これまた家の本棚に長年埋もれていた一冊。読んだものだとばかり思っていたが、改めて手にとってみると、恐らくテレビや映画で目にしていたその有名なタイトルのイメージから読んだ気になっていただけで、決してちゃんとは読んでいないと理解し改めて手に取ることにした。
そんな訳でオーストラリアまでの長い機内でさらっと読み切れてしまうが、その内容はとても50年以上も前の作品とは思えないくらい、細かいところに伏線が敷いてあり、それが後半にしっかりと回収されていてなんともお見事としか言いようが無い。
冒頭から明らかにこいつらの中の誰かが犯人だろうとは暗示されているが、まさか二人の犯人だとは思いもよらない。そしてその生い立ちに込められた複雑な事情と、それを隠すための経歴。
ゲームではなく何もないところからヒントを見つけ、自ら過程を構築していき、実際にその場に足を運んで追っていく。徐々に自ら描いた物語を具体化し、その中の人物像を見つけていく。まるで靄の中に手を伸ばし、人影らしきものを捕まえるかのように。
ミステリー好きならできるだけ早い時期に手にする一冊であろう。
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