Palinda Kannangara パリンダ・カンナンガラ
自邸をテーマに巡ってきたが、そんな中でも鮮明に記憶に残っているのが、以前このブログでも紹介した、現代のスリランカ建築界を牽引するパリンダ・カンナンガラ(Palinda Kannangara)の自宅兼スタジオであろう。
コロンボから30分ほどの場所で、
新首都のスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテに近い郊外に位置し、北側には川沿いの湿地が広がり、夏には蛍も見られるという自然が豊かに残るエリアに、安い時に土地を購入し、お金が入るたびに建設を続けながら、長い年月をかけて少しづつ住みながら完成させたという建築。
2019年のスリランカ建築学会の国際会議に、パリンダさんの紹介にて講演をさせてもらうなどの縁もあり、ちょうど滞在中にあたった妻の誕生日をお祝いさせてほしいと、風通しの良い4階のテラスで手料理を笑顔で振舞ってくれる彼の姿は、自然との境目をほとんど感じないおおらかな彼の建築そのものだと感じた。
深夜を回る頃、明日にでも近くにある釈迦が訪れたと言われる仏教寺院のマハー・ラジャ・ヴィハーラを訪れる予定だというと、「それなら今から一緒に行こう」と、深夜の暗い道を愛車で飛ばし、教えられるままに靴を脱ぎ、裸足で境内に到着すると、深夜にも関わらず沐浴をする多くの人々の姿に、日常の中に溶け込むこの国の宗教の息遣いを感じた気がする。
「自分が実感を持てる範囲でしか仕事はしない」ということで、スリランカと南部インドでだけ、設計活動を展開するパリンダ氏だが、ジェフリー・バワの作り上げたスリランカ独特の建築の在り方をしっかりと現代において受け継ぎ、そして発展させる素晴らしい建築の数々は、ぜひ日本でもより多くの人の目に届く機会があればと切に願う。
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