中国に関わっていると何かと足を運ぶ機会があるのがこの香港(Xiānggǎng,ほんこん)。1997年にイギリスから中国へと返還がなされ、その後突然今までのシステムを変更し中国制度へと統一することによっておきる様々な軋轢を避けるために、一国二制度とし50年後の2047年まではこの香港を特別行政区として位置づけ、ソフトランディングを目指すとされている。
歴史をみても、地政学的特長より非常に重要な経由地、港としての価値を持つために、欧米から貿易の為の開港を求められたり、植民地として割譲されてきた。アジアにおける貿易の拠点として多くの富を吸い上げ、西欧へと送り届ける拠点として巨大な富の集積地、中継地として成長してきたこの街は、その背景から文化的にも西洋と東洋の鬩ぎあいの最前線として機能し、稀有な街並みを作り上げることになる。
特に香港島側に作られた、世界金融の象徴ともいえる様々な銀行などの超高層タワー郡。「100万ドルの夜景」と呼ばれ「世界三大夜景」にも常にランクインするこの香港の夜景は金に群がる人々の欲望を率直に都市の形へと変貌させて極めて直裁的な都市の姿でもある。
その夜景の美しさと金融市場の中心としての華やかな一面に対し、「文化の砂漠」とも言われるように、夜景を売りに飛んでもない値段設定をするレストランやバーや、どこにいってもそのパッケージは同じショッピングモールとその中に入っているハイブランドの数々など、数日いるだけでもその揶揄の意味合いが見えてくる都市でもある。
それでも、普段仲良くしている香港人と韓国人の夫婦に勧められた小さなお店や周辺の島々巡りの魅力と夜景好きな妻がまだ一度の足を運んだことがないということも手伝って、年末年始の休みを利用して久々に訪れることにした香港。
香港と九龍を結ぶフェリーによって、あちら側とこちら側がくっきりと分かれる街で、イスタンブールのように二つの文化圏の境目を現す都市でもあるこの香港。豊かさと貧しさが共存し、アジアと西洋が交じり合う混沌とした街並み。そんな雑踏の中で、息を止めて走り抜けたようなこの2015年を少しでも落ち着いて振り返るように数日を過ごすことにする。
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