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所在地 愛知県名古屋市千種区不老町
設計 谷口吉郎
竣工 1964
機能 博物館
規模 地下2階
構造 RC造
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槇文彦の設計による名古屋大学豊田講堂の横に位置するのが、谷口吉郎(たにぐちよしろう)設計による名古屋大学博物館。この建物はその用途と共に名称も変わっているので整理すると、最初は古川図書館として設計され、その後資料館として古川記念館となり、さらに名古屋大学博物館となっている。現在では、名古屋大学博物館と古川記念館の両方の名称が使われておりそれが混乱を招いているようである。
さて設計者の谷口吉郎。1904年生まれの建築家で東京帝国大学を卒業し東京工業大学で長きに渡り教職に就いていた。庭園研究者でもあり、明治村の初代館長をも務めた人物で、息子も世界的な建築家である谷口吉生である。
ちなみに先程見てきた建物の設計者である飯田善彦がかつて働いていたのは、この谷口吉生の事務所である。そんな訳で親子に第二渡って様々な縁が入り組むこの名古屋大学の構内空間。
配置としては高低差がある斜面状の敷地に長手方向を向けながら配置される為に、水平性を強調した1階部分がセットバックし深い陰を作る造形が取られている。それは同時期に丹下健三が目指したモダニズムとの日本建築との融合を感じさせる造形に近い印象を与えてくれる。
豊田講堂の巨大なスケールから一気に縮小された空間のスケール。そしてダイナミックな造形が散りばめられる豊田講堂に対して、ミニマルな建築言語で纏められたこの建物との面白い対比を見せてくれる。
1960年に豊田講堂が竣工したということで、その完成した講堂を前にして構想を建て計画を進め、そして工事を進めていったと思われるこの建築。そこで谷口吉郎が何を選択していったのかを感じながら見ていくのもまた建築の歴史を楽しむ一つの手であろう。
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