新しい都市空間としてパサージュがパリに生まれたのが18世紀後半。1800年のパサージュ・パノラマなどに見られるように、建物の外部空間にガラスの覆いをかけることで半屋外空間として新たなる商業空間が都市に生み出された瞬間である。
今までそれぞれの建物の中に留まっていた異なる店が、細い路地のような空間に迫り出すことによって、様々な異なる商品が一堂に会することになり、今までになかった欲望が喚起される。そしてその流れは必然として、異なる業態の商店を一つの建物の中に集め、多様な商品を一箇所で購入することができる百貨店、つまりデパートの誕生へと繋がっていくわけである。
その流れはヴァルター・ベンヤミンの「パサージュ論」に詳しく描かれる訳であり、建築を学ぶものであれば、大学時代に一度は遭遇することになる本でもある。
そして世界初の百貨店としてこのパリの地に生まれたのがボン・マルシェ百貨店(Le Bon Marché)。元々は生地屋だったというから、日本の三井呉服店が1905年に店の二階を陳列式に変更し、日本における百貨店の歴史が花開くということを考えても、都市におけるショッピングの欲望は、どこの国においても洋服を起源としているのが見て取れる。
さてそんな歴史のある百貨店、ボン・マルシェの脇にひっそりと建つのが今回のパリ訪問のもう一つの目的でもあった教会。奇跡のメダル教会(Chapelle Notre Dame de la Médaille Miraculeuse) と知られるこのカトリック教会は、聖母マリアの出現を目撃した修道女が、聖母マリアによって示されたお告げとイメージをもとにデザインし製作したメダルによって世に知られ、19世紀初頭に起こったコレラの流行時に、このメダルを配ったらコレラが収まったとういことで幸運を呼ぶメダルとして人気になったという。
ウナギの寝床のような細長い敷地を奥に進むと教会堂があり、中では丁度朝のミサが行われており、その雰囲気のために音を立てるのも憚られ、こっそりと席についておとなしくミサが終わるまで参加をさせていただくことに。
ミサが終わり教会堂を出て、脇にある売店にて目当てのメダルを物色。異なる大きさで、色もゴールド、シルバー、ブルーと様々あるので、SNSで妻にどのサイズのものがいいか確認して間違いないように購入。幸運が訪れることを祈って、大切にバッグに入れて教会をあとにする。
パリ7区
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