2014年6月2日月曜日

アメリカの強さ

日本の地方の衰退と、少数の大都市の拡大。そして全体的な国の縮小という複雑な現象を様々な本や番組で見ていると、改めてアメリカの国家としての強さを思わずにいられない。

日本の様に東京という一点のみが他の全ての人材や機会を吸い上げる図式とは違い、アメリカはNYを筆頭に、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ、各地域に十分世界規模といえる都市圏が形成されている。

そして多くのアメリカ人と話してみても、誰もが盲目的に上を目指すのならNYに行かなければいけない。そうでなければ所詮二線級での勝負にしかならないとは思っていないことである。

日本では、上を目指すなら、勝負をするなら、機会を得るなら東京に行くしかないという洗脳ともいえるメディアによる刷り込みが憚る。域内総生産順リストという、都市圏における経済活動を示す値を元に、世界中の都市のトップ100を見ていくと、日本からは東京が1位とされているが、全体としては下記の4都市圏がランクインのみとなっている。

域内総生産順リスト

1 東京 
7 大阪-神戸 
18 名古屋 
51 福岡-北九州 

それに引き換えアメリカを見てみると下記の様になんと23都市もがランクインしていることになる。

2 ニューヨーク 
3 ロサンゼルス 
8 シカゴ 
14 ワシントンD.C. 
16 ヒューストン 
17 ダラス  
22 フィラデルフィア 
24 ボストン 
27 サンフランシスコ 
34 アトランタ 
39 マイアミ 
41 シアトル 
48 フェニックス 
49 ミネアポリス 
50 サンディエゴ 
52 デトロイト 
74 ボルチモア 
75 デンバー  
78 サンノゼ 
83 リバーサイド 
86 ポートランド 
89 セントルイス 
99 タンパ 

もちろん国土の広さ、そして人口の多さも関係するが、限られた数点の中心がその国の経済、人材、可能性、職業機会を全て吸い上げてしまう構図になっている日本に比べ、地域拠点都市が十分に世界レベルで通用しているという多中心な構図を持つアメリカは、国の中に多様性を包括し、環境の変化にもいくつかの都市が生き残りまた新たなる中心を構築していくのだろうと想像させる。

そうして見てみると中国もまた同じような様相を見せている。

10 上海 
13 北京 
19 香港 
25 広州 
26 天津 
28 深セン  
33 蘇州  
35 重慶 
53 杭州 
55 成都 
56 無錫  
57 武漢 
59 仏山 
60 青島 
64 大連 
68 瀋陽 
70 南京 
73 寧波 
77 長沙 
81 唐山 
94 鄭州 
95 煙台 
100 東莞 

アメリカ同様、上から下まで非常にバランスよく都市が分散している様子が見て取れる。つまり国の中に様々な場所で、その場所に合った規模の都市がしっかりと地域の拠点として役割を果たし、そこからダイレクトに世界の市場へと直結していることで、人材の流動性を確保しつつ、様々なイノベーションを起こす可能性を持ちえている。

東京と大阪という東西二つの巨大都市。その二つが世界規模であるだけに、日本ではこの二つの都市に入り込まなければ世界への道筋が見えてこないという閉塞感が漂う。日本が今後、国として都市の多様性を持ちつつ、すべてがリトル東京にならずに、地域の拠点として特色のある都市を育て、東京に行かなくてもその地域拠点都市から直に世界へと活躍の場を広げる機会を得ることができる。

世界と地方都市がダイレクトに結ばれることで様々な人材が流出入し、そこから新しい価値観、新しいイノベーションが生まれていく。その土壌作りができるかどうかが、これからの日本之100年を占うことにつながるのだろうと心から思わずにいられない。

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