2013年4月24日水曜日

「完全なる首長竜の日」 乾緑郎 2012 ★

あまりにも前評判が良さ過ぎたので期待値が上がりきってしまったというのは否めない。

相当な前半で敷かせる最も大きな布石「胡蝶の夢」。

人が蝶になった夢なのか?それとも蝶が人になった夢を見ているのか?

現実と夢。
あるいは二つの現実。
意識と無意識。
自分の意識と他人の意識。
その二つの時間を行き来する。

そんなテーマは様々な人物の想像力を刺激し、色んな物語としてこの世に生み出された。

「インセプション」
「パプリカ」
「エクサバイト」
「シックスセンス」
「千年女優」
・・・

「胡蝶の夢」でも扱われた、
そんな人類に取って恒久のテーマである意識を扱うだけあって、
物語の途中部分でそのネタは大よそ分かってしまう。

「ひょっとして、これは主人公自身が寝たきりなのでは?」と。

それが分かった後で、どうやって引っ張るか?
その先に行くもう一つの仕掛けがあるか?

といえば、上記の物語を超えては行かなかったようで、
わざに溺れたように、ダラダラと惰性で進む後半部分はかなりしんどい。

意識の問題に対して我々人類は「胡蝶の夢」のからどれだけ先に進んだのだろうと想いをめぐらさずにいられない。


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第9回(2010年) このミステリーがすごい!大賞受賞
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