2017年6月22日木曜日

ミュージカル 「アラジン(Aladdin)」 プリンス・エドワード劇場 2017 ★★★★

トレバー・ディオン・ニコラス(Trevor Dion Nicholas)

コンサートやオペラ、そして舞台というものは、やはり都市というある一定の人たちが集まる場所だからこそ可能にする都市の特権であろう。そんな中でもこのロンドンでは、シェークスピアを引くまでも無く、舞台芸術の文化が深く根付き、街を歩いていてもあちこちに大きな看板を掲げた大小さまざまな劇場を目にすることができ、それと同時に地下鉄の駅のエスカレーターに乗っていると、今が旬の舞台の広告が次々と目に飛び込んでくる。

そんなロンドンにおいて、今年の話題作といえばディズニー映画で知られるミュージカル「アラジン(Aladdin)」。ブロードウェイで大成功したミュージカルがついにロンドン上陸と、その派手な演出も手伝って随分と話題になっているようで、街中で見かける広告の数も桁違い。

本来なら今日から始まるロンドンを拠点とするカナダ人建築家で、AAスクールのExternal Examinerでも一緒になって仲良くしているアリソン・ブルックス(Alison Brooks)の大々的な展覧会が開幕するというので、なんとか顔を出したいところであったが、明日は無理をいってヨークへと足を伸ばすので、今夜は妻の希望に沿うことになり、中心部に位置するSOHOのど真ん中にあるプリンス・エドワード劇場へ。

すぐ横には有名なゲイ・ストリートが位置することもあり、平日にも関わらず周辺では道にでてビールを飲みながら語り合う多くの人々。最近頻繁している数々のテロにも関わらず、こうして街に人が出ることが、無防備ということではなく、日常を守るという意味で一つの抵抗なのだろうかと思いながらも、カフェに入ってもとてもじゃないが、まともに会話などできるわけも無く、早々に劇場へ向かうことに。

召使のジーニーとアラジン、そして王女ジャスミンの間で繰り広げられる、皆が知ってるアラジンの物語。それがこれほどまでにエンターテイメントとして昇華されるものかと軽く感動を覚えるほどの出来栄え。衣装、音楽、ダンス、演出。そして耳に馴染みの深い例の曲たち。

「Friend Like Me」「A Whole New World」「Arabian Nights」・・・

あっというまの3時間。舞台に向かって終わり無く投げかけられる拍手と人々の笑顔。熱気の残る劇場から、あちこちで感想を言い合いながら街へと出ていく人々の姿。恐らくその多くの人がまた、ここで味わったのと同じ興奮を求めに、またどこかの劇場に足を運ぶのだろうと確信できる、舞台芸術の持つ中毒性が、確実に自分の中にも残ったことを感じながら、来年もまたどこかの劇場に足を運び、特別な時間を過ごせるようにと心に思う。






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