2013年4月22日月曜日

物凄いインターン


毎週月曜日は、HRの担当者と共に国内外から届くインターンへの応募してくる学生のCVとポートフォリオを10から20通近く見ることになる。予め担当者が選別をしているから、現在進行中のプロジェクト・チームに入ってチームの助けになるような能力を持った人材が中心となる。

思うのはそのレベルの高さ。中国人ならほとんどが海外の大学に留学しているか、国内でも良く耳にする有名大学で、英語が出来るのは当たり前。CADが使えるのは当然で、ライノも必須。Mayaがついてくればなお良く、Grasshopperも最近では標準となってくる。

ポートフォリオでAdobe関係のソフトとMaxwellなどのレンダリングスキルも問われ、設計事務所の中でどのプロジェクトでも手助けになれると判断したら返事を出す。

外国人はより各大学などの傾向が強く反映されており、コロンビア、サイアーク、コーネル、MITなど各大学が今どんな教育をしているのかが良く分かるようになっている。

学生を終えて実際に所員として働き出すまでの期間に経験を積むために来るものが多く、ほとんどの人間が既にどこかの事務所でインターンシップの経験がある。

確かにここで過ごす4ヶ月の間に、みんな英語も流暢になっていくし、Ecotect、Grasshopper、Gecoなどのソフトまで使えるようになっていく。学生としてそれだけの能力あれば、さぞや面白いプロジェクトを学校で作るのに役立つだろうと想像する。それは驚くべきことである。

結局学生時代に身につけたものがその後の建築家人生の基礎となり、その後いくら頑張っても概念を理解してないものをいきなり覚えるのは無理であることはこの10年で十分理解できた。

バージョンアップや同じ分野の新しいソフトの出現には対応できるが、スクリプトに触れてこなかったら今のアルゴリズム系のソフトへの理解はほとんどが無理であろう。

もし今の自分が学生ならインターンへの応募も断られてしまうかもと思うと改めて現代の学生の出来る事の多さに改めて凄いなと思う。

また同時に、このようなインターンシップを経験する事がない国の建築学生。そこに日本も含まれるが、どれだけ自分が同年代の海外の学生に比べ、知識や能力に差がついてしまうか?それを実感せずに、ただただ学生時代の作品をまとめたもので、毎日必死に戦い続ける建築事務所が戦力としてみてくれて、雇いとってくれると思うのか?

就職が戦線であるように、限られた数のポジションしか無いのであれば、他の人間よりも力があると証明しなくてはならず、毎日朝から遅くまですべてが吸収するべき内容に触れる数ヶ月を過ごし、それを踏まえて自分の足りてない部分を補いつつ、残りの大学生活を過ごしてきた人物とそうでない人物とを比較すれば、大学卒業時には大きな差となって現れるのは必然だと思わずにいられない。

もちろんインターンはずっとこの場にいる訳ではなく、目的があって仮の居場所として数ヶ月ここで過ごすだけである。彼らもそれを理解し、確実に自分が自分の将来のために必要なものをできるだけここから身につけ、十分にしたたかにしっかりと持って返っていく姿を見ると、どうしてもただ目の前のことに夢中になっていた純粋無垢な自分の学生時代と比べてしまうし、それ以上にのほほんとしていた日本で教えていた学生たちの姿を思い起こさずにいられない。

建築なんて息の長い世界に飛び込むのだから、決して焦ることもないのだと思う一方で、こうして緊張感のある時間を学生のうちから経験し、建築家としての日常が実際にどんなものなのかを感じて自分の将来を決定していくプロセスがあったのならば、きっと今とは違った現在が自分にも存在していたのだろうと想像し、できることなら少しでも多くの学生がこのようなインターンとしての時間を過ごしても、その将来にマイナスにならない教育制度に一刻も早く変わっていってほしいと切に願わずにいられない。

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