黄泉比良坂(よもつひらさか)
と言われても、ピンと来ない人がほとんどだと思うが、「黄泉の国」と言われたら、「あの世」のこと、つまり日本神話における「死者の国」をさすことは知っているはず。そしてその「黄泉の国」に関する下記の神話も聞いたことがある人がほとんどではないだろうか。
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男神・伊弉諾(イザナギ)は亡くなった最愛の妻・伊弉冉(イザナミ)に逢いたくて跡を追い、死者の国である黄泉に行く。伊弉諾(イザナギ)が妻を呼ぶと、「わたしも帰りたいと思います。黄泉の国の神に相談しますので、その間は決してわたしの姿を見ないでください」と言って、消えてしまう。
伊弉諾(イザナギ)は待てども返事がないので、しびれを切らして辺りを見てしまった。そこには体にウジ虫がわき、ふた目と見られぬ妻・伊弉冉(イザナミ)の姿があった。
「あなたは、わたしに恥をかかせましたね」と怒った伊弉冉(イザナミ)。
恐ろしくなって逃げる伊弉諾(イザナギ)を伊弉冉(イザナミ)が追いかけてきた。そこで、伊弉諾(イザナギ)黄泉比良坂にあった大きな岩で道をふさいでしまう。
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そう、ここで登場するのが「黄泉の国」から現世に通じる坂、黄泉比良坂(よもつひらさか)。その石で塞がれた「黄泉の国」への入り口があるとされるのがこの場所である。
車を停めると、右手に少し坂になっているので上がっていくと、左手に折れて細い橋のような道を進むのだが、その右手には怪しく濁る池。その橋を渡りきると今度は左に折れて目の前には2本の石柱に細い注連縄。ここに結界があることを強く示している。その先の茂みの置くには大きな岩が置かれている。
周囲に残る雪がここでは茂みに覆われた土が露になっているのもなんだか意味深な気がしてくるから不思議である。神話の続きは以下の様になっている。
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黄泉の国から戻った伊弉諾(イザナギ)は、穢れを落とすために泉で禊ぎをする。その時、その左目から生まれた神が天照大神(あまてらすおおみのかみ)、右目から生まれたのが月読命(つくよみのみこと)、鼻から生まれたのが須佐之男命(すさのおのみこと)となる。
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つまりはこの黄泉比良坂は神話のルーツとも言える場所である訳である。そんな特別な場所にも関わらず、出雲大社などに比べ余りにも観光地化されていないこの黄泉比良坂。「場所が場所なだけに観光地化するのもあれだが・・・」と思いながら厳粛な気持ちでこの地を後にする。
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