都市の中に散らばっていることの良さを実感することとも同義であった。
その体験を持って戻った北京。この街にも同じく歴史の中で作り上げられた数が都市の中に残っている。ここでも何度も紹介した九坛八庙(九壇八廟)がそれであつ。
この国で生まれ育っていない外国人にも比較的建造物として理解しやすい九坛は既に全てコンプリートしていたが、歴史上の誰かを祀るという性質上、その歴史認識が必要となる八庙に関しては途中のままで放置してしまっていたので、折角の機会だからと残りの場所を訪れることにする。
そして今回足を運んだのが、北京の西部に位置する歷代帝王廟。その名の通り、歴代の皇帝を祀る廟である。いつものごとく妻を後ろにのせて、電池の減り具合を気にしながら電動スクーターを飛ばして景山公園の前を越えて普段あまり訪れることの無い北京の西側に到着。
この歴代帝王廟は明代である1530年に建設されている。これは奇しくも九坛である日坛 (日壇)、月坛 (月壇) 、地坛 (地壇)、天坛 (天壇)が建設された年と一致する。明の王朝がその首都設立に際して、どれだけ祖先への祭事と天上界との交信を大切にしたのかが見て取れる。
明・清代の皇帝が祖先を祭る為の場所であり、同じく八庙に分類されている太廟(現在の労働人民文化官の中に位置する)と孔廟(孔子を祀る廟でまたの名を文廟と言う)と共に、三大廟宇と呼ばれているという。
明の初代皇帝・朱元璋はここに祀る帝王を18人としたが、その後の清の順治帝の時代には25人が祭られるようになる。歴代皇帝の中でも特に康熙帝、雍正帝、乾隆帝は歴代帝王廟を非常に重視したという。
こうした都市の歴史にまつわる数が、ひっそりとだか日常のすぐ脇に存在していることこそが、歴史を持つ都市の魅力であり、そこに住まう人々の誇りとなる要素でもあるのだろうと思いながら、廟を後にすることにする。
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