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2013年5月2日木曜日

ボーダー


数日前に、締め切りの迫ったコンペの仕上げの為に、週末も関係なく出勤し、夕飯の時間も忘れて作業に没頭していたら、妻より「少しはワーク・ライフ・バランスも考えて」と怒られる。

忙しいことはしょうがないが、家族を怒らせてはいけないと少々反省する。
そして考える。

余裕を持って今の自分の時間の過ごし方を振り返る、なんてのんびりとした時間の過ごし方はこの情報化社会の中で生きる30代にはなかなか手の届かない理想だとは理解する。

ましては余裕を持ってこれから自分の進む道、時間に想いを馳せる、なんていう一歩先には到底たどり着けるはずも無く、そんな余裕も無く日々はそれでも過ぎていく。

そんな中でも忘れていけない基準線。つまりは超えてはいけないボーダーを自覚的に時間を過ごすかどうかは重要だと、改めて考えさせられる。

その最たるものが、家族や大切な友人に連絡の一つ、メールの一つも入れるのが出来ないほど忙しさかと思う。

「時間に余裕がない」ということは、「気持ちにも余裕がない」と同義であり、それは同時に自分の自信も徐々に無くしていき、人と接する時間も削られるに従って、自分を肯定してもらえる相手との時間も減ってくる。

そんな悪循環。

そんな時間の過ごし方はダメだと思ってはいるけれど、やるべきことかどうかも分からない日々処理しないといけないことに押し流されて、気がついたら深夜。

飯を食べて、風呂に入って、寝る。
人間的というよりは、動物的な時間の過ごし方。

そんな自らの姿を良く分かっているからこそ、更に友人への連絡が疎かに。

そこまで考えを巡らして、「これはいかん」と、出産を控えた親友にメールを送り、超えそうになっていた足元のボーダーに視線を落とすことにする。

2013年4月28日日曜日

「ボーダー ヒートアイランド 4」 垣根涼介 2010 ★

いわゆる「シリーズもの」。第1作の「ヒートアイランド」が2001年だから、4作で10年近くということになる。

圧倒的なインパクトを残した1作目で描かれたのは、如何にも現代らしい若者の街「渋谷」。その街を舞台に、二人の少年がそれぞれの特殊な能力を駆使し、大人たちに迎合せず、自分たちの世界を築いて痛快なスピード感から、まるで脳内で花火が打ち上がるような爽快なクライマックスで引き起こされる事件と、その後ろに見え隠れする二人のプロフェショナル。

渋谷を引退した二人の少年のうちの一人・アキが、そのプロフェッショナルに弟子入りし、裏家業の新たなる仲間として様々な技能を身につけていく二作目。裏金として世の中には決して数字として現れないものだけを狙うプロの強盗。暴力のプロを相手にするだけに、傭兵ばりにストイックで効率的な時間の使い方から確実に何段階も成長するアキの姿。

とことん気分屋でそれでも魅力的なコロンビア人の出稼ぎ売春婦に振り回され、かつての仲間に頼り大金の強奪を画策する日系ブラジル人高木の姿を描く3作目。

そして6年ぶり描かれたシリーズ物は、あっち側の世界に行ってしまったアキに対して、その頭の良さを活かし大検から東大に入り過去を隠しながらひっそりと大学生生活を送るカオル。その同級生つながりより知ることになる、現在の渋谷でかつての自分たちのチーム名と名前をかたり、同じようなファイトパーティーを行っている偽者の存在。そして連絡を取り合うかつての仲間たち。

そんな訳でやっぱり読んでしまうのが魅力的なシリーズものであり、それはしっかりとつくりこまれた魅力的な登場人物がなせる業であり、一流な人間は何をやらせても一流なように、魅力的な登場人物が繰り広げる物語はやっぱり魅力的で疾走感に溢れる。

という訳で、とりあえずこの人物たちを描いておけばそれなりの売り上げになるのは間違いなく、ある程度読めるということだろうが、やはり一作目の圧倒的なスピード感と「ワイルド・ソウル」で描かれた圧倒的な新しさに比べると、続編の宿命を感じずにいられないというところか。