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所在地 島根県出雲市大社町鷺浦
主祭神 稲脊脛命、八千矛神
様式 大社造
社格 式内社、旧県社
創建 不詳
機能 寺社
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鰐淵寺から日御碕神社へ向かう為に日本海岸線をひたすら西に向かう。すれ違う車もほとんど無く、海岸線にそって時々急なカーブを描く道でスピードを落としながら先を進む。右手に広がる日本海から吹き付ける冷たい風を感じながらも、午後の出雲大社に十分な時間を取る為に気持ちがはやる。
海岸線沿いの道から少し内部に入る前に、ポッと出現したのはなんとも雰囲気のある漁村の風景。まさに頭の中に存在する日本の漁村のイメージそのものの雰囲気のある佇まい。港に繋がれる舟が風に揺れ、海鳥が水辺で羽を休める。
「これは停まるべきか・・・」と悩みながらも遅れ気味のスケジュールに背中を押され先を進む。そうすると港から左に折れる道の脇に、潮風にやられたいい感じの鳥居と、雰囲気のある境内。「これは少しだけでも写真を・・・」と思うが車はなかなか停まれない。
後ろ髪を引かれながらも先に進もうとするが、右手に見えるのはなんとも美しい川の流れ。透明な水が段々に勢いを増して海へと流れ込む。「これはダメだ」と車と停めて、狭い道なので後ろから車がいないのを確認し、バックで神社脇のスペースへと駐車する。
とりあえず港まで歩いて打ち寄せる波のリズムでタプンタプンと揺れる漁船を眺め、緩やかにカーブする港前の道にそって配置され統一された山陰地方らしい赤褐色の瓦で被われた集落の姿を写真におさめる。やはり漁村の美しさはコミュニティがある共通の目的を持ち、それに対して機能的に集落が配置される機能美と、余計な装飾が排除されある種の統一感を持つからだと改めて実感させてくれる。
今度は海に向けて建てられている鳥居を抜けて境内へ。ここでも大社造。調べてみると、この伊奈西波岐神社(いなせはぎじんじゃ)は出雲大社から山を越えた日本海側に位置し、出雲大社の境外摂社となる。一般には、「鷺社(さぎのやしろ)」と呼ばれているらしい。
境内も海に近いだけあって潮風の影響もあるのか、境内の石は潮風に長いこと晒され、凹凸の堀の深いなんともいえない表情になっている。木々の幹や枝も寒い風と潮風に晒され、硬い苔のようなもので覆われている。
この漁村は大社町鷺浦(さぎうら)と呼ばれ、耐久性に優れる地元産の石州瓦によって覆われた住宅が立ち並ぶ。その赤茶色の町並みがなんともいえない景色を作り出している。このいかにも漁村らしい町は半島の裏側に位置し、交通もなかなか発展しなかったために、これほど貴重な風景を現代に残しているのだという。
忙しい現代の旅。その中でも立ち止まらせる位の力をもつ風景。それがこれからもこの場所に残ることを願って先に進むことにする。
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