2013年5月5日日曜日

醜いもの

この世で一番醜いものの一つに男の嫉妬があげられる。

「誰もが自分を肯定しないと生きていけない」

歳を重ねれば重ねるほど、身にしみてくるこの言葉。
ならばその肯定する為に、どう今の自分を評価してやるのか?

その時に往々にして相対的な評価、何かや誰かと比較することで満足感を得ようとしてしまうのが人の性。家族を持っても毎日社会の中で、厳しい競争とストレスに晒されている男性には特にその傾向が強く現れるであろうし、同時に少しでも安心感を得ようとする気持ちも生まれてくるだろう。


その比較対象が自分自身、例えば一年前の自分や、かつて想像していた将来の自分像であるなら問題ないのだろうが、どうしてもついつい目が向いてしまうのは、曖昧模糊な世間に出回る同年代の姿。

「この年齢なら・・・」
「社会人何年目なら・・・」

仕事、結婚、家族、人間関係、子供、収入、家、趣味・・・

自分を肯定するために、今の自分を構成する様々なパラメーターを探し出し、それを虚実入り乱れるネットの世界で自分が納得できる内容だけ拾い集める。

2ちゃんねるなど見ては、自分の相対的な位置を確認し、それは同時に下を見ることで安心するということ。

現在の自分の努力が足りていないと理解していながらも、生活を変えるほどの努力は辛いと思いながら、努力することなく今のままでも自分はまだまだ大丈夫だと納得させる。下降線に乗っているにも関わらず、ただただ現状でいることを肯定していく確認作業。

その裏に見えるのは、そんな自らも心の奥に認めるどす黒い嫉妬心。

成功体験を得にくくなる30代以降に如何にこの嫉妬を抱えることなく、かつて想定した未来の自分像を確実に超えていけるか?その為に支払う犠牲と努力を惜しむことなく、少しでもいいので、毎日確実に前に足を進めること。

それが手を止め、足を止め、脳を止めてしまうネット世界の甘い誘惑から逃れ、現実の世界で胸を張って絶対的に生きていく為の方法なのだと思いながら自転車を飛ばしながら家路を急ぐ皐月の夕暮れ。

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