2014年5月24日土曜日

オペラ 「イル・トロヴァトーレ Il Trovatore」 NCPA 2014 ★★★★


最近二回続けて購入しておいたオペラが、仕事が終わらず観にいけなかったために、何としても今回は・・・と気合を入れて会場に向かったオペラ。

恐らく今まで見た中で一番良かったオペラとなったかもしれない。恐らく多くの舞台を見ているメンター夫妻にとっては、あまりよくないプロダクションだというのかも知れないが、まだまだ素人の域を出ない自分にとっては、舞台と衣装と役者の歌声によって何度も身体がゾクゾクする瞬間を感じることが出来た。

今回は前回ほど仕事が立て込んでいなかったこともあり、開幕前にオフィス近くの中華料理屋で好物の辣子鸡とビールをいただいていたので、第一幕は完全に睡魔に負けてしまう。3階席の最後部で、少しでも身体を平行に出来るようにと足を投げ出しながら、楽な体勢を探しながら横目で舞台を追う。

恐らく少なく無い人がオペラの発するアルファ波によって眠気に抵抗することが出来ないのだろうと想像するので、幾つかのシートをもうフラットに出来るような仕様にすればいいのに、という訳の分からない思いを巡らしながら普段の生活では感じることの出来ないリラックスを身体中で感じながら一幕を終える。

なんといっても主演の男の役者が素晴らしい。恐らく声量でいったら、他の役者のほうが素晴らしかったり、テクニック的にはうぐれていたりするのだろうが、この主役の歌声はなんとも心に響く。そして会場も盛り上がる。

ヒロインもそのビブラートや声量は、主演に勝るとも劣らぬ技量なのだろうということは、自分でもなんとなく分かるが、それはあくまでも技術の一部。技に思えてしまう。如何にも「どう、私凄いでしょ?」と言わんばかりに聞こえてくるが、どうも響いてこない。これだけの役者がそれぞれの見せ場を繰り広げるが、それでも会場が「ブラボー!」と送る役者は決まっている。それが舞台芸術の面白さなんだろうと思わずにいられない。

幕間の20分の間に、目覚めの為にとレモンのアイスを食べてみると、急に腹痛を感じ、トイレに駆け込むことになる。しかしトイレの中では中国人が電話をしていて、一向に出てくる様子はない。腹を立てながら、しょうがないので一つ下の解へと向かう。損なこんなをしていたら、後半が始まってしまい、暗闇の中を足元を気にしながら席へと戻る。

その後半が特に良かったかと思われる。ストーリー時代は何度も複雑なので追いきれなかったが、舞台セットも美しく、衣装も綺麗である。恐らく過剰な演出だったところもあるのだろうが、それも含め気持ちを向上させてくれる都市の文化だと思わせてくれるに十分である。日常では感じられない高揚感。フワフワした気持ちを感じて家路に着く。それが巨大都市のみが持つことを塗るされる文化施設の魅力。

「イル・トロヴァトーレ(Il Trovatore )」はヴェルディがが作曲したオペラであり、ヴェルディがの中期の傑作の一つとして数えられている。日本語訳は「吟遊詩人」。幼い頃にゲームのファイナルファンタジーでこの言葉に出会った頃は、一体何が凄いのか良く分からない職業だと思っていたが、こうして舞台で見るとこのオペラに相応しい魅惑的な職業名だと思ってしまう。

こうして今夜も少しだけフワフワした高揚感を感じ、来た時よりも少しだけ身体を軽く感じながら家路につくことにする。




Lu Jia
ヴェルディ

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