2014年2月2日日曜日

斐川町(ひかわちょう) ★★


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「にほんの里100選」に選ばれている美しい田園風景。道すがら通りかかるのでせっかくなので立ち寄ることにする。

宍道湖の西側に広がる水田の町、斐川町(ひかわちょう)。街中にある湯の川温泉は、「日本三美人の湯」の一つでも有名である。ちなみに他の二つの温泉は、以前訪れた和歌山県の龍神温泉と、群馬県の川中温泉。今回は残念ながら温泉には立ち寄ることが出来ないが、この街の風景を際立たせるのは田圃の中にポツンポツンと立っている住宅を隠すように立っている「築地(ついじ)松」。

洪水と風を防ぐために住宅を囲うように植えられたクロマツの高生け垣。どこのものも規制でもあるのかと思うくらい綺麗に高さが整えられている。田圃の真ん中に街中を南から北に抜けていく道を走っていると、右にも左にも、ポツンポツンと森が切り取られたようなクロマツの「築地松」が視界に飛び込んでくる。その風景はやはり美しいものである。

せっかくなので、街の観光名所となっている原鹿の旧豪農屋敷に立ち寄ることに。ここは原鹿江角家という豪商の住宅で、今は無料で公開されており、枯山水の庭園など結構楽しめる。

その向かいにある住宅に、「築地松」のクロマツがすべて途中で切り落とされているのを見かけたので、旧豪農屋敷の案内の方に聞いてみると、やはり手入れと保存に相当費用と手間がかかるので、保持を諦める人も多いのだという。

こうして偶に訪れて美しいと風景を愛でる責任のない観光客には分からない、その風景で日常を生きる人々の苦悩。時代が変わり、豪商として使用人を多く抱えることが出来た時代の産物の「築地松」。時代が変わった現代にそれを保存しろと無責任に叫ぶのはできないが、こうして徐々に日本の風景が消えていくのもまた寂しいものである。

旧豪農屋敷の向かいには平屋の町営アパートが立ち並ぶが、その間にある道沿いに、水田の町らしい水路が流れている。その一部が真ん中に壁を立てられ二股に分かれている部分がある。水田へ水を引くためかと思うって詳しく見てみるが、どうもその痕跡は見えない。

しかし片側は少し流れが緩やかになり、淀みができている。効率だけではない少しの変化が生み出すちょっとした風景の中の歪み。それが風景に少しのアクセントを付けてくれる。風景を楽しむ知恵から生まれたのだろうと勝手に納得し、次なる目的地へと向かうことにする。














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