モスクワを訪れ、ロシア構成主義の革新的なプロジェクトに大きく影響を受けて若き日のコルビュジェ。そのコルビュジェがこのモスクワに設計した建物が残っているという。それが「セントロソユーズ」と呼ばれる建築。
その名前を英語でGoogle Mapで検索されると出てくる場所。それを信じて本日最初の建築探索の目的地としていたのだが、どうにもその場所付近は普通の住宅地。暫く探してみるがどうにもおかしい。通りかかる地域の住民に聞いてみるが、誰も分からないという。「これは、ひょっとして本当の位置と違っているかも」という可能性を考えて、深追いすることなく諦めることにする。
その次に徒歩で向かったのが、一昨日訪れたグム百貨店の素晴らしいアトリウムを作り出したロシアのエッフェルと呼ばれる技師ウラジーミル・シューホフ(Vladimir Shukhov)。その彼が広がるラジオ放送の為の電波等の設計を委託され、鉄線を格子状に組んだ双曲面構造(そうきょくめんこうぞう)で作り上げた塔。
エッフェル塔が建てられたのが1889年でその高さが312m。それを模して1958年に建てられた東京タワーは332m。これらのタワーはその高さから、太い材と細い材の組み合わせによって出来ているのに対して、その高さが160mであるこのシューホフ・タワーは細い材だけで作られているので、その軽やかさは比較にならない。それが双曲面構造の特徴でもあるのだが、遠目から見るとまるで透明なタワーの様である。
160mといえども普通の住宅地の中にいきなり現われるので、遠近感がどうもおかしくなってしまう。視界に見えているのですぐにつきそうだと歩いても、数ブロック歩かないと到着しない。タワーは最寄の地下鉄の駅を出た前に広がる広場から綺麗に見上げることが出来る。折角だから足元まで行って見ようと脇道に入っていくが再度遠近法のマジックで、想定していたよりもかなりの距離を歩かされる。
やっと到着した敷地は、昨今このタワーの解体が決定され、それに対して世界中の建築家や構造家が保存を求めて署名運動をしたというのが良く理解できるような状態になっている。
朝から思わぬところで体力を消耗したと思いながら先程の駅前まで戻り、次の目的地まで恐らくバスで数駅というところで、見ているとなにやら乗り合いタクシーの様なものに皆が吸い込まれていくので、「これは便利かも」と次にやってきた乗り合いタクシーの助手席に乗り込んで、運転手に行き先を伝えるが、やはりロシア語で返され、ダメだというジェスチャーで追い出される。
昨日の疲労がまだ残っており、朝からまたしてもかなりの距離を歩いてしまい体力を消耗してしまった為に、道路の真ん中を走っている路面電車に飛び乗る。
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