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所在地 東京都中央区銀座
設計 大成建設
竣工 2015
機能 店舗
規模 地下2階、地上13階
構造 S造
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文庫と新書のブックカバーが随分古くなり、ところどころ擦り切れてしまっているので、妻に勧められて買い替えを検討する。せっかくだから慣れ親しんだ同じものが欲しいと銀座に立ち寄った際に伊東屋に立ち寄る。
月日の流れるのは早いもので、ここもいつの間にか改装されているのに気がつく。かつては狭い横幅の中に設置されたこれまた狭いエスカレーターを上まで上がり、目当ての商品を買っては待てども待てどもやってこないエレベーターを諦め階段で降りてくるというイメージであったが、改装後は何とも解放的なお洒落な印象になっている。
木を基調としたインテリアで、上下の動線も以前ほど狭苦しい思いは払拭されている様子。恐らく展示商品の数を減らし、より色や目的別に視覚に訴える展示方法を設計の段階からよく練られている様子で、各フロアごとにとてもすっきりして、また意図を読み取りやすい展示と配置となっている。そのお陰で目的の商品までスムーズにたどり着くことが出来るし、各フロアでの動線も迷ったり狭苦しい思いをせずに、広々とした感じである。
これを間口8mのこの敷地の条件で行うのはなかなか素晴らしい。と思って調べてみると、余り情報は出てこないようだが、プロジェクト管理を三菱地所設計が行い、設計施工として大成建設というチームで行っているようである。
やはり幅狭のペンシルビルをどうやって街に開いていくかが一番の出発点だったようで、そこで「通路」として内部を通り抜けてもらうように、街に面し後ろへと通り抜けるこの二つの面を完全にガラス張りにして、その他の必要な設備などは全て残りの隣地に面する長手の二面で処理をする方法を採用しているようである。
この長手の二面の壁面が設備だけでなく、ダブルスクリーンとして自然換気にも寄与し、またその空気層が断熱層としても機能するなど、エネルギー消費を考慮した環境建築でもあるようである。
そのデザインの質の高さは、上階へと押し上げられた客ができることなら利用したいと待つエレベーターのデザインに集約されている。建築に関わるものなら思わずため息をついてしまう何とも考えられた美しいエレベーターのデザイン。できるだけデザインや機能を前に出さず、シンプルで快適な空間を作るためには、それらの全ての要素を把握し、そして自ら制御する。それがしっかりと出来ているこのエレベーターホールのデザイン。
エレベーターがなかなか降りてこないことを祈りながら、他の客の邪魔にならないようにとどうやってディテールを納めているのかじっくりと観察することにする。
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