仕事を終えたら外は真っ暗で、襟元を立てながら駐輪場の自転車へ向かうと、前のかごにゴミらしきものが入っているのを見つける。
「乱反射か・・・」
と思わずにいられない。
「これくらいなら・・・」、
「自分だけなら・・・」、
という「些細な我がまま」。
それが交錯することで、大きな過ちにつながるのか、
それともこの世の中なんて、所詮些細なことの連続でしかないのか?
プロローグの段階で既に無意識の自己中心的な行動が引き起こす連鎖の結果として人を殺めることが明かされて、カウントダウンする章名とともに、「誰がどうやってこのあとどう話が交錯するのか?」と期待してページをめくり続けることを強いるのだが、とにかく交錯を複雑にし、各人の行為をよい誰でもやっている小さなわがまままで細分化するために必要な多くの登場人物を描くことで引き伸ばされたページ数。
どこでどう交錯するのか?を見つける新たなるミステリーのあり方なのだろうが、期待を維持して読み続けるにはやや無理のあるボリュームになってしまった感は否めない。
それでも第63回日本推理作家協会賞受賞作。
ゴミを取り除きゴミ箱に捨てて、些細な我がままばかりで構成された世界に向かって自転車をこぎ始める。
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