2006年10月25日水曜日

Temple of the Right Angle イリノイ工科大学クラウンホール ミース・ファン・デル・ローエ 1956


イリノイ工科大学にミース設計によるオーディトリアムがある。鉄骨とガラスによるシンプルに典型的なインターナショナルスタイルの建物で、「直角の社」といって問題ない近代建築史における名作である。その中で開催された「Thinking Outside of the Box」と題されたシンポジウム。20世紀の巨匠に捧げるレクイエムとしては申し分のないトピックな訳である。

NYアラップのトップが主催しただけあって、世界中の一流建築家や構造設計家、コンサルタントやディヴェロッパーが集まった。アラップ・北京代表のローリーからアラップ・NY代表のデビット、アラップ・ジャパン代表彦根さんを紹介された。ザハのパートナーのパトリックもプレゼンに来てて、「どうも、ひさびさです」と挨拶。昼時にかつてOMAでイリノイ大学の学生センターを手がけたマークが、当時の構造設計を担当していたローリーと共に建物を一通り案内してくれる。構内に通る高架鉄道をコンクリート・チューブで覆い、下層部を複層化し両側を結合するという設計。構内を歩く途中にも「あ、ミース」、「あ、クールハース」、「あ、モーフォー・ヤーン」と飽きることがない。

しかしプレゼンが近づくにつれて、なんかこう久々に緊張してくる。500人近いアメリカ人を舞台から見ていると、「いや、何しゃべろうかな・・・」と軽く凹んだりする。しかし、一度話し出せばベラベラ喋ってあっという間にプレゼン終了したのだが、その後に少なくない人が「いや、よかったよ」と言ってくれるのはやはり励みになる。

一日目のセッション終了後に雑誌の取材を受け、そのままカクテル・パーティーへと流れる。その上のビルにSOMのオフィスが入っているので、そこで働いてる知り合いにオフィスを案内してもらうことにした。NYKPFのオフィスを見学したときもそうだけど、アメリカのコーポレィティブ・建築事務所のオフィスは、どーんと抜けていてスペースにかなりのゆとりを持ったいいレイアウトになっている。そんな中でなぜだかパーティーをしている彼らを見て、こりゃ仕事がはかどるはと、なぜか納得。

明日はただ聞くだけなのでなんのプレッシャーもない。
営業と建築巡礼とハロウィン用のコスチューム探しに奔走しよっと。







2006年10月24日火曜日

Less Is More


シカゴといえばミース。
ミースといえば[Less is More]

近代高層建築の発祥の地シカゴで、明日から「ボックスの外へ」と題された国際建築会議が開催される。ミースの言葉と「ファンズワース邸」や「レイク・ショア・ドライブ」に代表されるように、近代建築が目指した装飾を削ぎ落とした洗練。その先に行き着いた触れただけで切れそうな箱型のスカイライン。

20世紀に振り切れた高層建築というタイポロジーの振り子が、現代における技術の発展を想像力を持って、これからどのような振り返しが期待できるのか?という主旨のシンポジウムな訳である。世界中からザハ・ハディドやダニエル・リベスキンドなどのそうそうたる顔ぶれにまじり、我々もカナダのトロントのタワー案をプレゼンするために招待され、冬が目の前に迫るシカゴにいる訳だが、それにしても寒い・・・

ミースのみならず、ライト、SOM、サーリネン、マーフィー・ヤーン、クールハース等々とシカゴは近代から現代建築の都市美術館みたいなもので、シンポジウムありの二日間という過酷なスケジュールの中、どのルートがベストかを考えているだけで眠れない・・・