2014年2月4日火曜日

米子 皆生温泉(かいけおんせん) ★



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大雪の為に幾つかの修正点はありながらも、昨年の教訓を生かしてスタッドレスのレンタカーを用意し、幹線道路中心で廻ったことで、かなり予定通りに目的地を回れた津山から倉吉を回り到着した本日の宿泊地である米子市。

鳥取と島根という山陰地方のまさに中心に位置し、県庁所在地で無いにも関わらず、山陰地方の重要な位置を占める都市である。人口は15万ほどと他県に置いては決して大きな市ではないが、山陰地方においては十分大都市と呼んでいい規模である。ちなみにこの鳥取県は日本一県人口が少ない県でその人口は58万人という。

江戸時代初期から商業を中心に発展し、現在では米子北部に隣接する境港市出身の漫画家・水木しげる人気にあやかって、代表作である「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターを総動員して町おこしに力をいれたことと、その名前を関した地域空港である米子鬼太郎空港にLCC(格安航空会社)が就航した事も手伝い、にわかの町おこしに成功した米子。

その米子鬼太郎空港と、その北の境港に位置するフェリーターミナルからはお隣の韓国や、ロシアに向けて船や飛行機か出ており、近隣諸国からの観光客の誘致にも一役買っている。

日本海に沿った美保湾と中海に挟まれた細長い形状をし、美保湾に流れ込む日野川により市内は東西に二つに分離される。南東には山陰随一の大山が聳え、山と海に囲まれたエリアが、下町エリア・皆生温泉エリア・弓ヶ浜エリア・市街地エリア・淀江エリアと大きく分けられている。

宿泊地は現在の地中心である米子駅周辺ではなく、菊竹清訓設計の傑作である東光園に宿泊する為に、皆生温泉エリアに宿泊している為に、本日の立ち寄り地をすべて終えて、そのまま宿に帰る前に折角なので現在の米子の様子を理解する為に、事前に調べていた繁華街の食事所を巡って腹を満たしていくことにする。

米子の繁華街というと、先ほど立ち寄った米子市公会堂の角盤町か、その近くの朝日町となるらしい。その近くを車で巡り、あまり纏まって店が立ち並んでいる様子が見られず、前もってネットで調べていた感じのよさそうな地元の店を幾つか回って、その中の一つの軒をくぐる事にする。

如何にも頑固そうな大将がカウンターの中におり、他に客のいないカウンターを見て「あ、しまったかん・・・」と思いながらも既に引き返せず、横の椅子に荷物を置いたら、「お客さん、後ろに置いてもらえますか?」と厳しい大将。

「困ったな」と思いながら、車で宿まで帰らなければいけないので、しょうがなくノンアルコール・ビールを頼み、幾つかつまみをお願いしてチビチビ飲みながら、他に客もいないので必然的に大将と話をすると、今ではこの辺りもすっかり人が来なくなってしまったという。

昨年の式年遷宮ブームにのって、ホテルの少ない出雲に泊まりきれなかった観光客が溢れるようにして米子に宿を求めてきたので、昨年は良かったが、今年に入って正月以来はばったりダメだと嘆いている。

それだけでなく、街としてもどんどん活気を失っていき、東芝や日立などの大企業も撤退を決め、ここらへんの飲み屋も随分減ってしまったという。軽く飲んだ後でもう一軒といけるようなスナックも昔は多かったが今ではほとんど無いという。

観光客は駅前だけで、町おこしをした水木しげるロードの影響で、瞬間風速的に訪れる人は増えたが、それが盛り上がって、終わったらもうダメで、次の手を考えずに、それに頼りきり。米子城もまったく整備されておらず、他に行くところといえば大山だけ。それではダメだと切実なるこの街の声を聞きながら酒を飲む。「酒飲みのつまみがすきそうなので」とこのわたをサービスしてもらい話を続ける。

明日の予定を話すと、「自分は実は霊感が強く、かつて大山の上に位置する大山寺に夜のドライブに行った時の話しですけどね・・・」と、なんでも夜に大山寺まで上がっていったら、駐車場のところで急に白い霧に囲まれてしまい、車がガタガタと揺れだしたという。驚いてエンジンをかけようとしても、まったくかからないまま、震えるようにして一時間ひたすら待ちつづけると、すっと霧が引いていき、そうするとエンジンも普通にかかって戻ってこれたという。それだけでなく、他にもいろんな経験をしたところなので、行くには十分気をつけてくれと釘を刺される。

大将に教えてもらったほかの飲み屋を少し覗いて、やはり人が入れ替わり立ち替わりくるような夜の街でもないのを理解し、山陰の現状を痛感する。車と取りに戻り、宿泊地の皆生温泉(かいけおんせん)まで戻る。

この皆生温泉は山陰最大の温泉地であり、弓ヶ浜の皆生海岸に面して多くのホテルや旅館が軒を並べる地域であり、日本におけるトライアスロン発祥の地としても有名だという。

白砂の美しい弓ヶ浜沿いということで、「日本の朝日100選」を始め、「日本の夕日100選」、「日本の渚100選」、「日本の白砂青松100選」、「都市景観100選」にも選定されている。

海岸沿いから一歩内側に入ると飲み屋が並んでいるが、恐らくかつては凄かったが、徐々に寂れてきてしまったのだろうと思われる街並みになっている。この地域のもう一つの顔は山陰随一の風俗街ということもあり、飲み屋街の奥にはいかにもそれらしき看板と客引きが道を埋めている様子が伺える。

事前の調査ではこの皆生温泉は日本百名湯だとばかし思っていたが、どうやらそうではないらしく、それではない「にっぽんの温泉100」などには入ってくる温泉ということらしい。

日本百名湯

にっぽんの温泉100

東西と南北に長い日本列島。その中ですべての場所が「表」として栄えてくるわけでもなく、こうして日本の裏側でその場所にあった繁栄をしてきた土地がいるのもまた事実。そんな日本の裏の玄関である山陰地方。そこに流れてきた時間を感じることができながらも、これからこの都市はどのような形で存続していくのだろうと思いを馳せる事になる。

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