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2016年2月10日水曜日

温泉療養文化館 御前湯 象設計集団 1998


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所在地  大分県直入郡直入町
設計   象設計集団
竣工   1998
機能   浴場 
規模   地上3階
延床面積 1130.57m2
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長湯温泉の温泉街の端に位置するこの施設。立ち寄り湯もあるというのだが、先を急がないといけないためにチラッとだけ見ていくことに。後ろは川に沿っているということで、前方からは分からないが、後部は3階建ての高さが十分に感じられるつくりになっているようである。

設計は象設計集団(ぞう せっけいしゅうだん)。日本人として3人いたコルビュジェの弟子の一人である吉阪隆正で働いていた5名によって設立された設計集団であり、沖縄県の名護市庁舎など独特の建築表現を持って知られている。

時間がないために中に入ることはできなかったが、いつか今度はこちらの温泉を楽しみに再度足を運びたいものである。






ラムネ温泉館 藤森照信 2005 ★★★★


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所在地  大分県竹田市直入町大字長湯
設計   藤森照信
竣工   2005
機能   浴場・美術館
規模   地上1階・地下2階
建築面積 350.14m2
延床面積 426.28m2
構造   木造・一部RC造
彫刻   辻畑隆子「オンリーワン」
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早朝の便で大分空港へ。すぐに予約していたレンタカーを借りにいくが、すでにそこにはかなりの行列。看板を見ると、到着便ごとに相当数の人が借りに来る予定となっているらしい。外を見ると、立ち並ぶ他のレンタカー店舗もほぼ同じ状況。LCCなどこれほど移動が簡単になった時代には、レンタカーの需要は今後とも伸びる一方だろうなと思いながら手続きを済ませる。

今日は宿泊先の黒川温泉まで一気に大分を横断する。空港からの高速を飛ばしていくと、大分市手前で街の至るところから温泉の煙が立ち上る風景を見ながら、やはり別府の街の特殊性は際立っているなと思いながら大分市を抜け、山道を登って竹田市へ。昔ながらの雰囲気のする小さな温泉街が目的地の長湯温泉(ながゆおんせん)。非常に珍しいといわれる炭酸濃度の高い温泉で知られる温泉だという。

川沿いに温泉街を進んでいくとすぐに視界に飛び込んでくるのがその特徴的な黒いピラミッドの様な屋根。これが目的地のラムネ温泉館。路上観察学で知られる建築史家で建築家である藤森照信。

1991 神長官守矢史料館 (45歳)
1995 タンポポ・ハウス (49歳)
1997 ニラハウス・薪軒 (51歳)
2000 熊本県立農業大学校学生寮 (54歳)
2000 赤瀬川家の墓 (54歳)
2003 矩庵 (57歳)
2004 高過庵 (58歳)
2005 養老昆虫館 (59歳)
2005 ラムネ温泉館 (59歳)
2006 ヴェネツィア・ビエンナーレ 第10回国際建築展 日本館会場構成 (60歳)
2006 ねむの木こども美術館 どんぐり (60歳)
2009 ROOF HOUSE (63歳)
2010 空飛ぶ泥舟 (64歳)
2012 はま松ハウス (66歳)
2014 トタンの家 (68歳)

キャリアの中では中ごろの作品というところであるが、特徴的な屋根の銅板、外壁の焼スギ板張と白漆喰は他の作品でもお馴染みの作風である。合掌造りを思わせる様なプロポーションの屋根を持った受付には暖かそうな石油ストーブの横で数匹の猫たちが丸くなって眠っている姿が楽しめる。そこで受付を済ませ鍵を受け取ると、温泉のある西側の棟まで中庭を通っていくのであるが、程よいスケールの中庭は膝丈ほどの植栽で覆われており、その端っこにまるで案山子のように、明後日の方向を向いて済ましている犬の紳士が。何ともシュールで、なんともかっこいい。

調べてみると、すぐ近くの大分県日出町在住の彫刻家・辻畑隆子の作品「オンリーワン」。なかなか端正な表情である。その脇をそそくさと通り抜け突き当たった建物は今度は水平に広がるような屋根の真ん中に二本の塔が突き出しており、男湯と女湯に分かれているのだろうが、その上に何とも可愛らしい松が植えられている。なんでも長寿の意味を持つ松を「ラムネ温泉が長く栄えるように」と思いを込めて植えたという。

