社会人になりたての時に、大企業で働く友人と食事に行った時、「ここは会社の経費で落とせるから大丈夫」とおごってもらい、「ありがとう」となんだか凄いことの様に思っていた。
つまりサラリーマンであれば、どこかで使ってもそれが経費として認められるのであれば、後々同額が会社より手元に戻ってくる訳である。
しかし自営業になるとそういう訳にはいかない。サラリーマンの人がよくよく勘違いするのは、「自営業の人はなんでも経費として計上できるからいいな」ということ。経費としたって誰もお金を返してくれない訳である。これは様々な仕事に関する食事や購入したものを経費として利益から差し引いて、最終的に課税対象となる金額を圧縮する節税の一環であり、それをしないと売り上げがそのまま課税対象となり、本来ならその業務に必要となった様々な経費を無視しての計算がされることになり、不公平な税を課せられることになるという訳である。
自営業をしていると身にしみるのだが、この国では生きていく為に支払わなければならない税金はまさに多種多様であり、同時にかなりの負担となる。所得税、住民税、事業税、消費税、国民健康保険料、国民年金保険料、固定資産税、軽自動車税、などなど。
所得税に関しては、5%から40%の6段階で徴収され、妻が専業主婦の夫婦二人の家庭で貧困ラインといわれる年間所得300万とした場合で計算していくと、所得税、住民税、事業税、消費税、国民健康保険料、国民年金保険料とあわせていくと軽く100万を超える金額となっていく。
それだけ搾り取られ、経費として計上できない日常で必要な支出を考えると、この程度の収支では恐らく誰もやっていけない計算になってしまう。その時に頭に浮かぶのは、多くの税優遇が設けられているサラリーマンと専業主婦家庭への不公正さ。そしてこれだけ税負担が多いのであれば、負担の少ない人に比べてより優れた行政サービスを受けられるべきだろうという思い。
その思いの先にあるのが、今回のクローズアップ現代で取り上げられたアメリカの状況。圧倒的に豊かな家庭。年間何千万円もの収入を得るような層が、その収入に応じて莫大な税を行政に納めることになる。一つの家庭で収める税は、貧しい何千もの家庭で収める税よりも多くなる。
しかし、行政サービスは個別に対応する訳ではなく、湧き上がるのは不公正という思い。それであれば、豊かな人々が集まって、新しい行政、新しい市町村を作り、自分が支払った税金は自分達がしっかりと享受できるようにする独自のコミュニティを作っていこうという流れ。
つまりは、今まで市の行政サービスを支えていた高額納税者の税金ががっさり無くなり、既存の市は一気に財政破綻に陥り、まともな行政サービスを提供できなくなる。どころか行政関係の仕事についていた人の多くが職を失うことになる。
こうして見ると、一見弱いものを切り捨て、貧しいものを見返りもしない利己的な行動に移るのかもしれないが、累進課税というシステム自体に不公平さを含んでいる現行の徴税システムの乗るのであれば、これは避けられない事態であろう。
独立する富裕層。自分達の面倒は、自分達で見るから他もそうやってくれ。という社会。
資本主義は格差を容認するシステムである以上、どこかで向かい合わなければいけないこの問題。恐らく遠くない将来に日本にも同じ問題が起こり、不公平を叫ぶ貧しい人々と、同じく不公平を叫ぶ富裕層の分離が起こってくるのだろうと想像する。
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