2014年4月19日土曜日

野依記念物質科学研究館 飯田善彦 2003 ★★


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所在地  愛知県名古屋市千種区不老町
設計   飯田善彦
竣工   2003
機能   研究施設
規模   地下1階、地上7階
構造   RC+S造
敷地面積 381,784㎡
延床面積 7,117㎡
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名古屋発北京行きのEtihad便はその先のアブダビまでの接続を考えてか名古屋を夜の21時過ぎというかなり遅い時間に出発する。

その為に前日の夕方までに打ち合わせを終了し夕方17時前の高速バスに乗って中部国際空港に向かうか、それとも翌日まで打ち合わせが延びる可能性を考慮して一日余裕を持たせるかでいつも迷うのだが、今回は市役所や電柱移設の為の電力会社への挨拶など不確定な要素が多かったので一日余裕を持たせていた為に、折角空いた夜までの時間を名古屋周辺の建築を見てまわることにする。

名古屋駅でトランクをロッカーに預け入れ、地下鉄を乗り継ぎ向かったのは名古屋大学。東海地方では「めいだい」と言えば「名大」となり名古屋大学と認識されるこの地方のトップ大学である。

旧帝大ということもあり構内は緑を多く抱え込み、かなりゆったりと配置がされている。そして建物も国内の有名建築家の設計したものが多く見られることでも知られている。

iPhoneのマップを片手に構内に入っていくと、暫くして見えてくるのがこの飯田善彦(いいだよしひこ)設計による野依記念物質科学研究館。横浜国立大学出身で、谷口吉生の元で働いていたということもあり、かなり繊細なディテールと表情を持つ建築を作り出す建築家である。

飯田善彦と聞くと、麻布十番に設計されたダイヤモンドの様なコンクリートの塊の集合住宅である「Lapis / ラピス」の造形の印象が強いが、他の作品を見ていくとやはり透過性の高いガラスのカーテンウォールなどを採用したプロジェクトが多いようである。

横浜国立大学で教授を長く務め、自らの事務所も横浜に構えている為に、必然的に横浜周辺のプロジェクトが多いのだが、近くに建つ同じく飯田善彦設計による野依記念学術交流館共に、コンペによって獲得したプロジェクトだという。こうして二つの建物を見てみると、品の良さを感じさせるこの名古屋大学の構内にはまさに相応しい設計なのだろうと納得してしまう。

敷地面積については建築家のホームページからの情報だがあまりに広大なので少々疑問であが、周囲を高い木々と緑に囲まれ、とても気持ちの良い環境の中に、なんとも美しいプロポーションを持った立面が現われる。

ミニマルな面をミニマルと認識させるための最小限の異化作用としての張り出す要素の操作。マッスとして張り出す低層部と上層部のボリュームと中央に位置する面としてのスラブの張り出し。全てが違う建築要素であることを意識させるその表情。

背景となるガラスのカーテン・ウォールは一枚一枚にグラフィックがプリントされ、モアレの様な効果を作り出す。前面道路幅と建物の幅と高さの関係から、この立面を正面から捉える視点は存在しないが、最先端の実験を行う施設としての表情は十分に伝わってくる。

そのミニマルなファサードと共に印象的なのが、微妙に坂となっている足元のデザイン。植栽や舗装材を微妙に変えることによって、こちらもファサードへと意識を向けることに役立っているようである。














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