ベニスに滞在していると何度も足を運ぶことになる場所がある。その一つが中心でもあるサン・マルコ広場。そしてもう一つがこのリアルト橋(Ponte di Rialto)。
群島というベニスの中心には大運河であるカナル・グランデ (Canal Grande)が街を分断する。海運輸送によって街がつながれているという側面もあるが、徒歩で移動する人にとってはやはり、運河が街を分断する側面は否めない。
そうなるとその運河のこちら側とあちら側を繋ぐ橋が都市にとって重要な意味を持つのは世界中の水と関係する都市においては共通の問題であり、このベニスでも中世の時代からこのカナル・グランデを渡す橋の設計が都市にとっての大きな課題であった。
大運河と言うだけに他の小さな運河に比べてもちろんその幅が大きくなる。その為に小さな運河を渡す橋とはことなり、これだけ大きなスパンの橋を当時の技術でどう作り出すかが長年探求されたのは想像に難くない。
その解決策として橋の案を広く募集することになった中世のベニス。その橋の候補地として挙げられたのが、比較的海抜が高く、洪水の被害が少ない為に早くから人々が集まり商業の中心地として栄えていたこのリアルト周辺。そしてそのコンペを勝ち取ったのがアントニオ・ダ・ポンテという技術者の案で、橋の下を通る船を妨害しないように、アーチ型の太鼓橋。
その上にはアーケードが作られ、現在でも土産物を売る多くの商店が賑わいを作り出す。このリアルト橋はその構造よりかなり高い位置からベニスの中心風景であるカナル・グランデを眺めることが出来る為に昼夜を問わず多くの観光客で賑わっている。
橋の上にアーケードと言うと、どうしてもフィレンツェ(フローレンス)のアルノ川に架かるポンテ・ヴェッキオ(Ponte Vecchio)を思い出す。ポンテ・ヴェッキオもフィレンツェ最古の橋であり、現在の橋は1345年に再建されている。橋がただただ移動空間としてではなく、都市の重要な活動空間の一部として発展したイタリアの都市空間の凄さを思う。
では、向こう側とこちら側を繋ぐ橋が都市の徒歩交通にとって重要な意味をもつということで、このリアルト橋を含め、ベニスのカナル・グランデには現在までに計4本の橋がかけられている。
リアルト橋 1557年
アカデミア橋 1930年代
スカルツィ橋 1930年代
カラトラヴァ橋 サンティアゴ・カラトラバ(Santiago Calatrava)の設計により2008年に完成
それぞれの時代のそれぞれの技術を使って作り出されたこの4本の橋は、ベニスという都市の本質をある意味一番良く現している風景なのかも知れない。そんなリアルト橋近くに位置するマーケット脇のレストランで、ベニスで食前酒として良く飲まれているスプリッツ(Spritz)を飲みながら、少々の観光客気分を味わいながら本場のイタリア料理を楽しむことにする。
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二日目の朝。
ランニングの途中で立ち寄るリアルト橋とそのマーケット。まだマーケットが賑わう前の時間らしく、揚ったばかりの新鮮な魚達を並べる姿とそのマーケットが入る空間を写真におさめる為に、暫しランニングの足を止めることになる。
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二日目朝
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