杭州、蘇州そして上海を結んだ三角形の真ん中辺りに位置するのが、江南の歴史的街並みを保存し、美しい水郷の街として中国国内では非常に人気の観光スポットとなっている烏鎮(乌镇,Wū Zhèn,うちん) 。
北京の四合院に代表される北部の建築とも違い、またお隣の安徽省にある宏村などの村落とも違って、近くを流れる長江の恵みを引き込んだ線上に伸びた街並みが特徴の江南の風景。
その中でも政府の政策も助け、この20年で古い清時代の街並みが保全・修復され、重点的観光地として整備され、それに歩調を合わせるように、街をあげて様々なイベントが一年を通して開催されることで、この小さな街に中国全土から人を呼び込んでいる。
そのイベントの一つである烏鎮演劇祭(乌镇戏剧节,Wuzhen Theatre Festival)。街の中には東西南北にそれぞれ区として名づけられ、古い町並みが整備されているエリアがあり、その中でも重点的に整備された東区と西区はエリア全体が歴史保全エリアとして、入場料を支払って入るゲーティッドエリアとなっているのだが、その中でも最大の広さを持つ烏鎮西区(乌镇西栅,Wuzhen Xizha)全体を使い、エリアの中様々な場所でパフォーマンスやシンポジウムが数日間にわたって行われるイベントである。
この街出身の俳優の黄磊(huáng lěi,ファン・レイ)や、廃れていた烏鎮を何とかかつての美しい場所にと行政に働きかけ、設計・整備を統括した陳向宏(陈向宏,chén xiànghóng, チェン・シャオホン)などが発起人となって始まったイベントで、すでに7年続いており、毎年多くの人がこのイベントに合わせてこの街を訪れるという。
その演劇祭の一環として、「建築と演劇」というテーマで黄磊さんがホストで陳向宏さんと二人で二時間ほどのトークイベントに参加するためにこの場所に足を伸ばす機会を得ることとなった。
最寄の杭州空港まで飛び、そこから車でおよそ1時間半。深夜に到着した烏鎮は想像していたよりも、大層小ぶりな街の印象。イベントの合間を縫って、ぜひとも江南の雰囲気を充分に吸い込んで帰りたいものである。
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