温泉は内湯と外湯があり、ラムネというのが納得のなんともシャワシャワしたこそばゆい感覚を皮膚のいたるところで味わえる。外湯は杉板の塀で囲われており、真っ青な空の下で寝そべりながらラムネの効用を味わうことができる。こんな快適な場所が生活環境のすぐそばにあれば、それこそ週末ごとに通ってしまうのも分からないではないし、それがあちこちにある大分というのはやはり豊かな場所だと再認識。と同時に、都会で毎日時間に終われ、仕事に追われて生活している我々は、このような生活を享受できる地元に人に比べて明らかに幸福度でいったら低いのだろうと思いながら、まぁそんなストレスもこのラムネの炭酸で流れていってくれとしばしリラックスしながら身体を横たえる。

こういう温泉施設は、こうしてその時に新しい意味を持った建築で応えることのできる力量のある建築家にできるだけ仕事を依頼してもらいたいものである。そうすれば、こうして建築を見に行きながら、かつ素晴らしい温泉も味わえるということで、帯同する家族も建築でなくて楽しみが持てるという意味でも非常にありがたい。恐らく建築を目的にこの場所に訪れる人は、温泉を目的に訪れる人の何十分の一なのかもしれないが、それでも、こうしてそれぞれの場所にあった温泉を楽しむ場として面白い建築が増えてくれるのを祈りながらお湯から上がることにする。






















辻畑隆子「オンリーワン」


2014年2月5日水曜日

みなとさかい交流館 高松伸 1997 ★


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所在地  鳥取県境港市大正町
設計   高松伸
竣工   1997
機能   客船ターミナル、事務所、浴場
構造   S造
規模   地上4階
敷地面積 5,080㎡
建築面積 1,120㎡
延床面積 3,500㎡
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凍てつくような吹雪から逃げるようにして、島根と鳥取をつなぐ鉄橋を渡り、再度戻ってきた境港。まさかと思って調べるとやはり境港市(さかいみなとし)と呼ぶらしい。

ナビに誘われて到着すると道沿いに建つ明らかに風景に似つかわしくないメタリックな建物。これに違いないと駐車場に車と入れると、どうやらここが「水木しげるロード」の拠点となる場所であるようで、いたるところに「ゲゲゲ」のキャラクターの看板が見受けられる。

建物は先ほど同様フェリー・ターミナル。それに物産館や観光案内施設、なぜか公衆浴場が併設されている複合施設。話を戻すがこの境港市(さかいみなとし)。南に隣接する米子市との合併を拒否し、独自路線を歩む事に決めたのだが、モータリゼーションのあおりを受けて衰退するなか、地元出身の漫画家「水木しげる」の知名度を利用して町おこしに着手し、1993年に800mの商店街に「ゲゲゲ」のキャラクターの銅像を拝した「水木しげるロード」が完成する。オープンと同時に運行開始されたJR境線の「鬼太郎列車」の人気を呼び、山陰有数の観光スポットへと成長する。

2010年には、NHKのテレビ小説において「ゲゲゲの女房」が放映され、それが「水木しげるロード」にも恩恵を与え、その夏には観光客数は悲願であった200万人を突破するというまれに見る町おこしの成功例である。

その流れを見て再度この建物の竣工年を見てみると、バブルは弾けたが「水木しげるロード」で観光客が訪れるようになってきたまさに上り調子の1997年。訪れた観光客が立ち寄れるような施設を増やせばより収益が・・・という思惑が透けて見えるような複合商業施設となった訳である。

建物はまさに「高松伸デザイン」と言わんばかりのメタリックでガンダム的なもの。それが内部の機能や空間になんら関係性があるかといえばそうでもなく、周囲の風景に何かしらの新しい刺激や価値を与えるかと言われればそうでもない、まったく意味の分からないものになっている。

とにかくインパクト。それが求められ、それが受け入れられた時代だと言えばいいのだろうか。雪の吹きつける冷たい山陰の冬景色の中、この建物を見上げているとなんとももの寂しげな気分になってくるのは自分だけではないだろうと思いながら次の目的地へと向かう事にする。