2014年6月4日水曜日

カ・レッツォーニコ(Ca' Rezzonico) バルダッサーレ・ロンゲーナ 1756 ★★


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所在地  ヴェネツィア(Venezia)
設計   バルダッサーレ・ロンゲーナ(Baldassarre Longhena)
竣工   1756
機能   住宅、美術館
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カナル・グランデに面して邸宅が建っている為に、それを正面から見る為にはどうしても向かい側からアクセスすることになる。と言うわけでアカデミア橋を渡り、少しカナル・グランデを戻り目指すはカ・レッツォーニコ(Ca' Rezzonico) 。

「カ(Ca')」のつく邸宅であるが、今は18世紀頃の作品をメインとした美術館として利用されているという。面白いのは1649年に当時の貴族が宮殿を建設しようと、当時活躍していたバロック建築の一人者バルダッサーレ・ロンゲーナ(Baldassarre Longhena)に設計を依頼にする。カ・ペーザロ(Ca' Pesaro)を設計した建築家である。

しかし、完成を待つ前に設計を頼んだほうも頼まれたほうも死去してしまい、宮殿はレッツォーニコ(Rezzonico)家が買い取ることになる。その家名が建物の名前にも残されている。そのレッツォーニコ(Rezzonico)家から設計を依頼されたのが、ジョルジオ・マッサーリ(Giorgio Massari)。

その彼がロンゲーナのバロック様式の設計を尊重しつつも、自ら独自の設計も付け加えた為に、完成した1756年にはバロックにルネサンス様式が加わったキメラの様な建物となったという。正面ファサードはゴシックの様な縦線を強調するようなものではなく、どっしりとした3層構成。下部の中心にはポーチが取り付けられ運河から直接アプローチできるようになっている。

2階と3階は7つのアーチを持ち、中心にアーチがくる構成になっている。バルコニー部はバロック様式がより明確な優雅なデザインとなっている。

一つの建物が使われながら、長い年月をかけて設計が様々な建築家の手に渡りながら完成するこの街の建築の在り方。その為に生まれるこの様なキメラ様式のファサード。壊しては立て直すことで、一から設計することがあくまでも主要な設計の仕事であると思いこんでいる日本の建築家。それとはまったく異なる建築家という職能に対する理解をもつこの国の奥深さを感じることができる建物である。

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