建築家なら大学時代の日本建築史の授業で一度、そして一級建築士の試験時にもう一度向き合うことになる神社の様式。
神明造は伊勢神宮。
春日造は春日大社。
大社造は出雲大社。
などと、必ず一問はでる日本建築史に関する問題で、一点を落とさない様にと必死に記憶したこれらの様式。その時にはとても楽しめる余裕は無かったが、今になって気がつく根本的な疑問。
何故違う?
これだけ様式が分かれているのは理解できるが、その様式の中でもその土地、その時代ごとに建てられる神社。それらがなぜか全て微妙に違うのは何故なのか?
「うちの神社は何々系なので、様式は何々造りで行きます。しかし独自性も出して行かないと他との差異化ができないので、細かいデザインに関しては職人の皆さんの想像力にお任せします」
なんていう会話がなされたのかどうかは今となっては知る由も無いが、生活圏が限られた古代から中世。手に入る建材もある程度限られたはずである。そして何よりも、他の場所でどんな最先端のデザインが生み出されているのか、そんな情報も限られ、あるのは人による伝聞やスケッチのみ。
その少ない情報をヒントにして、新しい世の中に相応しい神社の型を作り出そうと魂をこめた職人達。そうやって想像力の風呂敷を思う増分広げて見上げるそれぞれの神社はそれぞれに飛び切りのドラマが後ろにあるのだと思わずにいられない。
そんな神社の様式を再度理解するのにお勧めなのが、毎回お世話になるこのサイト。
本殿建築様式について
神殿の様式のいろいろ
そんな風に見ていくと、いやいや建物だけじゃないぞと。その手前にもデザイン要素がごろごろ転がっているのが神社の空間。
一見大きな違いが無いように見えていた鳥居もこれだけ微妙に変化がついていたとは露も知らず。
鳥居の形のいろいろ
そして最近気になるのがこの狛犬。とても愛嬌のあるものから、恐ろしい形相のものまでそれこそ千差万別。
狛犬見聞録
狛犬ネット
足を運びたい神社が多くあるからそれぞれの場所で細かく鳥居と狛犬のデザインを鑑賞する時間はなかなか取れないが、見てきたものを写真で見返し、「ほう、これは」などと言う発見の楽しみがまた一つ増えることになる。
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