2013年2月19日火曜日

「best housing project of 2012」受賞

共同主催するMAD Architectsが設計をおこなったカナダ・トロントに建つアブソリュート・タワー(Absolute Towers)が、世界的に認知される建築系ニュース・サイトArchdailyの読者投票によって、2012年の最優秀住宅プロジェクトに選ばれた。

他の受賞作も下記のサイトにて見ることができる。



今までの常識に囚われることなく、新しい時代に相応しい建築の姿を追い求める。そのプロセスで幾度と無くぶち当たる様々な困難。経済性や機能性など、決して後ろにおいてくることができない与件を、厳しい条件の中、アイデアによってクリアすること。

建築の世界に身をおいている人間なら、誰でも身にしみて理解している産みの苦しみ。

「美しい」だけでは建築は成立せず、その後ろ、一枚の竣工写真の裏側に隠れた様々な過程や困難。

身を切る思いで時間を過ごし、容赦のないやりあいを経て設計を前に進めていかなければいけない過程の中で学んだことは、いくら経験が足りなくとも、想いによって十分にそれを補えるということ。

「やらなければいけないこと」と「できないこと」の間で胸をギュウギュウと締付けながら、それでも三人のパートナーである、マ・ヤンソンとダン・チュンと一緒に必死に考え、自分達の信じるものを実現するために、何ができるか、何をしないといけないか、その為に闘い、葛藤し、言い合い、苦しみ、すべてを投げ打ってでしか、成しえないこと。

それほど、常識の範囲から飛び出るということがどれだけ難しいかということを身をもって実感したプロジェクトになった。

建築というのは、設計図として未来を思い描いた時から時間が進みだし、様々な思い、様々な経験を通してプロジェクトを体験し、それが完成し世の中に見ていただけるときにはすでに建築家は次のステージでより新しいことを考えているという建築というモノの集合体がもたらす時間のスパンの宿命を背負う。

現在も、同じように別のプロジェクトに毎日、毎時間、苦しみながら、何でこんなことをしているのだろうと思いながらも、それでも投げ出すことができない想いをもって建築に向かっていく。

いつの日か、そんな想いを持って生み出した建築を少しでも多くの人に実際に見てもらえるように、そして関係した多くの人間の必死に過ごした時間の密度を感じ取ってもらえるように、今日もまた前に向かって進んでいくことにする。

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