿夫利神社駅

9:46 阿夫利神社駅
→ 徒歩 (1時間30分)
11:20 山頂

昼食 

13:00 山頂
→ 徒歩 (15分)
13:15 大山寺
→ 徒歩 (15分)
13:30 大山ケーブル駅
→ 徒歩 (10分)
13:40 バス停大山ケーブル

13:42 バス停大山ケーブル
14:12 伊勢原駅北口

伊勢原駅
→ 小田急小田原線急行・小田原行 570円 (58分)
新宿駅

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2011年9月10日土曜日

重陽の節句

川中島の決戦を目の前にして、菊酒で必勝を祈った上杉謙信には程遠いが、楽しい夏も終わりが見えはじめ、そろそろ次の季節の準備をしなきゃと北京に渡る。

陽数の極である9が重なる日であることから「重陽」と呼ばれるこの日には、陰陽思想の生みの国で過ごすにこしたことはなく、中秋節の3連休に入る週末前という最悪のタイミングにも関わらず、いろいろと整理に明け暮れることにする。

この際だから、制限を受けるネット環境も解決しようと、「中国ではフェイスブックもグーグルも使えないんでしょ?」という問いに、「VPN通したから使えるよ」という答えを頼りに、オフィスでPC担当者を捕まえて、「一体どういう意味なんだ?」と聞いてみると、なんだかスルッと避けるみたいなイメージだと説明され、いまいち納得してはいないがあれやこれやといろいろとカスタマイズ。

最悪と呼び声の高いVistaの束縛から解放されてWin7の快適さに浸ると共に、「ひょっとして・・・」と思ったらやっぱりフェイスブックだけでなく、ブロガーを初めとしたグーグル関係の制限も逃げれるのかとほくほくする。やはり陽の重なりは吉祥だとここで納得。

どこかに居る時間を重ねるということは、どこかに居ない時間も同時に経過するということを自覚して、居なかった時にここで経過した時間を少しでも理解するようにと、デジタルとフィジカルと共にアップデートする数日間に思いを馳せる。