そういえば、昨年のこの時期にも訪れたパリ。その時に新しく始まるコンペの為に、パリを理解するために、螺旋状に分布する各区を意識してとことん歩き回ったのは、霧の様な小雨の降りしきる冷たい秋だったが、残念ながらそのコンペは勝つことができず、悔しさをかみ締めて夏を過ごして迎えた次の秋。今度はまた新しいコンペの打ち合わせの為に急遽訪れることになったパリ。
夕方に飛行機を決め、荷物をまとめに家に戻り、そのまま空港に向かって深夜過ぎの飛行機に搭乗。相変わらず可愛らしいエアーフランスの機内放送をばっちり動画に収め、パリに着くのは早朝6時。昨年と同じシチュエーションだと思いながら、パリ高速鉄道(RER)のチケットを買いこんで、まだまだ暗闇の中をパリ中心に向かう電車に揺られる。
オリンピックも決まったパリでは、その報を待っていた訳ではないが、21世紀のコスモポリタンへと変貌すべく、様々な開発が市のあちこちで行われている。世界中から様々な建築家が招聘されては、新しい都市の風景を作るべく、様々なコンペに参加しているニュースを耳にし、街を歩けば、「こんなところでも・・・」と思うほどに建設現場に出くわすことになる。
今回のコンペは開発が遅れていたパリの東側。セーヌ川に沿ってルーブルやノートルダムのある中心地から東に向かって進んでいくと、現代の記念碑とばかりにスクッと立ち並ぶ巨大な透明の本棚のようなドミニク・ペローの国立図書館が見えてくるが、その先がコンペの敷地という訳で、パリに観光に来る人であれば、よっぽどのことが無ければ足を運ばない地域である。
地下鉄の最寄り駅についてもまだ外は暗闇で、とりあえずホテルにチェックインし、軽く朝食を済ませ、午後の打ち合わせに間に合うようにと一人敷地周辺を歩きに地下鉄を乗り継ぐ。
敷地最寄り駅は、国立図書館駅ということもあり、学生時代に訪れた以来足を運んでいないので、折角だからと図書館の素晴らしいファサードを観に行き、そこから霧に霞むセーヌ川沿いを歩きながら、カサカサと風に揺られる足元の落ち葉に秋を感じながら、コンクリート生成工場などが立ち並び、すぐ横を大きなトラックが走り抜ける敷地周辺をじっくり歩き回る。
すぐ近くの大学エリアでは、ここでも大規模の開発が行われており、巨大な工事現場の中から、派手なファサードを競いあうようないくつもの建物が姿を見せつつあるのを横目に見ながら、資本に翻弄される都市と建築にはどのような未来があるのか少々げんなりしながら、せっかくだからと大学エリアの中にある、コルビュジェの救世軍本部まで足を運び、ホテルに戻り身支度を済ませ、共にチームを組むことになっているクリスチャン・ポルザンパルク(Christian Portzamparc )の事務所へと事前打ち合わせに向かうことにする。
午後の3時過ぎに、チームをまとめるディベロッパーのオフィスにて、共に設計を進める4事務所のメンバーと、投資を行う会社などの担当者も集まり、コンペのキックオフ・ミーティングが始まり、様々な意見が交わされ、18時過ぎに今後の動き方が話し合われて解散。
酷い渋滞ではあったが折角だからと事務所のメンバーとオペラエリアへと戻り、夏に満席で入ることができなかった、パリに住む日本人の友人に教えてもらった日本料理のお店で、お惣菜をつまみに日本酒をいただき、疲れも手伝ってあっという間に酔いがまわり、そろそろ時間がと20時過ぎに空港に向かい、次こそはせめて一日は滞在できるようにと心に決めて、23時過ぎに再度北京に向けて飛行機に乗り込む。
パリ高速鉄道(RER)
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