2013年5月30日木曜日

メルボルン Melbourne Day 1


北京からメルボルンへは直通便が無いので、北京を午後の3時に出て、2時間のフライト後上海到着。1時間半のトランジットを経て同じ機体に再度搭乗し、今度は12時間のフライト。

この世の終わりかの様に泣き叫ぶ赤ん坊がいなかったのが何よりで、妻と二人ともなんとか眠ることができて思ったよりも疲労を感じず朝の8時に到着したメルボルン空港。入国審査で前に並んでいた中国人夫婦がまったく英語が喋れないので、係員から「どうにか伝えてくれ」と言われて、子供の分も入国カードを書かなければいけないんだと中国語で伝えながら、何とか無事にオーストラリア到着。

主催者側が手配してくれて、運転手がカードを持って迎えに行くからというが、簡単に見つかるだろうか?と心配していたが、日本の地方空港くらいのサイズの空港で、あっさりと気の良さそうなでっぷりとしたおじさんがアイパッドに名前を表示して待っていてくれた。

随分とおしゃべり好きな運転手のようで、メルボルンの成り立ちは金の採掘が始まりで、その時から労働力として中国人が雇われていたから、中国人コミュニティーは根付いているんだとか、オーストラリア人はとにかくスポーツが好きで、サッカーは退屈だから人気が無いが、オージー・フットボールというラグビーとサッカーのあいの子みたいなスポーツがとにかくエキサイティングで人気があるとのことや、メルボルンの街はCBDと呼ばれる中心地は便利だが、最近ではディベロッパーが郊外に4つエリアを設定して、それぞれでショッピングモールや学校など生活インフラを整備したので、そんなにCBDまで出てかなくてよくなったということなどなど。

まだちゃんと目覚めていない頭をなんとか働かせながら会話を続けること30分。いかにも街中という感じで風景が変わって高層ビルの立ち並ぶエリアの南に走る川を渡ってホテル到着。

「今日の夜には、オープニング・パーティーでまた迎えに来るから!」

と陽気に帰っていく運転手と別れ、アーリー・チェックインにしてもらっていたホテルの部屋に落ち着き、時間に余裕があるからということで、手足を伸ばして暫しの熟眠。

夕方起きて、すっかり軽くなった身体と頭を感じ、身支度を終えて明日からのカンファレンスが行われるホテルに隣接されている「Melbourne Convention & Exhibition Centre」まで下見をしにいくことにする。

大きなコンベンション・センターの様でそこかしこで様々なイベントをやっていて、明日からのオーストラリア建築家協会のイベント出席者だということで、準備中の関係者部屋へと通してもらい、メールでやり取りをしていてくれた担当者と挨拶を交わす。

本番が行われるメインの会場を案内してもらい、1600人収容の大ホールで明日は1200人が来場予定だという言葉に徐々にプレッシャーを胃に感じながら、夕方にホテルに迎えに車が迎えにいくからというので、それまで会場周辺を散策することにする。

どうにもこの時期は秋の始まりらしく、オーストラリアの印象である青空は見えることができず、ひたすら降ったり止んだりを繰り返す雨空の下、川沿いを少しだけ歩いてみると、やはりロンドン風の建築が人気のようでまるでテムズ川の風景のようだなと思いながらホテルに引き返す。

18時からSean Godsell設計のRMIT DesignHubという建築の学校の屋上で、オープニング・パーティーが開催されるというので、妻と連れ立ってホテルのロビーで待っていると、続々と他のスピーカー達や関係者達が集まってくる。

挨拶もそこそこに、タクシーに乗り込むと、アメリカのMITの建築学部の学長を務めるナダー(Nader Tehrani)と、同じくアメリカのコロンビア大学の建築学部で教鞭をとりながら、建築とアートの間の活動をしているジョージ(Jorge Otero-Pailos)と同乗し、挨拶を交わして目的地に向かうことに。

生憎の雨ということで、屋外テラスが使えずに、建築学部の最上階を使ってのパーティーはすでに現地の建築家でごった返している。今回のイベントのダイレクターの一人で、色々とやり取りをしてくれていたジョン(John de Manincor)は、日本の四日市に高校時代に留学していたということもあり、少しだけ日本語が喋れて、我々の為にと懐かしの学生服を着てきて、妻と二人でなかなか馴染めないなりに、出されるシャンパンと牡蠣を味わいながら、地元の若い建築家と話をしながら楽しい時間を過ごす。

下の階に下りるとそこは建築学校というだけあって、学生達の作品が展示されていたり、まだ作業をしている学生がちらほらしていたりと、なんだかかつてのAAで過ごした自分の学生時代を思い出す。

8時からはWelcome Speaker Dinnerと銘打って、主催者と明日からのイベントに参加するスピーカーのみで特別な場所で夕食だと聞いていたので、流石にこれには妻を帯同するのは気がはばかれるかと思っていたが、主催者側から「来れるならぜひぜひ!」といわれるので、ひょいひょいと妻も一緒に連れて行くことにする。

タクシーの乗せられ揺られること20分。到着したのはいかにも雰囲気の良さそうな住宅街。聞けば、メルボルンの有名な建築家であるロビン・ボイド(Robin Boyd)が1957年に設計したBoyd House IIというもので、今はRobin Boyd Foundationとしてこういうイベントなどに貸し出されるという住宅。

とてもシンプルだが、良質な中庭と特徴的な断面によって空間が構成されて、皆興味深そうに家のあちこちを見学し、一段落したところでディナーが開始。数日前まで建築家協会の会長を務めていたというシェーンを労い、そして明日からのイベントの成功を祈って乾杯。

オーストラリアらしくがっつりとしたラムを、濃厚な赤ワインと一緒に楽しみながら、気さくな雰囲気にも助けられ、すっかり酔いを回らせながらディナーを楽しむ。こういうときに、英語が問題の無い妻で本当に助かると思わずにいられない。

向かいの席のフィリップ(Philippe Block)は構造家らしく予習していた彼のプロフィールに数年前に「坪井賞受賞」と書いてあったのを覚えていてそのことを話したら、とても嬉しそうにいろいろと話をしてくれた。いつか協同できることを楽しみになる人物である。

明日の朝一からレクチャーか・・・

と思うと最終の練習でもしておこうという気になって、同じくボーイフレンドと一緒に来ていたキャサリン(Kathrin Aste)と連れ立って、4人で一緒にタクシーにてホテルに帰る。

あまりに眠いので最終の練習は明日の朝・・・と眠りに落ちるメルボルン一日目。
















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