2017年7月30日日曜日

「ツール・ド・フランス2017 総集編」 NHK BS1 2017 ★★★



ヤン・ウルリッヒやマルコ・パンターニと、大学生時代は夜中遅くまで熱中し観戦したものだが、無敵の王者ランス・アームストロングのドーピング事件以降、なんとなく追うことをしなくなってしまっていた。が今年は初夏を北フランスで過ごしたこともあり、ふと「久々に・・・」と追うことにした今年のツール・ド・フランス。

今年はドイツのデュッセルドルフをスタート地として、三連覇を成し遂げているエース、イギリス人クリス・フルームを中心に、圧倒的なチーム力を誇るチームスカイ。

地元フランスから久々の王者を、という期待を一身に受けるロマン・バルデ (フランス)やフルームの元アシストで今はBMCのエースとして参加するリッチー・ポートに、山登りでできるだけポイントを稼ごうと虎視眈々と黄色のマイヨ・ジョーヌを伺うファビオ・アルなど、フルームの後を伺う各チームが、23日に渡りフランス中を駆け巡るレースの中で様々な駆け引きを行い、チーム力を駆使して最後はパリに戻るこのレースは、やはり抒情詩の様なドラマを引き起こす。

結局フルームの4連覇で終え、次は偉大な先人たちに並ぶ5連覇に挑戦ということで、来年も目が離せないところであるが、夏の風物詩ともいえるこのツール・ド・フランスはやはりいいもので、いつかはアルプスで、そして最後の華やかな雰囲気のパリで、ものすごいスピードで駆け抜けていく選手たちを応援したいと改めて思わずにいられない。





2017年7月15日土曜日

那覇市立小禄(おろく)南公民館・図書館 同人GAN 1983


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所在地  沖縄県那覇市高良
設計   同人GAN
竣工   1983
機能   公民館・図書館
構造   RC造
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13時半発の飛行機にギリギリ間に合うかと空港に到着すると、「出発が遅れている。出発する便が北京から到着しておらず、何の理由なのかも良く分かっていないので、出発予定時刻は良くわからないが一応16:30くらい」だと、なんとも消化しきれない説明を受け、時間を無駄に過ごすのも癪なので、トランクだけチェックインをして、やたらと運賃の高いモノレールである「ゆいレール」に揺られ市内まで戻り、折角だからと地元で有名なジャッキーステーキハウスで肉でも食べていこうと炎天下の中、パソコンの入った重い手荷物を持ちながら、汗だくで到着するとそこには地元の人も海外からの観光客もごった返し、40分待ちの行列。

名前を記入してしばらく様子を見てみるが、一人として待ち時間が長いからと諦める人がいないようで、きっと味が素晴らしいのだろうと、珍しく時間に余裕があるのをいいことに、しっかりと40分ほど待っておススメだというテンダーロインステーキをがっつり頂くことに。

運転を気にすることもないので冷えたビールで水分を補給し、量の割りにあっさりと食べ切れてしまって、行列の長さに納得しつつ、まだまだある待ち時間を有効に使うべく、リストにあげていた建築を訪れるために、再度「ゆいレール」に乗り込むことにする。

向かった先は空港近くに位置する那覇市立小禄(おろく)南公民館。設計を担当したのはこの公民館の位置する小禄地区に事務所を構える同人GAN。竣工が1983年ということで、1981年に竣工した象設計集団の設計による名護市庁舎とほぼ同時代。もちろんその設計内容も知っていたはずで、これらの行政建築を見ることで、当時の沖縄での建築がどのような方向に向かっていたのかが良く分かる。

周辺の街並みを理解しようと、最寄り駅の「ゆいレール」赤嶺駅から徒歩で向かうのだが、炎天下の中、手荷物を持っての道のりはとにかく厳しい。7月の日中に外を歩く人の姿もまばらで、建物に到着したときには熱中症寸前。地形の高低差を利用し計画されているようで、どうやら裏の搬入口から到着してしまったようで、右手に見える階段を脇目にしながら、裏口らしきところから入りエレベーターで一階へと上がる。

下層が公民館機能を持ち、中庭は今は駐車場として利用されており、それを取り囲むように植栽が階段状に配置されており、なんとも儀式性の高い空間となっている。2階に上がり、植栽の中をぐるりと巡って内部に入れる位置口を見つけるとそこには図書館の表示が。2階と3階が地域図書館機能として使われている様子で、子連れの母親が絵本を探していたり、受験生が机に向かっていたりと、すでに35年近い歳月が流れた建物が地域に良くなじんでいる様子が見て取れる。

一通り見てまわり、あまりの疲労の為に、少し早くても空港に向かい出発まで体力回復に努めようと思っていたが、空港に着くと、なぜか先ほど言われた16;30の出発予定より時間が早まっていた為に、危うく飛行機を乗り過ごしそうになりながら、出発ゲートへと向かい今回の沖縄訪問を終えることにする。





