2013年4月14日日曜日

鎖国

国際競争と多様なニーズに応える中でイノベーションが行われるグローバル世界。

その対局にあるのが、一般性を省みず、とことんある一部の需要を満たし、外部との接触を断ちながら独自の価値観に磨きをかけて、新しい価値を創造する。

イヴの時間」、「ベクシル」、「雲のむこう」など最近そんな内容の近未来の日本を描いたアニメを立て続けに見ることなった。

かつて世界第二位の経済大国まで上り詰め、緻密さと質の良さから持て囃されたメイド・イン・ジャパン。極東という文化の河の最果てに位置することから、ひたすらに蓄積し自ら更新してきたその文化的土壌も助け、世界からも高い評価を受ける様々な文化遺産。

それが少子高齢化という人口減少の波に揉まれ、それでもかつての繁栄と謳歌した時間を忘れられず、負の遺産を抱えながらも新しい国の姿を見出せられずにいる日本。

アトムやガンダムといった想像力とそれを可能にするテクノロジー。更に加速する近年の技術進歩を一方で目にし、またある一方ではこれだけグローバル化が叫ばれながらも、かつての繁栄が足かせになって、周辺ではどんどん進む国際化に乗り切れず、またそれでもどうにかなるかと思っているかの様な現状。

ちょっと外に出ると、世界を見渡し自分がどう生きたいかによって一番合った場所を選び住まう場所を決めて行き、世界の動向を感じながらしたたかに自分の能力と価値を高めながら生きるグローブ・トロッター達。

それに対して国境が本当の身体的な境界線として存在してしまう日本。

今の教育システムではその境界線を跨ぐ為には、個人として大変努力をするのと同時に、跨がずに国内に留まっていたら得られる様々な安心という甘い果実を捨てることになる。

もしくは、格差社会の上位に位置する両親に連れられ幼少期より国際性と馴染みながら成長するかだが、それでもその中から本当の意味での国際人、つまり国際舞台の舞台で一個人として競争力を持ち、求められる人材として自分の足で立つことができる人がどれだけでてくるだろうか。

休みを利用して日本に足を運んだ外国人の友人は帰ってくると皆揃って興奮しながら口にしてくれる言葉達。街は綺麗でシステマチックっで、清潔でディテールも完璧で、なんて素晴らしい国なんだ日本はと。

外から訪れる彼らには、そこに存在する境界線が見えてない。それは中の野菜を守るビニールハウスの様に、さまざまな外部からの刺激を遮断する。と同時に隔離する。

国際企業として成長した幾つもの巨大な日本企業として様々な国に進出する流れは今後一層加速するであろうが、世界の他の国でみられるように、個人がチャンスを求め、より快適な環境を求め、より自分にあった職場を求め大陸を移動する流動性のなかに、当たり前の様に日本人が含まれるには一体あとどれくらいの時間が必要なのだろうか。

そんなことを考えていると、そうして世界の流れに乗っていくのも一つだが、きっと日本という国柄、そしてその国民性を考えると、世界から忘れ去られたガラパゴスではなく、意識的に外部との交渉を断絶し、その中での差異化によって自らの価値を高めていく現代的な積極的鎖国の方が、きっと日本らしい未来の社会をつくっていくのかもと思わずにいられない。

その時に、「またかつてのように経済大国に・・・」などど願わずに、人口1億を切る社会に相応しい、中央と地方のバランスの取れたゆったりとした風景の中で、世代のバランスの取れた暮らし方ができるような、大きな都市計画の変革が必要だろうと想いをめぐらす。

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