数週間前の日経の春秋に、芥川賞を受賞したの中国人作家楊逸さんの話が載っていた。
まったく言葉の分からない日本に来て、小説を書き続け、ついに芥川賞まで受賞した彼女は自分のことを「私はミツバチみたいなものです。知らない場所にいっては、身体中にいろんな花粉をつけて、様々な花を受粉させる。文化も同じようなもので、人は一箇所にとどまっていても、なかなか新しい花は咲かない。いろんな場所を動き回り、様々な物に出会い、刺激を受けて、新しい考えを発展させることが出来る。」そんな主旨だったと思う。
先週末、北京で活躍する日本人建築家の友人が中国の女性と結婚したので、東京でも披露宴をするからといい、その会に顔を出させていただいた。
日本人の新郎が中国の正装で、中国人の新婦が着物で登場し、北京で行った中国式の結婚式をスライドを使って紹介してくれた。
まず、朝に自分のベッドの上でドレスを来て待つ新婦。そこに友達と一緒に向かう新郎。新婦の家族がなかなか開けてくれない扉に向かって、新郎の友人が「こいつはいい奴だから開けてあげてください」と何度もいうと、徐々に開く扉。その隙間に紅包(ホンバオ)という、御祝儀袋を投げ込むという。やっと空いた扉から入った新郎は、新婦の待つ部屋に向かい、結婚の申し込みをする。承諾を受けると、今度は娘を家から出したくない家族が隠す新婦の靴を家中探すことになる。やっと見つけた靴の底に、裕福になるという願いを込めて、お札を敷いて新婦に履かせ、ご両親への挨拶。御両親からの承諾を受けてやっと、車で披露宴の会場へ向かうことが出来る。
という感じで、中国に住んでいても、なかなか触れることの無い習慣をとても分かりやすく、そして幸せそうに話していた。
この二人もいろんな場所を一緒にめぐって、いろんな経験という花粉をつけるミツバチなんだなと、なんだか嬉しくなってきた。
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