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2014年4月19日土曜日

名古屋大学博物館(名古屋大学古川記念館) 谷口吉郎 1964 ★★


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所在地  愛知県名古屋市千種区不老町
設計   谷口吉郎
竣工   1964
機能   博物館
規模   地下2階
構造   RC造
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槇文彦の設計による名古屋大学豊田講堂の横に位置するのが、谷口吉郎(たにぐちよしろう)設計による名古屋大学博物館。この建物はその用途と共に名称も変わっているので整理すると、最初は古川図書館として設計され、その後資料館として古川記念館となり、さらに名古屋大学博物館となっている。現在では、名古屋大学博物館と古川記念館の両方の名称が使われておりそれが混乱を招いているようである。

さて設計者の谷口吉郎。1904年生まれの建築家で東京帝国大学を卒業し東京工業大学で長きに渡り教職に就いていた。庭園研究者でもあり、明治村の初代館長をも務めた人物で、息子も世界的な建築家である谷口吉生である。

ちなみに先程見てきた建物の設計者である飯田善彦がかつて働いていたのは、この谷口吉生の事務所である。そんな訳で親子に第二渡って様々な縁が入り組むこの名古屋大学の構内空間。

配置としては高低差がある斜面状の敷地に長手方向を向けながら配置される為に、水平性を強調した1階部分がセットバックし深い陰を作る造形が取られている。それは同時期に丹下健三が目指したモダニズムとの日本建築との融合を感じさせる造形に近い印象を与えてくれる。

豊田講堂の巨大なスケールから一気に縮小された空間のスケール。そしてダイナミックな造形が散りばめられる豊田講堂に対して、ミニマルな建築言語で纏められたこの建物との面白い対比を見せてくれる。

1960年に豊田講堂が竣工したということで、その完成した講堂を前にして構想を建て計画を進め、そして工事を進めていったと思われるこの建築。そこで谷口吉郎が何を選択していったのかを感じながら見ていくのもまた建築の歴史を楽しむ一つの手であろう。






名古屋大学豊田講堂 槇文彦 1960 ★★★★


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所在地  愛知県名古屋市千種区不老町
設計   槇文彦
施工   竹中工務店
竣工   1960
機能   講堂
規模   地下1階、地上3階
構造   RS造
敷地面積 381,784㎡
建築面積 3,759㎡
延床面積 8,643㎡
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1962年 日本建築学会賞受賞
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今回名古屋大学を訪れた最大の目的であるのがこの建物。1993年にプリツカー賞を受賞し、日本人として丹下健三についで二人目のプリツカー賞受賞者となった建築家・槇文彦の、日本での処女作となる作品である。

国内処女作でこれだけの規模の建築を手がけるというのも、またそのスケールの大きさと氏の当時からの建築界での影響力の大きさを思わされる。

建物の配置は、大学内を貫通する幹線道路からなだらかに登っていく傾斜の丘の上に鎮座する形をとっており、名古屋大学のイメージを作っている風景となっている。この建物は「門」をイメージして作られており、大学内の各種イベントが行われる場所としても、そして造形・空間的にもこの大学の「門」として作用している。

その起源は1960年に愛知の世界的企業であるトヨタ自動車による寄付によって計画され、そのトヨタ自動車からのご指名により設計者が槇文彦、そして施工が竹中工務店と決まったという。

2006年には改修工事が行われ、設計時と同じチームである設計に槇文彦、施工に竹中工務店とういタッグで行われ、外壁も綺麗にされたほか、内部の耐震補強やアトリウムの増設など、時代のニーズに合わせて建物も更新され使われ続けている。

建物をぐるりとめぐっていくと、その巨大さが良く分かる。大学という都市とは別のスケールを持った空間の中で、中心の風景を作り出す講堂という建物の性質上、その規模と造形も相当にスタディを重ねられたのだと思うが、この建物が竣工した当時に設計者の槇文彦は32歳というから、やはり年齢を重ねればよい建築が作れるという考えは一概に当てはまらないと教えてくれる建物である。

大学にとってその各種イベントの中心となるのがこの講堂建築。

東京大学   安田講堂
早稲田大学  大隈講堂
慶應義塾大学 三田大講堂
一橋大学   一橋講堂

と見られるように、各大学にとってもその代名詞として頭に浮かぶのはその講堂のある風景。そしてこの名古屋の地でもまた、「名古屋大学」と聞いて頭に浮かぶのはきっとこの講堂前の広がりのある風景なのだろうと、その「門」の下でダンスの練習をする学生達の姿を見ながら思いを馳せる。




















