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Chorepgraphy: Tim Rushton ティム・ラシュトン
Taped music recorded by: Caroline Henderson, Nikolaj Hess,
Nicolai Munch Hansen & Jacob Hoyer.
Lighting Design: Thomas Bek/Jacob Bjerregaard
Costume Design: Charlotte Ostergaard
Set Design: Johan Kolkjaer & Tim Rushton
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かつて「トーク・トゥ・ハー」を見た時に思ったこと。いつか一人で都会の夜の光を抜け、コンテンポラリー・ダンスを鑑賞し極上の身体の動きに自分なりに感動を覚えるころができる中年になりたいと。
そして中年にはなった。
後は感受性だと。
今日は土曜日。流石に不条理な打ち合わせも無く、随分時間に余裕を見ながらオフィスを出ることが出来た。途中のショッピング・モールの地下のフード・コートで早めの夕食を済ませ到着するオペラハウス。
「今日はなんだか随分混んでいるな・・・」と見渡すと、オフィスのスタッフと、元スタッフの顔を発見する。向こうもこっちに気がついたようで声をかけると、なんでもNCPAオーケストラの公演を見に行くところで、もう一人の元スタッフを待っているという。
その元スタッフも今日の昼間にばったり街で出くわして声をかけたところであり、」なんて狭い街なんだ。とにかく楽しんで」と開演まで時間が少なくなってきたのでチケット売り場へと向かい、スケジュールを確認しながらすっかり顔を覚えた係の女の子に頼みながら妻の分のチケットと、昨日メンターに進められた追加のチケットの購入。
基本的にはまだまだ一番安いチケットしか手が届かないので、計5枚購入したが680元。一枚平均150元くらいで2000円程度。今日のダンスのチケットも100元なので、1500円程度。流石に安い額ではないが、恐らく日本で同じ公演を見に行ったら最低が5000円近くなるのだろうと想像する。
この場所でこの値段で成立しているということは、演じる側はその値段で興行が成り立っているということで、それは日本でやろうが中国でやろうが変わらないと思われる。ならチケットの値段の差はどこから来ているのか?そしてどこに流れているのか?と思わずにいられない。
こういう舞台芸術という生の芸術こそ、中年になって涙を流すおっさんもいいが、それよりも感受性の強い子供に見る機会を与えてあげて、「自分も将来あんな風になりたい!」と夢を持つきっかけになるべきだと思うが、日本ではそのチケットの値段から、そんなに気軽には子供をこういう場に連れて来れないのがネックになっているのだろうと思わずにいられない。
そんなことを思いながら、今日は余裕があるのでプログラムの小冊子を手にし、カフェで飲み物と簡単なケーキをほお張りながら予習をすることに。なんでもこの「Danish Dance Theatre」。デンマークを代表するモダン・ダンス・カンパニーであり、コペンハーゲンを拠点として16人の国際的ダンサーで構成されているという。
彼らを束ねるのがティム・ラシュトン(Tim Rushton)というイギリス人振付家。彼が芸術監督を務め、様々な代表的公演を成功させているという。そして今回のタイトルは「Love Songs」。
「人の身体はこんな動きも出来るのか・・・」と思わせるような自分達とは違った重力場にいるようなダンサー達の美しい動きと、その中を金色のロング・ドレスに身を包みながら、「ラブ」に関する曲を歌い上げていく一人のディーバ。
始めこそ、こうしてしっかりとコンテンポラリー・ダンスの舞台を見ることが始めてだけに、照明と舞台を所狭しと同時に様々な場所で踊りを繰り広げるダンサー達の動き、そして魅惑的な歌声に「おー」と感動するが、やはりこういうダンスというのは、メンターが言うように、バレエやオペラと違って文化的背景などを知らなくても直接的に身体で楽しめるものなんだと理解する。
それだけに、より身体的に心に訴えるためには、相当なレベルのものが必要なのだろうとも思わずにいられない。ダンスが幕間を持たないものだと始めて知りながら、「トーク・トゥ・ハー」で涙した中年のように、「ひょっとしたら自分も今夜・・・」とハードルが上がりすぎていた感はあるのだろうが、そこまでの感動は感じなかったが、また機会があればダンスも見ていきたいと思うのに十分な内容だったのではと思う。
周囲を見渡しても、やはり涙を流している同年代の中年の姿は見かけられず、「次回に期待か」と、カバンの中で厚みを増したこれからのチケットをポンポンと叩きながら会場を後にする。
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