2014年4月30日水曜日

世界に繋がる為にいる北京

GWにあわよくば日本に帰国しようと手配していたチケット。しかし5月末の締め切りを迎えるとても大切なアメリカのコンペの為にとてもじゃないが休みなど取っていられない状況だと把握し、泣く泣くチケットをキャンセル・・・

しかし悪いことばかりではなく、同じタイミングで東京からと上海から北京へとやってくる親友達に会える時間が出来たこと。本来なら帰国しているから残念だと言っていたが、急遽キャンセルになった為に連絡をとりあい、折角だからと一緒に夕飯をとる事に。

東京からやってきた友人は国内最大のアートフェアのイベントを手がける、アートフェア東京でエグゼクティブ・ディレクターを務める金島君。同い年で昔北京にいたときからずっと仲良く、今も帰国や出張時に合流し昨今のアートの潮流などを教えてもらったりしている。

もう一人は上海でギークピクチュアズという映像の制作会社をやっている大学時代からの友人の村上君。「今度北京にも小さなオフィスを構える必要があるからということで、クリエイティブが集まりそうなレンタル・オフィスを紹介して欲しい」というので、外人友達に聞いたところを紹介したらなかなか気に入ったらしくその契約も含めての出張とのこと。

折角なので一緒に合流してご飯でもということで、金島君と共通の知り合いの日本人のグラフィック・デザイナーさんと共にレストランへ。久々の再会を懐かしみながらも、互いに合っていない間の時間にお互いがどれだけ成長したかを行っている仕事の内容などで理解するのもまた楽しいものである。

そこに居合わせる誰もが何年も海外、特に中国の大都市で生活を経験したことのある者として話に出たのだが、やはりある一定数の日本人が居住する都市においては、日本人であるということだけ、日本で仕事をしていたということだけで仕事がいただけるという状況が出来てしまったりする。

それは、もちろんその土地に進出している日本の企業相手の仕事や、まだまだ発展途上の現地の競合相手が辿りつけないクオリティを求めてくるクライアントの仕事など。つまりは日本人でいること、もしくは日本でプロフェッショナルとして働いた蓄えが使える状況である。

しかしそれとは異なり、世界で戦う為にこの場所にいるということも同時にある。

海外で働いていると、今まで蓄えた職業的知識や経験でなんとかやりくりできることもあるだろう。しかし次第にその引き出しをなくし、引き出しの中身がなくなってくると、今度はその組み合わせ、その場しのぎ的なことでやりくりする様になる。

自分では分かっている。若い頃思い描いていたプロフェッショナルな姿。技能をあげて、どんどんやれる事も増える。しかしその成長が止まっている。ある時からこの場所では自分はプロフェッショナルとして成長できないと環境のせいにしてしまっている自分の姿。その中で自分が情けないと思う事。

それを防ぐためには職業的野心を捨てる事。お金を稼ぐ事、生きる為に仕事をしていて何が悪いかと。なんで毎回世界に誇るような新しいアイデア、素晴らしいデザインを出さなければいけないのか。そういう風に世界を眺めるようにして自分を守る。

もう一つはクライアントを下に見る。これくらいのレベルの人に世界レベルのもを提示しても理解できないだろうと。だから合わせてあげているんだと自らに言い聞かせる。

それはつまり自分の気力が終わっている

これらは全てプロフェッショナルとして常にどうやって自らの職業的能力の向上を果たしていくかを考えて生きなければいつかは必ずぶち当たる壁である。

何処に住まうかではない。どう生きるかの問題である。
真剣に生きていたら時間なんて無いはずである。休む暇なんて無いはずである。

そんなことを話しながら、あくまでも自分は世界に挑戦する為に今この都市に生きているんだと自信を持って言いたいし、今より3年後、3年後より5年後の自分のほうが建築家としてより素晴らしくなっているだろうと思いたい。

「朋あり遠方より来る、また楽しからずや」

いつもべったりくっついていなくても、時にこうして再会し、酒を酌み交わし、こんなことを思わせてくれる友人が少なくともいることに幸せを感じる北京の夜である。

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