ゆいレール












普天満宮(ふてんまぐう) 不明 ★★★


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所在地 沖縄県宜野湾市普天間
主祭神 熊野権現、琉球古神道神
社格  旧無格社
本殿の様式  入母屋造
別名  普天満権現
創建  不明
機能  寺社
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琉球八社
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「世界一危険な基地」と呼ばれる米軍の普天間飛行場の脇にぽつんと取り残されたように鎮座するのが、この宜野湾市で唯一の神社でもある普天満宮(ふてんまぐう)。街を車で走っていると所々で目にする看板「普天満宮洞穴」。

「神社と関係があるのだろうか?」

と思って目的地に到着するが、ナビに従うと飛行場脇の交通量の多い幹線道路でぐるぐるさせられるだけで、神社の鳥居脇から敷地の裏側へと入っていく駐車場へはなかなか初めてでは入れないと想像する。

駐車場脇にはこんもりした丘があり、その上をうっそうとした森が多い、大音量の蝉の鳴き声に圧倒される。どうやらこの下が信仰の始まりとなった普天満宮の洞窟(普天満宮洞穴)となっているらしいが、駐車場側からはアクセスできないとの看板が。

正面に周り、鳥居を潜り、手水舎でまずは身体を清めることに。その脇ではなにやら重々しい服装に身を包んだ巫女さんの姿。気になりながらも参拝を済ませ、横の社務所で洞穴の見学希望を伝えると、予約が必要とのことで、その場でも希望を伝えることができるという。

早速記入を済ませるが、どうやら今日は毎月1日・15日に執り行われる月次祭(つきなみさい)が執り行われると言うことで、10時から30分ほどの祭典の間は洞窟への案内は行わず、それが終わってからの案内になるという。那覇までの帰りの道のりを考えるとかなりきつくなるが、恐らくここに来るのは二度とないだろうと思うと、この機会を逃すのは忍びなく、せっかくだからと拝殿内部の一角に用意された一般参拝者席に正座をし月次祭に参加することとする。

月次祭を見るのは始めての経験で、太鼓の音から始まり、宮司さんや巫女さんが拝殿へと入場し、それぞれの役割ごとに着席をし祭事が執り行われていく中で、それぞれの方の所作などに注視しながら、「君の名は」の口噛み酒のシーンを思い出す。

ちなみにこの普天間宮。様々なところで琉球八社(りゅうきゅうはっしゃ)の一つだと説明されるが、琉球八社というのは琉球王国において王府から特別の扱いを受けた8つの神社だという。そのリストは下記のとおり。

波上宮   那覇市若狭    熊野権現  琉球国新一の宮 琉球八社首座 
沖宮    覇市奥武山    熊野権現
識名宮   那覇市繁多川   熊野権現
普天満宮  宜野湾市普天間  熊野権現
末吉宮   那覇市首里末吉町 熊野権現
安里八幡宮 那覇市安里    八幡神
天久宮   那覇市泊     熊野権現
金武宮   国頭郡金武町金武 熊野権現

この普天満宮への参拝で、残すところは天久宮と金武宮のみということなので、ぜひとも次回の沖縄訪問で達成したいと思いを馳せる。

そろそろ足の痺れが限界だというところで、30分の祭典も終了し、ほぼ同時に社務所で見学希望者の確認が行われ、7-8名の見学希望者が一緒になって奥の洞窟へと案内される。内部は写真撮影禁止ということであったが、ここが地元の人々の信仰の対象になったと言うのが非常によく分かる、なんとも神聖な雰囲気を持った空間を体験できる。

それほど広い空間ではないので、15分ほどでぐるりとめぐり見学を終え、社務所で巫女さんに見学終了の旨を伝えて足早に駐車場へと向かうことにする。






拝殿
月次祭(つきなみさい)の準備をする巫女さん



普天間洞穴入り口

中村家住宅 1720年頃 ★



中城城から西に走るとすぐに見えてくる看板にそって細い道を入るとすぐに到着するのが中村家住宅。この地域の豪農であった中村家の民家で、江戸時代後期である1720年頃の沖縄の住居建築がどのようなものだったかを知るためにぜひとも訪れてみたいと思っていた場所である。

母屋の屋根の赤瓦の上に鎮座するシーサーを見つけ見学を始め、建物の裏に位置するフールと呼ばれる便所兼、豚の飼育所までぐるりと巡るのに20分ほどで見てまわることができるそれほど大きくは無い住居。入場料の500円には、見学後に休憩スペースで出してくれるお茶と黒糖ゼリーも含まれるので、暑い中で吹き出す汗を引かせるのにちょうど良い休憩を取ることができる。














フール