野依記念学術交流館 飯田善彦 2004 ★★


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所在地  愛知県名古屋市千種区不老町
設計   飯田善彦
竣工   2004
機能   研究施設
規模   地下1階、地上7階
構造   S造
敷地面積 381,784㎡
延床面積 3,485㎡
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敷地面積がさきほどの野依記念物質科学研究館と同様であることから、恐らくこの数字は名古屋大学の構内の広さを示しているものと想像する。

野依記念物質科学研究館が竣工した次の年である2004年に同じくコンペを勝って手に入れた野依記念学術交流館がすぐ近くの敷地に竣工する。ということは、設計も施工もほぼオーバーラップしながら行われていたということで、ディテールや素材の使い方にかなりの共通点が見られる建物である。

こちらの建築は敷地の角地に建てられ、メインの通りに対してできるだけ顔を向けるようにと曲面のファサードを持った建物となっている。先程のミニマルな方形のファサードに対して、こちらは曲面のファサード。同時に二つの同種の機能を持った建物を同じ敷地内に建てることによって、その差異化をかなり意識しての選択だったのだろうと想像する。

それにしても印象的なのは周囲の木々の大きさと緑の多さ。吹き抜けていく風の心地いいこと。こんな環境で学ぶことができるのもまた、旧帝大というメリットの一つであるのだろうと思わずにいられない。






野依記念物質科学研究館 飯田善彦 2003 ★★


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所在地  愛知県名古屋市千種区不老町
設計   飯田善彦
竣工   2003
機能   研究施設
規模   地下1階、地上7階
構造   RC+S造
敷地面積 381,784㎡
延床面積 7,117㎡
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名古屋発北京行きのEtihad便はその先のアブダビまでの接続を考えてか名古屋を夜の21時過ぎというかなり遅い時間に出発する。

その為に前日の夕方までに打ち合わせを終了し夕方17時前の高速バスに乗って中部国際空港に向かうか、それとも翌日まで打ち合わせが延びる可能性を考慮して一日余裕を持たせるかでいつも迷うのだが、今回は市役所や電柱移設の為の電力会社への挨拶など不確定な要素が多かったので一日余裕を持たせていた為に、折角空いた夜までの時間を名古屋周辺の建築を見てまわることにする。

名古屋駅でトランクをロッカーに預け入れ、地下鉄を乗り継ぎ向かったのは名古屋大学。東海地方では「めいだい」と言えば「名大」となり名古屋大学と認識されるこの地方のトップ大学である。

旧帝大ということもあり構内は緑を多く抱え込み、かなりゆったりと配置がされている。そして建物も国内の有名建築家の設計したものが多く見られることでも知られている。

iPhoneのマップを片手に構内に入っていくと、暫くして見えてくるのがこの飯田善彦(いいだよしひこ)設計による野依記念物質科学研究館。横浜国立大学出身で、谷口吉生の元で働いていたということもあり、かなり繊細なディテールと表情を持つ建築を作り出す建築家である。

飯田善彦と聞くと、麻布十番に設計されたダイヤモンドの様なコンクリートの塊の集合住宅である「Lapis / ラピス」の造形の印象が強いが、他の作品を見ていくとやはり透過性の高いガラスのカーテンウォールなどを採用したプロジェクトが多いようである。

横浜国立大学で教授を長く務め、自らの事務所も横浜に構えている為に、必然的に横浜周辺のプロジェクトが多いのだが、近くに建つ同じく飯田善彦設計による野依記念学術交流館共に、コンペによって獲得したプロジェクトだという。こうして二つの建物を見てみると、品の良さを感じさせるこの名古屋大学の構内にはまさに相応しい設計なのだろうと納得してしまう。

敷地面積については建築家のホームページからの情報だがあまりに広大なので少々疑問であが、周囲を高い木々と緑に囲まれ、とても気持ちの良い環境の中に、なんとも美しいプロポーションを持った立面が現われる。

ミニマルな面をミニマルと認識させるための最小限の異化作用としての張り出す要素の操作。マッスとして張り出す低層部と上層部のボリュームと中央に位置する面としてのスラブの張り出し。全てが違う建築要素であることを意識させるその表情。

背景となるガラスのカーテン・ウォールは一枚一枚にグラフィックがプリントされ、モアレの様な効果を作り出す。前面道路幅と建物の幅と高さの関係から、この立面を正面から捉える視点は存在しないが、最先端の実験を行う施設としての表情は十分に伝わってくる。

そのミニマルなファサードと共に印象的なのが、微妙に坂となっている足元のデザイン。植栽や舗装材を微妙に変えることによって、こちらもファサードへと意識を向けることに役立っているようである。