オーストラリア最終日。夜の便で北京に帰るのでと早めのチェックアウトをし、荷物を預けて出来るだけ街を回ろうと予定を立てる。
冷蔵庫の中の食パンとヨーグルトに食指は伸びず、昨日購入した一日チケットを使ってバスに乗ってフェリー乗り場へ。乗り場近くのキオスクで高いベーグルを買い込んで、フェリーにちょうどやってきたフェリーに乗り込み青空の下、潮風を感じながらの朝食。
動き出したフェリーからは、同一球面から切り出されたオペラの美しい構造が良く見えて、大小二つのホールが良く見える海側からの景観を楽しみながら、こっちではハーバーブリッジが・・・とカメラを抱えてあっちこっちと忙しなく動き回る。
20分ほどで到着した向こう岸。そこにはタロンガ動物園行きのバスが待っていて、平日の早朝ということでチラホラといった観光客と一緒に揺られること15分ほどで動物園到着。
子供連れのオーストラリア人のお父さんに、「いい天気ですね」と声をかけられ、話してみると5年ほど日本で暮らしていたという。数日間の滞在にも拘らず、相当数のこの国の人が日本と密接な関係を持っていると知ることができ、うかつに日本語を使えないなと妻と二人で注意を払う。
昼には、シドニー最大の設計事務所でランチの予定があるので、時間的にも余裕が無いということで、オーストラリアといえば・・・の動物目指して園内を進む。この国から敷く、動物もなんだか気が抜けてすっかりリラックスしているようで、カンガルーは横になってボリボリとお腹をかき、タスマニア・でビルはどこにいるのか結局分からず、茂みの中に気配を感じ、「飼育員か?」と思ったらヌゥっと出てくるエミューの大きさに驚き、「二日酔いではありません」という看板が納得のグースカ寝ているコアラの寝顔を目に納め、大人一人44ドルというトンでもない値段が適正かどうか疑問を持ちながらも、ロープウェイに乗って再度フェリー乗り場へと戻ってくる。
街側に戻って来て、昨日閉まっていた「1 Bligh Street」を見学しに行き、美しいロビースペースからスカートの中が見えそうな透明なエレベーターが上昇する姿を堪能し、そのままランチの約束をしている、PTWという北京オリンピックの「Watercube」と呼ばれる水泳競技場を設計した、シドニーでは最大級の設計組織に挨拶にいく。
カンファレンスの主宰者がセッティングしてくれ、将来的なコラボレーションを見据えてぜひ会いたいといってくれたので、妻も引き連れて自ら設計したという近代的なオフィスビルを上がっていくと、レセプションで「お待ちしていました」と通される会議室。
メールのやり取りをしてくれていた担当者とダイレクターと挨拶をし、「この二人相手に話をすればいいのだろう」と思っていたら、CEOなどオフィスの主要メンバーを含め、15人近くに膨れ上がった参加者相手に挨拶をし、持ってきたオフィスのポートフォリオを使って30分近くプレゼンテーションと色々な議論になり、とてもじゃないが机の上のサンドイッチに手を伸ばす余裕は無く時間を過ごす。
以前はロンドンのフォスター事務所で働いていたというアイルランド人の若いダイレクターが熱心に現在進行中のジャン・ヌーヴェルとコラボレーションして進めている「セントラルパーク」とういプロジェクトについて話をしてくれ、環境に特化したプロジェクトということで、色々と細かいところを図面を使って説明してくれる。
白髪の人の良さそうなCEOも「できるだけ早く良い機会を見つけましょう」と挨拶をし、引き続き「セントラルパーク」について熱くコンセプトを説明してくれるダイレクターと暫く話をし、せっかくだから現場を見ていってくれと敷地を説明されてやっと解放される。
「せっかくだから」と妻を引き連れ、シドニーの町を北から南へと縦断し、40分ほど歩いてやっと敷地に到着。大きな張り出しのキャンティレバーの下に設けられた鏡で、低層部の屋上で反射した太陽光を再度内部まで届けるのだという相当アクロバットな技を使うプロジェクト。いきなり目の前に現れたグリーン・ウォールに圧倒されながら、とりあえず隣の大学のロビーで腹ごしらえ。
ヌーヴェルの建物は最終段階のようで、着々とテーマである「環境」を分かりやすく表現するかのような緑の壁面がそこかしこで設置されている。これが「環境建築」の最先端の型かと思うと少し残念になってくるが、ぐるりと一回りして写真におさめる。積水ハウスもディベロッパーとして入っているのに驚きながら今来た道を駅に向かって帰っていく。
時間もあと少しということで、再度港へ戻り、少し早めの夕食を海辺の近くのレストランでということで、最後の牡蠣とワインを食しながら、沈む夕日に染まるオペラハウスを見ながら、ルイス・カーンが言った “The sun did not know how beautiful its light was until it was reflected off this building.”の言葉に思いを馳せる。
ほろ酔い気分でホテルに戻り、思い荷物をピックアップし、一日チケットで空港に向かうが、空港駅で結局、「ここは空港線で別途12ドル払わなければいけない」と言われ、最後の最後まで唖然とするオーストラリア。
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