2010年6月18日金曜日

「イントゥルーダー」 高嶋哲夫 文春文庫 2002 ★★★★★



イントゥルーダー, Intruder : 侵入者

デジタル時代の侵入者は扉を蹴破ってくるような物理的な存在だけではなく、ひっそりと0と1のデジットの隙間に入り込んできて、そして侵入者すべてが悪意を持ってやってくるとは限らなく、その動機は見つけてもらいたいが為に、憧れの存在に近づくが為に、そしてそれが父と呼べない父の存在だったとしたら。

そんな現代性とそれでも変わらぬ父と子の絆を教えてくれる、サントリーミステリー大賞と読者賞のダブル受賞も納得の一冊。


「なんで援助交際がだめなの?誰も傷つけないし、誰にも迷惑はかけてないし、お互いがハッピーになる為の手段だからかまわないじゃない。」

と言い張る高校生の娘に対して、理論や道徳では反論できないが、

「その行為は自分自身の魂を傷つける。そしてそれが一番ひどい暴力なんだ。」

と、心からのメッセージを送る父親。

それが一番大切なことで、こういう言葉を子に言ってあげられる親がもっと居れば、きっと世の中はもっとましになっているのだろうと思わずにいられない。

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第16回サントリーミステリー大賞(1999年)
第16回サントリーミステリー読者賞受賞(1999年)
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