先日のプラハ・フィルハーモニーに引き続き、仲良くしてもらっているご夫婦と今度はオペラハウスの真骨頂とも言えるオペラを観劇しに行ってきた。
不思議なことに、オペラハウスを設計しているからなのか、オペラや音楽が好きな友人に出会い、誘い出してくれるようになるというのは、無意識にその様な機会を求めているのかそれとも、たまたまなのか?などと考えながら、オフィスを逃げるように抜け出して、開演ギリギリに会場に滑り込み、3時間を越える大作ということもあり、駆け込むようにサンドイッチを平らげる。
今回足を運んだのは、オッフェンバックの「ホフマン物語」。
フランスオペラということもあり、中国人の劇団員がフランス語で台詞を歌い、両脇のスクリーンには中国語の字幕が表示され、プロセニアムの上部には英語の字幕。妻がしっかりと予習をしてきてくれて、詳しいストーリーと主要登場人物をレクチャーしてくれたために問題なく展開についていけるが、プロローグと第1幕は久々の生ものから発せられるアルファ波ですっかり夢の中へ。
詳しい内容は下記含め様々なサイトで紹介されているが、
舞台に出演中の歌手である恋人ステラを酒場で待っている主人公である詩人ホフマンが、親友のニクラウスに扮したミューズの化身に付き添われて、過去の様々な失恋話を酒場の男達に聞かせていくという内容。
第1幕の機械仕掛けのオリンピア。
第2幕の歌って命を失ってしまうアントニア。
第3幕のホフマンの「影」を奪ってしまう娼婦ジュリエッタ。
あーだこーだと失恋話を自慢げに話していると舞台を終えたステラが戻ってくるが、彼女も恋敵のリンドルフに連れ去られてしまうという、なんとも悲しいく明るい失恋話。
友人のご夫婦は昨日行われた外国人劇団員によるバージョンも見比べの為にと見に来たらしく、「昨日のジュリエッタはもっとセクシーだったよ」などと、楽しそうにプチ情報をくれるオペラ通。
2度の幕間を挟んで、終えたときは既に11時近く。
できるだけ安くと手に入れた3階席の急勾配に位置する席での音響がいかがなものか。幕間に観客がどのような動きをするか?高齢の観客にとって、座る場所がどれだけ重要か。急な階段での歩行に安心感を与えてくれる手すりの存在など、目に映るものすべてのものが、オペラという一回きりの劇を成り立たせるために存在している特殊空間。
自分達の進めているオペラハウスの設計図の中で、何が抜けているのか?どうやったらより良く、より機能的になるのか?一人の観客の立場からこれからやらなければいけない設計変更に想いを馳せる。
しかし2年後には自分達で設計したオペラハウスで、劇に目を輝かせる多くの観客に紛れてオペラを観劇することが叶うということに、改めて心を躍らせながら家路につく。
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