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2015年3月6日金曜日

パリ(Paris) ★★★★

シュトゥットガルト空港で飛行機の出発が遅れること2時間。到着したシャルル・ド・ゴール空港でも原因を伝えられぬまま機内にて1時間ほど待たされる。クタクタになって迎えに来てくれていたクライアント手配のシュッとした黒人の運転手の車に乗り込み、ホテルへと向かう。

この街で見るのはなんといっても昨年末にオープンしたゲーリー設計のルイ・ヴィトン ファウンデーションとパリから北に向かった小さな町にあるSANNA設計のルーヴル・ランス。

久々のパリだから街中に広がるゴシックの教会郡も体系立てて見たいし、郊外に足を運んでル・ランシーの教会堂も見てみたいと思いをめぐらしているとホテルへ到着。

「なんだかやたらとファンキーなファッションをした人が多いな・・・」と思っていたら、今週はちょうどファッション・ウィークに当たるらしく、パリ中がなんとも華やかな雰囲気に包まれている。

滞在中ホテルの前に若い子の人だかりができていて、誰かがホテルから出てくるのを待っている様子。その中の一人の女の子に、「誰を待っているの?」と聞いて見ると、「リアーナが出てくるみたい」と。そんな話を二人のパートナーに言っていると、二人とも「リアーナ?」と同じようなレスポンス。すっかりおじさんになったことを認識し、つかの間の華やかな雰囲気を楽しむことにする。






2015年3月5日木曜日

Innsbruck インスブルック

天気予報では山のほうは吹雪くというので、次の目的地であるお隣のオーストリアのインスブルック(Innsbruck)までわざわざ車で何時間もかけて移動してもまともに建築が見れないのでは?という不安を抱えながらも、当初の予定を変更せずにとにかく向かうことにする。

周囲の山々が徐々に壁の様にそそり立つ様に高さを持ち始めることに合わせて外ではかなり強い雪が降り出す。途中休憩を繰り返して3時間のドライブの結果到着するのは険しい山の間を走るイン川沿いに開けたインスブルック(Innsbruck)。

オーストリアのチロル州の州都でウインタースポーツで有名なこの都市は、1964年と1976年に二度のウインター・オリンピックを開催したことでも知られる人口11万のこじんまりとした都市。

今回比較的知名度の低いこの都市が目的地として選ばれたのは、たった一つの広場を実際に見るため。LAACという一昨年にメルボルンのカンファレンスでも一緒になったこのインスブルックを拠点とする設計事務所が手がけた旧市街の中心地に位置する広場であるLandhausplatz。現場打コンクリートでうねる様な滑らかな曲面を採用したその広場の素材が、実際にどのような見え方をするのか、どのような色をしているのか、どのような手触りを与えるのか、どの様な効果を生み出しているのかを実際に自分たちの身体で感じるために訪れることにする。

ウインタースポーツで有名ということで、街の北と南にそそり立つ様にして立ち上がる山の上にはスキーやスノーボードのゲレンデが広がり、北側には街からゲレンデをつなぐケーブルカーの駅、南側にはスキージャンプのジャンプ台という二つの建築がザハ・ハディドの設計という非常に珍しい建築文化を持つ都市でもある。

地理的特徴により中世より交易上の中継都市として栄え、14世紀よりハプスブルク家の支配下に入ったこの都市は、ハプスブルク家の栄光の時代と時を共にするように繁栄を極めた。その面影を偲ばせるかのように、旧市街地中心部には古い町並みが高密度で立ち並び、あちこちに歴史の舞台となった建築物がそのまま残されているのを目にするのはなんとも楽しいものである。

何よりも、ドイツからやってくると、街とその上を行き交う人々がいきなり「カラフル」になったと感じられる。街のあちこちに店を構えるファッション関係のお店も、そのウインドー・ディスプレイはなんともお洒落で色使いも楽しげで、なんとも「カラフル」である。道行く人は老若男女を問わず、寒い都市にも関わらずファッションを楽しむという心意気がその服装に表れているようで、人々の姿を見ているだけでなんとも楽しくなる雰囲気がある。

この様な感じはミュンヘンでは全く感じなかったことをこの街の中を歩いていて突然気がつく。やはり「生活の質の高さ」には含まれない「生活を楽しむことの重要さ」がある国や都市では街の雰囲気として醸し出されるのだと理解する。

そう思うと、東京は十分に「カラフル」な街だと改めて思いながら、短い滞在時間でできるだけ「カラフル」な雰囲気に身体を浸そうと心に決める。

2015年3月4日水曜日

ブランドホルスト博物館 (Museum Brandhorst) Sauerbruch Hutton 2009 ★★


ピナコテーク・デア・モデルネを見学し、これで予定をしていた建築をすべて見たかなと思っていたら、視線の先になにやらカラフルな建物が。ガイドが言うにはこれも近年オープンした現代美術の美術館だという。

どうやらこちら側は裏側にあたり、サービス用のエントランスがあるようである。丁度搬入用のゲートが開いて、トラックが出てくるところのようである。美術館を設計していながら、なかなかこのような美術館のサービス側の搬入がどのようにして行われるのかを見る機会はなかなか貴重であるので、走り出してパチパチと写真に収める。

「何がそんなに見たいのだろう?」と怪訝な顔をする美術館のスタッフを横目に、ゲートが閉じるとそこに扉があるとは分からない一枚のファサードとしてデザインされた手法に、「これだけパブリックに見られる面であればそうするよな・・・」と思いながら今度はその特徴的なファサードをじっくり見る。

どうやらミュンヘン在住のガイドの中国人はこのファサードがお気に入りのようで、随分とその良さを説明してくれる。ネットで調べてみると、設計において遮音や断熱、雨水利用など一通りの環境設計については考慮されているようで、その上でいくつかのグループに分けて色づけされた細長い陶磁器の角柱がルーバーとして建物に取り付けらている。

建物の外周をぐるりとしてみるとやっと分かるのだが、この色合いは入り口から始まって反時計回りにグラデーションになっているようで、どの場所からこの建物を見るかによって色合いが変わって見えるという仕掛け。

この歴史的な街並みの中でこれだけカラフルな色合いを使いながらも、ポップや商業主義的に見えないところでうまくバランスを取り、上品に仕上げているという印象。

外形はシンプルであるが、その中に様々なデザインを取り込むこと。それがこの地の建築家の優れた能力なのだと理解して内部を見学することにする。










2009年9月29日火曜日

「華栄の丘」 宮城谷昌光 2003 ★★★

相変わらずなんともマイナーな主人公である。

春秋時代という孔子を始め多くの才能を世に送り出したカラフルな時代にも関わらず著者がスポットライトを当てるのは、歴史の中で舞台の中心にいた人物の隣に立って歴史が作られるのを手助けしてきた人々。なんとも謙虚なその姿。

今回も急にスポットライトを当てられたのは春秋時代の決して大国ではない、「宋」の宰相として活躍した「華元」。出目が特徴ななんとも可愛らしい姿の主人公は飄々と時代の中を駆け抜け、北の晋に南の楚という大国に囲まれながらも「負けることで最終的に勝つ」ことに国の存続を成し遂げた逸材。

現在の河南省を中心とし、商丘を首都として斉・晋・秦・魯などとともに、春秋時代の重要な役割を与えれれた国・宋。

「沙中の回廊」で描かれた同時代の隣国・晋。その国で名君・重耳に見出され、同じく宰相まで上り詰め、カラフルな春秋時代の1ページを描き出した士会同様、約3000年もの前の時代に生きた人々の息遣いが聞こえてきそうな著者の力量に圧倒される一冊である。